銃・病原菌・鉄 上下巻セット

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感想・レビュー・書評

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  • もっかい読む

  • 【きっかけ】
    田中靖浩さんのブログ(http://blog.y-force.jp/2011/06/4-cd5e.html)で紹介されていて興味を持った。徳川家広さんと守屋淳さんも話題にしていたとのこと。このところ人類の歴史と人口がどう増加してきたかに興味があるので読むのが楽しみ。

  • よぉーやく読み終わった超大作。

    「なぜ世界はかくも不均衡なのか?」という、
    恐ろしく大きなテーマに、13,000年という壮大な歴史時間軸から、
    丹念に歴史を紐解いていきながら考想する。

    例えば・・・。

    すべての人類は原初、狩猟採集民で生きていた。

    それが、周囲の自生植物・動物を栽培化・家畜化することに気づき、
    狩猟採集よりも安定的に食料を手に入れることができるようになった。

    獲物を探し歩かなくても済むようになると、定住生活がうまれた。

    定住生活によって食料生産は安定的となり、生産効率も上がった。

    すると食料生産従事者人口以上の人数を賄えることになる。
    その結果、農業以外の専門職が生まれる。

    ・・・

    などなど、ひとつひとつの理路を考古学的根拠を丁寧に提示しながら、
    現世界がなぜこうなのかを考察していく。
    さらにその論考は、生物学、農学、言語学、文化人類学など、
    極めて多岐にわたる学問領域を横断的に展開されており、壮大と呼ぶに相応しい。

    書籍の構成としては、ヤリという著者のニューギニア人の友人が彼に
    「ヨーロッパは色々と作り出してニューギニアに持ち込んだ。
    だけど、ニューギニア人は何も生み出せなかったのはなぜなんだ?」
    という何気ない問いかけからスタートする。

    現代社会に、国家間の不均衡が生じているのは紛れもない事実であり、
    いわゆる後進国と呼ばれる地域の人種の生物学的劣等が、
    現在の不均衡を生み出したという論調もあるそうだ。

    著者は上のような丁寧な考察によってこれらの論説を真正面から否定する。
    確かに本書の内容自体が「環境決定論」的ではあるが、友人への慈愛にも満ちていると感じた。

    また同時に学術界のなかで、歴史学が不当に見下されている点にも言及している。
    物理や生物、化学などの「科学」と比べたときに、不運な特徴を有する歴史学であるが、
    それでも歴史を科学として捉えるとする論調は興味深い。
    科学として「不可能であること」と「難しいこと」は違うと。

    しかし、読了まで時間がかかった。
    面白いのだけど、なかなか読み進められない。

    ちなみに奇妙なタイトルの「銃・病原菌・鉄」は、
    それぞれ、様々な歴史を決定づけた非常に重要な要因ではあるが、
    これが全てではなく、タイトルとしてつけると何となく面白そうかなぁって
    いう程度の感覚で付けられただけみたいです。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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