彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫) [Kindle]

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  • 映画化された(観てない)ミステリー小説。
    沼田まほかる作品は初読み。
    表紙に映画の写真を使っているので、キャスティング通りにイメージしながら読んだ。

    半分くらいまで、ずっと十和子が好きでもない貧相な中年男・陣治と暮らしていながら悪態をつき、昔付き合った男を未練たらたら思い返すという、地味すぎる内容にイライラしてた。
    登場人物が少ない。
    このクズな人達ばかりの物語にいったいどんなミステリーがあるのか....

    しかし、半分過ぎて以降、急激に全体の雰囲気が怪しくなる。
    十和子目線での展開だけなのだが、この女、絶対イカれてる!ってわかる。いや、しょっぱなからおかしな主人公だとは思っていたけど、ヤバいんですよ。
    十和子の精神状態のヒリヒリした感じ、焦燥感が伝わってきて、それほど大きな展開じゃなくても十和子が壊れかけてる人だということが伝わってくる。

    映画『ブラック・スワン』を観た時を思い出したりして。

    ストーリーはちょっと予想できる範疇ではあったけど、微妙な心理状態をよくここまで表現できたな、と感心しました。
    読後感が良いわけじゃないけど、面白く読めました。

  • 前半なんだかずっと不快な気分でなかなか乗れなかったのに後半はもうとにかくページを捲る手が止められなかった。
    次へ次へと読み進んでいる間、面白いミステリに出会えたと思ってたけど、読み終わった今は強烈な愛のお話だったんだなと思う。
    そんな方法で?でも、確実に…
    哀しいけれど。

  • 真実の愛とか恋愛とか、そういう表現をするとちょっと違うな、と感じてしまうけれど、読み終わって感じたのは、誰かを大事にしたくなる、何があっても側で守りたいと思う気持ちは、理屈じゃないんだな、という事。物語の核は陣治の愛。だけど視点となる十和子はそれを感じとれない。それでも陣治は十和子を大事に大事に守る。ラストシーンは、十和子がこれからも生きていく理由を作る為の選択だったと思う。一言で表すとしたら無償の愛、ですかね。
    かなりヒリヒリするような表現も多くて、作者の多感さ表現技術を感じた。こんな文章を生める感性って、日々生きづらくないだろうか。。

  • その帯の惹句を目にした瞬間
    足が止まり 吸い寄せられるように
    手に取ってしまいました。 

    『綺麗は汚い 汚いは綺麗』

    実際には ”綺麗”なものなんて
    ひとつも出てこず
    誰一人共感できない 登場人物
    暗くて救いのないストーリー

    なのに 何故か
    ページを繰る手を止められず

    夜通しかけて 読み続け 
    白々と夜が明ける中

    本を閉じた瞬間 
    声を上げて 泣いてしまいました。

    子どものように。

    悲しいとも 切ないとも違う。
    胸が締め付けられるほどの苦しさ。

    強いて言えば 恋愛小説です。

    同性として ちっとも共感できない
    不満ばかり抱えて エキセントリックな女性と
    粗野で不潔で下品な男性の。

    でも、読み終えた時に初めて
    『綺麗は汚い。汚いは綺麗』

    この言葉の重みが 胸に染み渡ります。  

    ただ、かなり好みの分かれる
    作品であることは 間違いありません。

  • 映画見てみようと思います。

  • 知らない世界があると思った。

  • ▪️友達から借りて読みました。ずーっと暗いしなかなか入り込めなくてこれは映画も見る気なさそうだなぁって思ってて読み進め最後の最後のうゎ!ってなって、映画も見たくなりました。。
    多分個人的に蒼井優の最低な感じの入り込めないこの女性の感じ、うわぁあぁ嫌い(演技が上手いの意)って、なりそうで怖いもの見たさ…。この感じの阿部サダヲは上手い気がするな。

  • 映画見る前に読もうと思って沼田氏初読。ラスト展開はほぼ予想通り。人物描写が生々しくえげつない。黒崎も水島もわかりやすいサイテー男なのに、十和子はコロッと騙される。男もひどいが女もひどい。幸せな人が見当たらない。そして陣治も生理的嫌悪感を具現化したような男。だけど、彼が時々見せる凄み(電車内で十和子に触れた男をさっとホームに追い払った時とか、かつあげ男を追い払った時とか)が、グッとくる。これを阿部サダヲさんが演じるのなら、堕ちる(笑)。

  • 表現力が圧倒的。
    めげそうになったけど、最後まで読み切って良かった。

  • ラストに愛が現れてる気がする。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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