少女病 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 田山花袋文学忌 1872.1.22-1930.5.13 花袋忌
    1907年 少女病 以前ラジオドラマを見つけて、あまりにびっくりしたので、原作を読もうと思っていましたので、この際に。
    自伝らしい「蒲団」もなかなかの変態ですが、こちらも困った中年男。同じ頃書かれているので、これも自伝なのかしら。
    元作家で、今は出版社勤めの中年男。ビジュアルは良くない。若い頃、少女小説を書いてそこそこ売れた。妻と二人の子あり。
    その男が、通勤電車で見かける女子学生達を妄想して楽しむ。たまに、後をつける。しかも可愛い子が良いとくる。何を考えても、考えは見えないからいいんだけど。いや、良くないけど。
    この作品だって、カテゴリは純文学となるんだと思うと、時の流れって凄い。

    • みんみんさん
      そういえば京極さん何周年記念かで、Twitterにカッコ良いPV出してたよ_φ(・_・
      そういえば京極さん何周年記念かで、Twitterにカッコ良いPV出してたよ_φ(・_・
      2023/05/14
    • kuma0504さん
      ひええ!「少女病」って、そういう話だったんだ。「蒲団」が変態なのは知ってたけど。他にもあったのか!これが読者にどういう風に受け入れられていた...
      ひええ!「少女病」って、そういう話だったんだ。「蒲団」が変態なのは知ってたけど。他にもあったのか!これが読者にどういう風に受け入れられていたのかとても気になる。
      でも現代のイヤミス流行にしても、後々世界には「ひええ!」となるのかもしんない‥‥。
      2023/05/16
    • おびのりさん
      Kumaさん、こんにちは。
      この小説ラストだけは、少し悲壮感が出てくるのですが、総合判断は変態本で良いかと思います。
      こんな変な小説を最近ま...
      Kumaさん、こんにちは。
      この小説ラストだけは、少し悲壮感が出てくるのですが、総合判断は変態本で良いかと思います。
      こんな変な小説を最近まで知らなかったので、読んでから、検索してみてたんです。音楽ユニットで少女病という名称を使っているグループがいました。そして、ダヴィンチwebで数年前、愛すべき変態本の第一回に選ばれていました。世の中の読書人は、侮れません。読んでますね。
      そして、ダヴィンチで変態本は9冊まで選ばれてたのですが、私はそのうち8冊読んでいて確かほぼ高評価だと思います。結局、そういうのが好きなのだと再確認しました。
      2023/05/16
  • 読友さんの感想がトリガーとなる。37歳の主人公、妻と2人の子供と暮らす。文学者として名声を挙げたが、今では落ちぶれた雑誌社の社員となる。主人公は少女観察が趣味となり、道行く女学生や電車に乗る少女を眺めることを楽しみとする。どの駅で誰が乗ってくるかを把握できるほど、が、主人公は仕事や家庭、楽しみ・生きがいがない人生に絶望する。でも恋がしたい!と思う。そこで電車内で信じられない美少女が現れる。彼女に見とれていると、態勢を崩し線路に落ち、電車に轢かれ死亡する。哀れな男性と美女という欲求。分からんでもないなぁ。⑤

  • 自然主義文学ってこうゆうことなんでしょうか。

    おびのりさんがレビューで変態本として紹介されて、興味持って読んでしまいました…。
    美少女に対する狂おしい執着と妄想が巧みな文章で書き連ねていて、読んではいけないものを読んでいるという嫌悪感を持ちつつも途中でやめられず。

    陶酔に近い執拗な凝視の結末はあっけない。それはそれで、すっきりするという読後感を私は持ってしまった。

    • おびのりさん
      ようこそ変態本の世界へ。
      文章はさすがですよね。
      ようこそ変態本の世界へ。
      文章はさすがですよね。
      2023/05/18
    • ☆ベルガモット☆さん
      おびのりさん、こんばんは!
      変態本の世界、ちょっとだけお邪魔しまーす。
      本棚はこれからも参考にいたします。
      男女が変わるとどうなるのか...
      おびのりさん、こんばんは!
      変態本の世界、ちょっとだけお邪魔しまーす。
      本棚はこれからも参考にいたします。
      男女が変わるとどうなるのかなあと思ったりもしました。
      2023/05/18
  • 田山花袋の小説は、難しいと思った。なぜ列車から落ちたのか、状況がよくわからない。

  • 蒲団が衝撃で。このタイトルも衝撃だから電子で読んでみた。0円。

    無用な装飾のない文章でどんどん読み進められるが、絶対に知られたくはない趣味をバ~ンと文字にしてしまう花袋先生のやけっぱち感。漱石先生も50歳で亡くなっていると思えばこそ、37,8歳は老境かもしれないが、今の時代を生きていれば少年少女たちのために面白いアニメでも作っていたかもと思えるほどの独創性。

    倒錯的な趣味もこのあっけらかんとした素直な文章を前になんじゃこりゃ感倍増。当時の少女文学は美文なだけで深みがないと軽視されたようだが、花袋先生もまた美しい文章を書いたんだろうな。病気と呼ばれロストしてるといわれてもこの突き抜け感。最後がなんとも言えない。

    この人の本を読んで、読書ってこんなに簡単で楽しいものなのだということに気付く。みんながみんな難しい本を書く必要はないのだ。それなだけにコレは花袋先生じゃないとできないって気がしてくるからまた不思議。

    • minikokoさん
      レビューを読んで、すんごく読みたくなった!
      レビューを読んで、すんごく読みたくなった!
      2015/04/23
  • 目に入る美少女
    目に入る美少女
    目に入る美少女
    性癖の暴露

    目に入る美少女
    目に入る美少女
    目に入る美少女
    あくがれへの耽溺

    目に入る美少女
    目に入る美少女
    目に入る美少女
    _人人人人人人_
    > 突然の死 <
     ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄

  • ちょっと前に蒲団を読んで、すっかり田山花袋が好きになった。私小説の走りとして名前は超有名だが、それだけ花袋の書く小説が凄かったというのが納得できる。
    蒲団もこの短編もそうだが、その変態っぷりというか男の哀しい性というか、主人公が本当に自分勝手で最悪なんだけど、分かってしまうのだ。
    主人公は37歳の妻子持ち。蒲団と同じ子だくさんで、日々の生活の唯一の楽しみは通勤の行き帰りに乗り合わせる少女たちを眺めること。その趣味行動とともに、職場の人間関係が嫌とかとにかく寂しいとか心情を吐露するが、そのやるせなさはある程度歳をとらないと分からないだろう。オチで男は唐突に死んでしまうのだが、この突き放した感じもいい。
    100年経った今でも衝撃的なんだから、当時読んだ世間の驚天具合は凄かったんだと思う。
    名作という言葉とは少しイメージが違うが、永遠に色褪せないであろう中年男のための文学。

  • 肉慾ではなく精神的な寂しさから美少女たちを観察し美文で綴ることを楽しみとする無骨な中年の男の話。美女ではなくて美少女にこだわるのは純潔を求めているからなのか。オチが呆気なくて面食らった。

  • 読書会の課題図書。奇しくも生誕152年の本日(日付変わってしまったが)。初読は全然面白くないと思ったが、日本文学を専攻していた方がいらっしゃって、その方のコメントのお陰で少し深く読むことができた。

    ▼初読の感想。
    ・冒頭から本編へ、まるて別の人間のことを書いているのかと思うような違和感。外面は何の害もなく真面目な無名のサラリーマンであるということを強調したくてこういう構成にしているということか。
    ・本編は、異常な性癖とフィクションであることを除けば、ただのエッセイかと思う。心情にしろ風景にしろ描写に特段凝ったところは見受けられず、ふーんという感じ。(不審者がついに変なちょっかい出さないかは割とハラハラしてたけども。)
    →読書会にて、これこそが自然主義的であるということだと理解。
    ・ラストは急展開に驚いたが、まあ幸福の中死んだということだろうし、不謹慎だがある意味良かったねと思った。

    ▼読書会を経て気づいたこと。
    ・電車、女学生などは当時の新鮮な素材。轢死自殺が発生し始めたのもこの頃から。

    ・主人公は、まあただのロリコンなのだが、もっというと、触れられる距離にいるのに交われない存在への憧れを異常に拗らせている。電車は、そんな存在とすれ違う当時の画期的な舞台装置。単に行動力がないというよりは(現に、気に入った娘の後をつけて家を把握するくらいは平気でやってのける)、本質は、触れれば壊れてしまいかねない(恐らく処女性ともいうべき)ものを愛で愉しむ一方で、同時に、それ以上踏み込むべきでない存在である自身を忌んでいる。現実のつながりを求めるべきではないという考えと同じくらい、切羽詰まって求めてもいないともいえるだろうか(本編でも霊と肉がという話があったように)。こうして思うと、肉感的な描写は確かにそれほど多くはなく、服やアクセサリーなどの身につけているものの描写の印象が残る。
    ・現実のつながりを希求していないという点で、特に、ピンを拾ってあげた女学生を見かけて「あの子は俺のことを認識しているに違いない」などと思う場面は、その可能性に思いを巡らすこと自体を楽しんでいるだけで、恐らく、本当にそうであるかどうかは本質的には重要ではないのだろうと思う。それは、憧れの人への片想いを楽しむという感情に似ているという意味で、私自身にも覚えがあることに気づく。

    ・ラスト、自身が投影された主人公がこの電車という舞台から弾き出され無惨にも轢死するというのは、現実のつながりを求めてはいけないと自制している(のにやはりその考えには取り憑かれてしまう)田山自身の絶望であり、自虐である。

    ・自然主義らしく、本編は主人公の目線でしか語られない。思考や感情も、主人公が自覚していることしか語られないので、仮に深層心理ではもっとエグいものがあったとしても、この文章の表面には現れてはいない。
    ・映像化するとどうなるのだろうか。もし内面の語りがない場合、かなりシュールな短編映画になるだろう(孤独のグルメも、語りがなければかなりシュールな画だけれど)。それはそれで見てみたい。

  • 直接少女たちに触れたりすることはない、ただただ眺めて憧れるだけであるのに、こんなにも変態チックな描写になるのが面白い。そういう、正直且つどこか官能的に自分の趣味をあらわにするというところが、「蒲団」と通ずるものを感じた。

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著者プロフィール

1872年群馬県生まれ。小説家。『蒲団』『田舎教師』等、自然主義派の作品を発表。1930年没。

「2017年 『温泉天国 ごきげん文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田山花袋の作品

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