ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.45
  • (5)
  • (7)
  • (19)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 108
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (228ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 宗教法人の分室予定のマンションで男女4人が練炭自殺の様相が、始まりの場面である。
    宗教法人ということから、山吹が主役なのだろう。

    黄という題名からも・・・題名はもう少し工夫してほしい。
    赤崎が検死している中、黒崎の匂いの指摘、青山の部屋の異常性の気づきから、他殺の線も可能性が出てくる。さて、真実は?

    論理の飛躍はあるかもしれないが、作中に「読書によって前頭葉が発達する。前頭葉が発達するということは理性的になる。」という場面がある。
    私は読書が好きだが、必ずしも理性的とは言えないと思うのだ。どちらかと言うと感情的なタイプだと思っている。

    山吹の禅の考え方は興味深かった。ミステリーとしては、状況証拠から自白誘発ではあるが、そのプロセスは面白かった。
    山吹の自宅兼寺で解決編が終わり、明日まで座禅をと言う山吹に、翠がゴメンだわと言う、私もそれに強く同意した。

  • 一言声をかければ避けられたのかも。思い込みって怖い。

  • ・宗教団体の所持するマンションの一室で若者四人が練炭自殺をした
    ・現場には不審な点が複数あり。酒を飲んでいたはずなのにコップがない。睡眠薬を飲んだはずなのにそのゴミがない。目張りをしたガムテープがやけに雑で指紋がついていない。ガムテープの残りがない
    ・なのにいつもの無能警視が集団自殺だと決めつける。何回もミスってるのによく凝りないなこの人も
    ・マンションの鍵に関して、教祖はかかっていたと言い張り、内弟子はかかってなかったと言いはる。両者の意見は矛盾するが、結局お互いの認識の問題であり、実際には鍵はあいていた
    ・教祖と内弟子と古参女は三角関係。すべてはどちらも選べなかった古参女が内弟子を教団から追い出そうとしたことから始まる
    ・犯人は死んだ四人とつるんでいた男。四人はそれぞれカップルであり、自分を疎んでいたと思っている。ある日、内弟子の呼び出しだと告げられてマンションの一室に出向くと内弟子の姿はなく四人がバーベキューをしようと言う。四人の普段の言動から自分を殺そうとしていると勘違いした犯人は酒に常時携帯していた睡眠薬を仕込んで眠らせ、その場で四人を自殺に見せかけて殺害する。彼がもう少し冷静でその場にあるべきものを全て持ち帰っていなければ自殺として処理されていた可能性が高い
    ・犯人が自分を殺そうとしている(と思い込んでいる)四人と縁を切れなかったのは他に居場所がなかったから。五人は内弟子についていくと決めていたので、古参女が一度裏切った彼を再び教団に来るのを拒んだので今回の犯行が怒ってしまった。だいたいこの女が悪い
    ・作品全体を通してディスコミュニケーションが起こした悲劇というテイストを感じるが、ゲスト登場人物にあんまり感情移入できないのであまり腑に落ちた感じはしない
    ・ラストの解決編もみんなを集めたから誤解がとけてめでたしめでたしというわけでもなく。四人が死んでなかったらまたちょっと印象は違ったのかなと手落ち感を覚える
    ・坊主の禅パートが一番面白かった気もする

  • 学び、考え、悩み苦しんでも、なかなか真実は見えてこない。それは、機が熟していない証拠です。本当に機が熟せば、あの葉が自然に散ったように何かが見える。何かを感じる。その瞬間を、私たちは大機と呼んでいます。

  • 最新で

  • マンションの一室で若者男女四人が死んでいるのが発見された。室内の状況では自殺かと思われたが、腑に落ちない点がある。身元から彼らはある宗教団体の会員であることが分かった。今回は、第二化学担当で僧籍のある山吹が存在感を出す。

  • 科学特捜班のシリーズ。
    いつもどおりの2時間ドラマのような安定感だった。内容も展開も期待通り。

  • ST・色シリーズの3作目、満を持しての登場は禅の僧侶、
    山吹才蔵。僧侶が主役でないと成立しない感じのミステリーを
    持ってきた。

    アクの強いSTメンバーの中では正直影の薄い感のある山吹
    (っても僧侶ってだけでアレだけど)だが、今回のエピソードは
    宗教に携わった者でなければ解決出来ない種類。ここに来てようやく
    本領を発揮出来た山吹、今後の彼に御仏の救い(これもまぁあやふや
    だけど)があらんことを切に願う。

    ・・・ただ、読んだタイミングがすっごく悪かった(^^;)。
    読了直前に観たTVドラマがまさにこのエピソードであり、読む前に
    オチが解っちゃったという(^^;)。
    ドラマ終わるまで次読むのは止めようと思います、ええ。

  • ST唯一の良識派、でも坊さん。
    そんな山吹さんのお話。
    この回は、ドラマのほうが面白かったかも。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今野敏の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×