一九八四年 (ハヤカワepi文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 101号室恐怖だわ
    話としてはとても面白くてあっという間に読み終える
    統制社会の恐怖をまざまざと感じることができる1冊

  • なんか、2017年の今、読むと、幼稚に感じる。だいぶ語り尽くされた世界に感じる。もともと刊行されたのが1949年と言うんだから、そう考えると、70年後の現代をかなりとらえてるし、イマジネーションはかなり精緻。そこは凄いと思うけど、スピルバーグやジョージルーカス、もしくはキューブリックを見て育った僕なんかが、今読むと、残念感じる。

  • 他の動物ではない人間のみが作り出せるイデオロギーとそれを具現化したコミュニティの究極形を描き出した作品だと思った。
    以前読んだ『夜と霧』で、ナチスの強制収容所の凄惨な現状が描かれていて、これぞ人間が理性を失い、行き着くところまで行き着いてしまった究極のコミュニティのありようなのだと思った。本作品は現実に起こり得た共産主義、全体主義をフィクショナルな前提も交えつつさらに昇華させ、究極の管理社会の絵姿を提示している。
    本作中の拷問などは読んでいて恐怖を覚えたが、同じく恐怖を覚えたことがある。それは、現実の人間も、このような社会をきっと作り出せてしまうのではないか、ということだ。もちろんテレスクリーンなど、現代の技術からして模倣が難しい点もあるが、人間性を捨て去って、全体主義のラディカルな思想を信奉し、他人を裏切り、殺戮を繰り返すこと。それはできてしまう。他の動物は食料確保や縄張りを守るためにしか他者を攻撃しないだろうが、人間は違う。人間はフィクショナルな思考ができる脳という、強大な力を与えられてしまったがために、それが可能だ。そういった意味では、本書は人間の愚行に対する、最も重い警鐘を鳴らしているのかもしれない。

  •  アップルがMacintosh発売の時に流したCMのモチーフに使われたことが有名な小説ですが、実はまだ読んでませんでした。たまたまKindle Paperwhiteを買った直後に思い出したので読んでみました。

     あらすじは語り尽くされてる通り、“ビッグ・ブラザー”が支配する全体主義国家の話。1948年に書かれた作品なのでナチスやソ連をイメージしたものかと思いましたが、それらよりさらに進んだ全体主義という設定でした。

     すでに古典と化した作品ですので、今読んでもさほどの新鮮味はありませんでしたが、支配が強烈に迫ってくる感覚は十分に伝わってきました。ついつい現実の何かに重ねてみたくなりますが、重なって見えるものが偶然の一致かどうか自信がありません。

     アップルが「you'll see why 1984 won't be like "1984."」と語ってからもうすぐ30年。いまやそのアップルこそがビッグ・ブラザーになりつつあるのは、なんたる皮肉でしょうか。

  • すごいディストピアだけど一歩間違えれば現実になりそうな世界。

  • とても有名なSF小説なのに未読。解説等を見ると実は読んでない本で上位ランキングになっているらしい(^_^;
    意を決して読了である。

    面白い・・・が結局なんなのかよく判らない。大きな転結もなく、予定調和的に泥沼に沈んでいく話である。なにか大きな展開を期待しつつやはりそうなるのか。・・・でも面白い。

  • ぞっとする。一体なんのための世界だろう?
    でも、真理省で新たな真実をつくる仕事は少したのしそう。

  • 憎悪より愛をこめて。全体主義体制を敷く監視管理社会の恐ろしさを書くディストピア小説。

    第1章は監視管理社会でのパラノイア(偏執病)を蝕む人や社会が包み込む息苦しさを
    第2章では構築する社会システム、思想の教授、そして、愛し合う2人の一時を交えつつ
    第3章はオブライエンによる拷問、尋問にかけられ、徹底に破壊される主人公の思考矯正を冷徹に書き綴る。

    舞台となる社会、概念を多彩に彩るガジェットの中で特筆べきものは、二重思考であり、ニュースピークと歴史の改竄による不都合な真実を葬り去ることであると感じた。

    二重思考の術による思考、精神コントロールによる意識下における矛盾する事実の放棄、語彙やニュアンスを削除することで生まれる情感や選択を削ぎ落とし狭ばまれる多様性を排除させる新言語、比較基準、価値判断を見えなくする絶え間なく続く歴史の改竄とほかにも二分間憎悪、テレスクリーンなどと幾層にも覆い重なって形成される社会は、意識も思考も歴史も言葉すらも社会体制、権力を維持する為の供物でしかなく、剥奪される、壊される恐ろしさという側面もあるが、知らぬうちに感じられないうちその社会にとって都合のいい人間に染め上げられ、創り上げられていることに底知れぬ恐怖がある。

    SF小説に限らず後世に残り続けるものは人間の精神性、本質を浮き彫りに暴きつつ、其処には思索に繋がる普遍性なる骨子が残りある限り、廃れることなく劣ることなくあり続けるのだろうと思う。

  • 反知性主義が横行している今こそ読むべき本だ。思考は言語で行うものだから、語彙を減らしていくことは、思考の範囲を狭める非常に危険なことなんだな~。ガバナンスとか、ポートフォリオとか。日本語で、自分の言葉で思考の中に収めてから、これらの言葉を使うようにしないと危ないな。

  • 系統的に行われる焚書というものにすごく不安感を覚えるのは、私が記録を好む性質だからなのか、それともやっぱりそれはなにか本質的に"過去の破壊"に結びつく行為だからなんだろうか。『華氏451度』も発行年が1950年代と本書に近い。同時代に読んでいたら風刺にひねりが足りなさすぎると思っただろうけれど、今読む分には普遍的な部分が漉しとられ、かつては直喩だったものが隠喩として暗示的に作用しているようでおもしろい。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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