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感想・レビュー・書評
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ブログをきっかけに著者を知り読んでみた。
特に印象的だったのは、道州制、教育バウチャー制度、少子高齢化問題について。10年前と基本的にあまり変わっておらず、経済のカラクリや政治絡みの現実を理解できた。まさに題名通りの内容で良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現在の日本が衰退途上国になってしまっている理由などが、経済学を通して分かりやすく説明してあった。
SDGsにもあるように「貧困を解決する」などの目標を掲げているにも関わらず、発展途上国などの貧しい国はなぜ貧しいままなのかという理由が、経済学のグローバリゼーションで理解できた。
ユニクロなどの工場が人件費の安い国に工場を作ることによって、「搾取だ」などの批判が上がるが、貧しい国では仕事が与えられ賃金がもらえ、先進国では物が安く買えるようになるというwin-winの関係である。
貧しい国の安い人件費を使って生産することで、先進国の高い人件費で洋服を作っていた人たちは失業してしまうが、失業するということは、経済学的には、人的流動性が上がり、新しい産業が生まれるチャンスだと説明してある。
グローバリゼーションになることで、より生産的になる比較優位の法則が生まれ、全体のGDPのパイも増えていく。
年金という制度がポンジスキームと同じで、もうすでに破綻しているという揶揄のある説明も面白く読めた。 -
この本に書いてある通りだと思うが、共産党などの何でも反対党と、それを礼賛するマスコミにより実現不能だろう。
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ここまでグローバル化と規制緩和にエールを送れるとは・・ お金持ちの論理と倫理がよくわかるという意味では貴重な資料かな。お金出してまで買う気分には慣れませんが・・・(ちゃんと買いましたけど・・)
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ますますサヨク嫌いになるなあ。
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藤沢数希著「日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門」ダイヤモンド社(2011)
*現在の日本の社会保障費の合計はなんと100兆円を超えています、日本のGDPが500兆円程度なのでなんとその五分の一。年金が約50兆円、医療費が約30兆円、そしてその他の福祉費用が約20兆円です。高齢化に伴いこの社会保障費は毎年3兆円以上が自然に増えて行きます。要するに日本の社会保障制度はすでに詰んでいて、あとはいつ破綻するかの問題なのです。
*経済学がすべてを解決するわけではありません。経済学は市場原理主義とはまったく異なる物で、むしろ市場が失敗する状況を様々な角度から分析するのが最近の経済学ではとても活発な研究分野です。実は市場が失敗するケースは下記の4つです。(1)規模の経済と独占企業、(2)外部不経済、(3)公共財の提供、(4)情報の非対称性です。規模の経済と独占企業は、最初に大きな設備投資をしてしまった会社が規模の経済を最大限に利用して市場を独占してしまうという事が可能です。そうなると、競争原理がはたらかず利用者は高い料金でも利用せずにはいれません。規模の経済が大きく働く産業では独占企業がうまれてしまうために自由市場の競争にすべてを任せる訳には生きません。外部不経済は、これは公害が分かりやすいです。公害をまき散らす方が同じ物をより安い価格で提供できることから公害会社が競争に勝ってしまいます。このように競争市場の外で発生する経済問題を外部不経済と呼びます。公共財の提供は、これは警察などのようなものが分かりやすいです。つまり非競合性と非排除性です。これらは市場による自由な競争では必ずしもうまくいきません。最後の情報の非対称性は、アカロフの原理です。これら4つ以外のすべてにおいて自由な市場による競争というのが、国民全体をより豊かにするための最高のシステムとなります。政府の役割は市場に恣意的に介入することではなく、市場の失敗を正していくということです。もう一つの政府の役割はセーフティネットを税金でつくることです。最低限の生活費を給付したりするセーフティネットが必要です。競争に負けた人がそのまま社会復帰できなければ社会全体にとっても多いな損失です。
*GDPというのは、最終的に新しく生み出されたモノとサービスしかカウントしません。何かをつくるために必要な中間のモノやサービスは入りません。ちなみに、パンが売れ残った場合は、捨てた場合はGDPに入りませんが、在庫になって将来売るために取ってある場合は、在庫投資したと考えてGDPに入りませす。中古の本や車は新品として売られた時と中古として売られたときに2重カウントしてしまうのでGDPには入りません。また、株式や債券などの金融商品の売買も実際にモノやサービスを直接生み出してはいないのでGDPの計算には入りません。しかし金融商品の売買で得た手数料や運用報酬はGDPに入りません。金融サービスを国民に提供しているためです。
*景気が悪くなったときに、政府と中央銀行が取るべき景気対策は基本2つです。財政政策と金融政策です。財政政策は歳入面と歳出面の2つに分けられます。歳入面での景気対策とは減税であり、歳出面での景気対策とは主に公共事業のことです。最近では定額給付金なども歳出面での財政政策です。金融政策による景気対策は金利を下げる金融緩和です。
*為替の理論を簡単にいえば、為替を決める大きな要因は(1)インフレ率、(2)金利、(3)経常収支の3点です。
*成長戦略が何もないのが一番の成長戦略とは?エコ、介護、海外インフラとかいろいろな成長戦略がでてきましたがこれは日本経済の成長を阻む事になります。なぜなら、理由は下記3つです。(1)政府が成長産業を見抜く事はできないということ、(2)民間投資を政府の活動が追い出してしまい効率的な資源配分をゆがめることになること(ある分野を優遇すれば他の分やを冷遇するという事、本来自由市場の中の競争原理により資源配分されるものが政府の恣意的な配分に変わる事で国民全体利益が現象)、(3)人々のインセンティブをゆがめてしまうこと(政府が恣意的に政策を行えば、労力が政府に陳情にいくことに費やされます。本来であれば民間企業の創意工夫により経済成長がなされます)。それでは本当の成長戦略とはなにか?それはリスクを取って成功した人に対して報いる税制と大胆な規制緩和です。