クリスマス・キャロル (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 皆さん、メリークリスマス。今日のようなクリスマスにピッタリの名作です。

    クリスマス・キャロルは、チャールズ・ディケンズの手がけた短編小説。物語の主役は、エベネーザー・スクルージという金にしか興味がない冷酷な老人です。クリスマスの夜、彼の元に7年前に亡くなったビジネスパートナーの霊と、過去・現在・未来のクリスマスの精霊たちが訪れました。彼らはスクルージに、自らの行いの結果として待ち受ける悲惨な未来を見せつけます。果たしてスクルージは心を変えることができるのか?クリスマスの本当の意味を理解することができるのでしょうか?

    この物語の核となるのは、慈善と赦しというテーマです。スクルージはこれまで、自分の欲望のために他人の苦しみを無視してきました。しかし、霊や精霊たちの導きにより、自分の行いの影響や与えられた愛や機会を思い出すことになります。そして、過去の過ちを悔い、現在を改め、未来を変える決意をするのです。

    本書の読みどころは、ディケンズのユニークな文体と、登場人物たちの魅力です。ディケンズは、風刺とユーモアを交えながら、当時のイギリス社会の暗い面やクリスマスの風俗を描き出しています。スクルージはじめ、登場人物たちはいずれも個性的で忘れられません。特に、スクルージの従業員、ボブ・クラチットとその息子タイニー・ティムは、貧しくても家族の愛に満ち溢れた存在としてえがかれています。

    私はこの本を読んで、スクルージの心の変化に深く共感しました。彼は最初クリスマスを嫌っていたのですが、最後にはそれを愛するようになります。彼の行動、財産を分け与えること、ボブの家族に手を差し伸べること、甥への謝罪は、まさに奇跡のよう。彼は自分の人生を見事にやり直したのだと思いました。

    読んだ後、私自身も自分の人生を見つめ直す機会になりました。自分はスクルージのように、欲望に囚われている部分はないだろうか。他人の気持ちや、自分に与えられた恵みに感謝しているだろうか。自分の過ちを認め、許しを求めることができるだろうか。この本は、そんな自分の心の奥深くを見つめるきっかけとなった一冊です。

  • クリスマスの時期に読むと決めていた本。
    無事にクリスマスに読了しました!

    12月は忙しさのほかに色々なことが重なって、本当にうんざりすることばかりだったけど、クリスマスは暖かい気持ちを持って過ごしたいなと思えた一冊でした。

    読み終えたのはクリスマスの夜なので、来年のクリスマスにがんばります。笑

    訳が読みにくい部分があったので、次は別の訳で読んでみたい!

  • ふと気が向いて近所の図書館へ行き、読んだことのない古典を読もうと思い、読んだ。
    この歳になって読んで良かったと思う。
    味わい深い。

  • 死体は勝手に目が開くので棺に入れる時に糊付けする。棺の中で目が開くというのは呪われた証。だから、死体には魔除けの効果のある銀で出来た銀貨を乗せる。(クリスマスキャロル)スクルージおじさんの酷さは、銀貨を盗んだケチさと、友人が呪われてもいいという思いやりのなさだ。

  • はじまりの本

  •  Amazon Kindle Unlimitedにて。2021年12月19日(土)に読み始めて、20日(日)に読み終える。

     20年ほど前に新潮文庫で読んでぜんぜんおもしろいと思わなかったのだけど、今回は少しだけおもしろいなと思えた。それでも途中まではたいくつで20年ほど前の経験を再確認するようなものだった。20年前の経験は訳の問題でもあったのかなと思い、今回は光文社古典新訳文庫で読んだのだけど、これがまたなかなか癖のある訳で、古風で格調高いと言えばよいかもしれないけど、正直読みづらかった。

     12月20日の文学カフェで取り上げる作品だったから再読したのだけど、そのときに話し合ったことなども振り返って考えてみると、スクルージーがこのような心変わりするという設定にリアリティーを感じないし、そもそも作品そのものが道徳の教科書のようで説教くさいなと。

  • 偏屈で周りから嫌われている老いた男が、3柱?のクリスマスの妖精(過去・現在・未来を司る)と出会い、自らを省みたり幼い子供の命が失われるのを見守る中で成熟していくストーリー。読了感最高。

  • 言葉が難しくて、内容が入って来づらい。
    なんとか意味を調べながら読むも、前半はスクルージの日頃の行いが悪いせいで辛気臭い(笑)
    後半はなんとか読めた。
    ほんとに読みづらくて、Kindleを放置してしまったほど。なんとか読み終えてよかった。

    読了日忘却(笑)

  • 細部にイギリス人にとってのクリスマスの原風景が垣間見えたように思う。ロックダウン下の現状を考えながら読むと辛い。ラスト、今更心を入れ替えたところで受け入れてもらえるとは限らないのでは、と思ってしまう心の汚れた現代人のため、平和に落ち着いてくれて心からホッとした。

  • 前半は退屈。スクルージが改心し始める後半は自分もハッとさせられる。

    スクルージが自分の醜さに気がついていく単純な話に見えるけど、僕には「身近なところに幸せって沢山眠っていて、多くはそれに気付いていない」って教訓も入っているように思えた。

    横暴さゆえに幸せを見過ごす。逆に、謙虚に生きれば小さな幸せも見つけ出せる。

    ディケンズの生きた時代は産業革命真っ只中の目まぐるしく変化する時代。そんな中でクリスマスという神話的なものの価値が見過ごされていた。

    そんなクリスマスに焦点を当て、それがいかに幸せか?我々はいかにその幸せを見過ごしているか?と実感させられる。

    あとがきにもあるように、現代はかつて以上に変化が激しい。そんな中で焦らず、止まってみることにこそ価値があるのでないか?
    古典作品を読むことはまさにそれ。

    止まってみることの価値を再認識し、小さな幸せを見つけるべきなんだ。

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著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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