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- / ISBN・EAN: 4511749801453
感想・レビュー・書評
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前々からTSUTAYAの棚で気になっていたので、今回なんとなく借りて見てみた。
データや識者からの証言を元に、東ドイツにおける女性の性的解放について取り上げた作品。
西側ではフェミニズムの運動もあり、性的にも自由なイメージがあるが、それはあくまで従来的な宗教規範(キリスト教的禁欲主義)や、男性中心主義を引きずった状況へのカウンターとしてあった。
しかし、共産圏である東ドイツでは、社会主義的な理念のもとで、女性も男性と同様に労働者・労働力として「社会参加」することが求められていた。そのため、男性稼ぎ手モデル(男性がメインで稼ぎ、女性は家事育児をする)はそもそも存在しない。そのため、保育所やクリーニングなど、家事育児を代行する機関が充実し、女性にとって働きやすい環境が用意されていた(もちろん、戦後の労働力不足も前提)。
女性が中心となって社会を構築しているということは、性を巡る議論においても前提とされ、中絶を巡る自己決定はもちろん、婚前交渉についても、特に国家や社会規範に干渉されることではなかった。性的関係を持った相手と交際し、結婚するということも前提とされず、また母子家庭であっても不利にならないようなサポートが充実していた。
性生活における充実や女性の自己決定権、ということと女性の社会進出というものが連動しているということを示しているといえるかもしれない。
個人的には、60年代後半の第二波フェミニズム等の流れを、女性解放の系譜におけるメルクマールとして位置づけるのを当然と考えてしまうものがあるが、それは「西側」に寄った歴史認識なのかもしれない、と少し反省した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会主義と資本主義、2つの異なる体制下のドイツにおいて、セックスがいかに異なった発展を遂げたか、という、とっても面白い社会学ドキュメンタリー。
「性革命」は西側で始まったと思いこんでいたが、男女平等な賃金労働と再生産労働の社会化によって女性の自由を達成した東の方が、実は一歩も二歩も先んじていたのだ。性の商品化と競争を性の自由化と勘違いし、宗教と家族にモラルの根っこを抑えられている私たちの姿が逆照射される。「資本主義社会ではオルガスムは性の品質保証」という指摘が非常に面白かった。
しかしヘテロセクシズムの見直しまでに視点は及ばず、分析も物足りない。映画よりは本で読みたい内容だけど、ジェンダー論や社会学の授業で使うにはよさそうです。 -
へえ~と思うところもあったし、面白かったかけど、短かったのと、
なんかつながりと深さがあまり無かったような気がして、
ちょっと物足りない感じ。 -
これ、ドキュメンタリー映画として、上質だと思いました。飽きないし。ジェンダー研究してるひとにはさらに受けがいいんではないでしょうか。東西ドイツのセックス分析。