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感想・レビュー・書評
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一言で表すと、『いやー拗らせてるなぁ…』って感じなのですが、めちゃめちゃ拗らせているのですが、なのになかなか説得力がある章も多くて、80年も前に書かれたものでも現代に通ずる概念があるのだなぁとびっくりした。続堕落論で語られる日本の国民性や悪妻論で語られる知性のある夫婦の話、エゴイズム小論で語られる母親の姿なんかは、そうだよねー分かる分かる!とうんうん頷いてしまうもんな…
最後に載ってた不良少年とキリスト、口語で思ったことそのまま書きました!みたいなのも、こんだけ拗らせてても歯は痛くなるし普通の人間なんだなぁって思えて面白くてよかった。歯痛で10日苦しんで奥さまに癇癪を起こしたあと、ちょっとよくなったら看病してくれてた奥さまが殴る蹴るでやり返したって話、私がこうやって書くと暴行みたいだけど、すごく軽妙な語り口で書かれてるので電車でちょっと笑ってしまった。こんなに拗らせた御仁でも奥さまに頭が上がらないのか、微笑ましい…などと思ったり。
あとはこの時代背景を彩る大本事件、住友家令嬢誘拐事件や太宰治の自殺などの事件について調べてみるのもなかなか興味深くて面白かった(本質から逸れていってるので、私の悪い癖でもある)フロイトの『誤謬の訂正』ってすごく身につまされるところがあるけど、本当にあるものなんだろうか?最終的にはそこが一番気になりました。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示