堕落論 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 一言で表すと、『いやー拗らせてるなぁ…』って感じなのですが、めちゃめちゃ拗らせているのですが、なのになかなか説得力がある章も多くて、80年も前に書かれたものでも現代に通ずる概念があるのだなぁとびっくりした。続堕落論で語られる日本の国民性や悪妻論で語られる知性のある夫婦の話、エゴイズム小論で語られる母親の姿なんかは、そうだよねー分かる分かる!とうんうん頷いてしまうもんな…

    最後に載ってた不良少年とキリスト、口語で思ったことそのまま書きました!みたいなのも、こんだけ拗らせてても歯は痛くなるし普通の人間なんだなぁって思えて面白くてよかった。歯痛で10日苦しんで奥さまに癇癪を起こしたあと、ちょっとよくなったら看病してくれてた奥さまが殴る蹴るでやり返したって話、私がこうやって書くと暴行みたいだけど、すごく軽妙な語り口で書かれてるので電車でちょっと笑ってしまった。こんなに拗らせた御仁でも奥さまに頭が上がらないのか、微笑ましい…などと思ったり。

    あとはこの時代背景を彩る大本事件、住友家令嬢誘拐事件や太宰治の自殺などの事件について調べてみるのもなかなか興味深くて面白かった(本質から逸れていってるので、私の悪い癖でもある)フロイトの『誤謬の訂正』ってすごく身につまされるところがあるけど、本当にあるものなんだろうか?最終的にはそこが一番気になりました。。。

著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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