昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー 671) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたかったし読んでよかった。
    日露戦争の終わりからポツダム宣言までの昭和史録。第二次世界大戦はどのように始まりどのように終わったのか──

    戦争体験者でもある半藤さんからの講義を受けているような、お爺ちゃんから話を聞いているような、そんな気分に包まれる。戦争本のわりに難しくなくて読みやすい。分厚いけど戦争の一部だけではなく文脈が理解できる良書だと思う。一度読んでおいても良いのでは?という本。

    以下感想
    ・戦争の始まりについて、軍の上層部がイケイケドンドンで戦争に突入し民衆は苦労させられるばかり…というようなイメージを持ち続けていたが、実際は世論も民衆も大東亜共栄圏というスローガンに高揚し戦争に希望を抱いていたということには驚いた。今まで認識できていなかったことにも反省というか自分の国の近代史くらい教養として知っていないとなぁと改めて思うなどした。

    ・火力も兵力も尽きているくせに無条件降伏が不満だった為「こうなったら最後まで戦い抜く」などど決断が遅れ、結果的に原爆投下されてしまった。

    ・インパール作戦を指揮した牟田口廉也中将。人には人の、時代には時代の正義があることは理解するが、どの本を読んでもこの人だけは桁違いに傲慢。本書でも救いようのない悪だった。

    ・半藤さんの言葉(要約)
    「時代の渦中にいる人間というものは、まったく時代の実像を理解出来ないのではないか。今だって豊富すぎる情報で我々は日本の現在を把握している、リアルタイムで実感していると、そう思っている。でもそれはそう思い込んでいるだけで実は何も分かっていない、何も見えていないのではないか、歴史とはそういう不気味さを秘めている。だから歴史を学んで歴史を見る眼を磨けというわけなんですな」

    本当に本当にその通りだと思った。

  • いろんな人がオススメしている本ではあるが、タイトルがごついのでどんな堅い本かと思ってなかなか手に取れていなかったのだが、ようやっと読み始めたらこれが面白いのなんの。

    堅苦しいことなど一切ない「授業」が続いていくのである。

    とはいえ、戦前日本の情けなさが満載の本だから、段々と気持ちは暗くなってきてしまう。

    マスコミや陸軍・海軍の低レベルなことこの上ない。

    レベルが低かろうがなんだろうが世の中を動かすことはできてしまうのだ。

    会社経営も同じこと。

    過去の勢いに乗って自らを過信して突き進むと必ず負ける。

    謙虚が一番。


    面白かったとはいえ読了するのに3週間近くかかってしまった。

    戦後編に行きたいところだが、溜まっている雑誌を先に読むことにしよう。

  • オーディブルの著者本人の講義と並行して完走した。素晴らしい!

  • 日本人なら一度は読んでおくべき、でもあんまり詳細は覚えていない。

  • 口語体で昭和史の前半(戦争で負けるまで)を講義という形で著述する。
    昭和史という無味なタイトルと本の厚みで歴史弱者はビビるかもしれないが、とても読みやすく寧ろ中高生でさらっと歴史を習った程度の人こそ読むべき本だと思う。
    当たり前だが、昭和史前半は戦争の時代であり戦争と軍部の話が中心になることは承知した方がよい。
    というか、ほぼ軍部のゴタゴタを500ページ読まされた様な気がしないでもない(笑)

  • 開戦前からの流れを大まかに知りたいという目的で読んだのだけど、もっとわかりやすい本が他にあったかもと後悔した。
    話し言葉で書かれているのと人名の羅列で、読んでいくのに苦労した。

  • 歴史モノはあまり読まないのだけど、これは戦争に突き進む前から戦争終結までが分かりやすく纏まっていてなかなか良かった。

  • 天皇視点から見る昭和の時代を即位から戦後直後まで描く。天皇の思いと軍部とのすれ違いによって形成されてきた日本が進んだ道。また、解釈の齟齬や伝言ゲームから生じる掛け違い、すれ違いが国という単位で起こってきたのかが語られる。

  • 2.26事件やノモンハン事件、南方作戦や無条件降伏など、それぞれ本一冊書けるようなテーマを凝縮し、なぜ日本は無謀な戦争に突入したのかというテーマに迫る本。だから、自分のような素人でも流れがわかりやすくできており、興味を持った人物や出来事をさらに調べるための無数の入り口を用意してくれているように感じた。これからこの本に出てきた出来事や人物に関するもう少し詳しい内容の本を読む際、大まかな流れや因果を意識する上での基軸として大いに役立ちそうであり、読む価値は十分にある。
    結びの章の五つの教訓に関しては、日々のニュースを見る上でもぜひ頭の片隅にとどめておきたいと思う。

    ■以下個人的な感想■
    個人的には、「なぜあのような戦争が起きたのか。それを導いた決定的な戦犯は誰なのか。」という興味で本書を手に取った。読み終えて感じたのは、その問いの答えが一言二言で済むような単純なものではない、ということだ。
    満州事変、統帥権干犯問題、2.26事件や三国同盟そのほか…と、まずい選択が積み重なった末の対英米開戦という流れであったが、これを追うことでその根底にある一番の問題が徐々にはっきりと感じられるようになった。エラい人たちの都合の良いものしか見ずに誰も責任を取りたがらない、日和見主義的な組織の風紀、みたいなものだろうか。これがある限り、例えば松岡や近衛があの立場になくても、2.26事件で皇道派が実権を握ったとしてもおそらく遅かれ早かれ日本は戦争へと身を投じていたのだろう。だから最初に期待した「決定的な戦犯」は、言葉を変えていえば「こいつさえいなければ…、」という人物は、見つけることができなかった。
    ルーズベルト、チャーチル、ヒトラー、スターリンなど、外国ではいい意味でも悪い意味でも戦争を動かした人物ははっきりしていたのに、日本に関してはそれがすぐに出てこない。そのあたりの組織の複雑さが、日本の昭和史を学ぶ面白さなのかもしれないな、と思った。

  • 授業形式の語り下ろしを本にしたもの。とてもわかりやすかった。若い時にきちんとこういう形で(正しい目を持った先生によって)昭和史を習いたかった。戦争が活発になると新聞屋が儲かる→言論統制などではなく、自社の利益のためどの大手新聞もこぞって国民を煽動していたというのは衝撃。軍人は戦争がないと出世ができないというのも。後世の我々が、誰が見てもアホと思う戦争をなぜやっていたのか。それがよくわかる。よくわかってもやはりアホだとしか思えず、怒りが沸き起こる。現代にもアホな国家が幾つもあるが、当時の日本の方がヤバかったということだ。日本人はそのことをわきまえないとならない。そういうことをしていた歴史があるということは、そういう気質や国民性があると言うことだ。今も、気づいていないだけで何かヤバいことが進行しているかもしれない。ヒトラーに心酔してしまったドイツ国民をもしかりだが、日本人も盲目的に熱狂してしまう傾向があるのかもしれない。歴史を学んで自戒したいものだ。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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