ループもののホラーです。
あるシチュエーションにはまり込んだ主人公が、
延々、同じシチュエーションを繰り返してしまう、という。
自閉症の息子を持つ主人公が、
一日、息子から離れ、友人たちと、ヨットでクルージングに出ます。
しかし、嵐に巻き込まれ、遭難。
そこに現れた豪華客船。
この客船に乗り込んだところから、ループが始まります。
以下、ものっそネタバレなので、ご注意下さい。
その客船には、すでに主人公自身が乗っていて、
彼らを次々殺していくんですね。
条件は・・・
・助かりたければ、全員を殺さなければならない
・全員を殺すと、ループが始動し、あらたな「彼ら(主人公と友人たち)」が乗り込んでくる
すでにループは何度も何度も繰り返されているようで、
ある場所には、同一人物の死体の山が築かれています。
映画の中で最初に乗り込んできた主人公は、
自分を襲ってきた自分自身を海に突き落としているのですが、
幾度目かのループの時、その突き落とされる側に回ります。
そこで、自宅へと駆けつけます。
そこで繰り広げられていたのは・・・
ヨットハーバーに来る直前に繰り広げられていていた光景。
自閉症の息子を怒鳴る、自分自身。
主人公は、息子を叱る自分を殺します。
そうして、今までの自分の息子への態度を悔いて、
「もう怒らないママになるから」と、
死んだ自分をトランクに、息子を助手席に乗せて車を走らせます。
・・・が。
途中、事故にあい、二人とも死んでしまいます。
死んだ息子を見つめるのは・・・
そう、もう一人の自分です。
彼女はタクシーに乗り、ヨットハーバーへ。
また、ループが始まるのです。
この映画、船から脱出できないシーンが多いですので、
そこがメインかと思って最初は見ていますが、
実際には、息子が死んでしまうループを繰り返してしまう話なんです。
彼女は、自分が船から脱出して助かりたいんじゃない。
息子を助けたいんです。
が、それは何度も何度も失敗している。
それは、何十体と積み重なった死体の山が証明している。
彼女はね・・・
これからも、そのループから抜けられないんじゃないかと思います。
というのも、彼女は、自閉症の息子を怒鳴る、
「ダメな母親」の自分を殺す。
今度こそ、「いい母親」になりたい。
けれど結局、「ダメな自分」の死体を運ぶ車中、
息子に対して癇癪を起こして、その時に事故にあってしまうんです。
つまり、息子に対する愛情の示し方を変えないと抜けられないループなんですよ。
でも彼女はそれに気づけない。
なんだか、切ない話でした。