Never Let Me Go: 20th anniversary edition (English Edition) [Kindle]

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  • Faber & Faber
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感想・レビュー・書評

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  • カズオイシグロの作品の中でも、映画化されたりドラマ化されたりと高く評価されている本作、追憶と後悔と、一縷の望みが彼らに占める存在の重さと、現実の残酷さの予感に取り憑かれながら(hauntingという言葉がピッタリくる感触)、最後まで、すべては薄明の中で語られる名作。世界は不条理と矛盾をたたえながら、しかし、確かに存在しているということを実感できる一冊でした。感動。

  • クローン人間、臓器移植をテーマにしたSF小説。
    SF小説といっても、極めて現代社会のオーバーラップできる作りになっており、その違和感、不思議感が独自性を際立たせている。

    クローン人間なので、生殖機能がないと思うのだが、この小説の中で展開される男女の愛は、極めて中性的に描かれ、現実との遊離感を出している。
    つまり、男女の愛を超えた人間の関係性を描くことに成功した、ということだろう。

    クローン人間の命の有限性、それは人間に比べて、短く、自由がない死なのだが、人間であっても、その死を意味することは違いがないといえる。
    「死」、「生」を見つめ直すきっかけを与えてくれる。

    最後に、この小説のテーマに「記憶」がある。
    クローン人間である主人公が「記憶」をベースにこの小説が展開されている。
    福岡伸一先生が、この小説を語る際に、「記憶」をテーマに以下のように語っており、大いに腹落ちするところあり。

    ***

    「記憶は死に対する部分的な勝利である」
    記憶は細胞の外にある。
    細胞と細胞の間の関係に記憶が保持されている。
    記憶はモノではなく、モノとモノとの関係。
    自分にとって大切なものは思い返している記憶。
    インパクトがあるというよりも、絶えず呼び戻しているもの。

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