- Amazon.co.jp ・電子書籍 (524ページ)
感想・レビュー・書評
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未解決事件を扱う特捜部Qが新設され、主人公のマークがそこのトップに。(と言っても1人…)助手のアサドも加わり、国会議員の事件を追うことになる。
1度捜査され、未解決となった事件の報告書から違和感を見つけ出し、徐々にパズルがハマっていくのが気持ちいい。
ミレーネ側の時間軸とマーク側の時間軸が交互に語られるが、それがまた読む側からしたらドキドキ…ドキドキ…
とにかく次々とページをめくる手が止まらない。
これはシリーズ追わなきゃ。 -
Kindle Unlimitedで読了
大変久しぶりのミステリ。ハヤカワをKindleで読むとは、時代ですね。ずっとシリーズ物を読むことから離れていたので、評判も良くて一作目から配信されている、こちらのシリーズを手にしました。
主人公のカールはデンマークの警官。腕利きですが、ここしばらく捜査からは外れていました。それというのも捜査中に銃撃され、同僚が寝たきりの状態になっており、カールの心にも深い傷が残っていたのです。復職してみたところ、厄介払いよろしく、たったひとりの新設部署『特捜部Q』という、迷宮入り事件を再捜査するセクションの責任者に左遷されてしまったのです。半ばやけになっていたカールですが、助手のアサドの熱意や、政治的な駆け引きの結果、ある美人国会議員失踪事件を、再捜査することになり―。
北欧のミステリは初めて読みました。たった一人で事件に立ち向かう、ちょっと偏屈でこわもてのカール。伝統的な警察もののミステリにおいては、そんなに意外な人物ではありません。むしろ伝統的な主人公だと思います。被害者の国会議員、ミレーデの置かれている状況が非常に緊迫しているのと、物語の後半になるまで、謎が深いので、ついどうなるのだろうなと先を読んでしまいます。助手のシリア人、アサドも温かい人柄の良い人物で、カールとはいいコンビです。事件の真相や、ミレーデの弟、ウフェの描写や役割など見ると、ああこれは北欧ならではのお話だなと、私などは思ってしまいます。
きちんと謎がつながるのも、犯人の目星が読者につくタイミングも、本当によく腑に落ちるので、整っていてよく出来た小説ですね。それを高く評価するか、もっとどんでん返しがほしいと思うかはお好みだと思います。少なくとも
「下手だな。面白くないな。」
と本を閉じてしまうことがなく、安定して先を読ませるという点では、評価していいでしょう。派手さより堅実さが際立つのは、この物語の味でしょうか。 -
ある事件でやる気をなくしていた刑事カールが任された新設部署「特捜部Q」は過去の事件の再調査が目的。シリア出身の謎の男アサドを助手に5年前の女性議員失踪事件を調べ直し始めたカールだが……。シリーズ第一弾。→
カール視点(2007年)と議員であるミレーデ視点(2002年)が交互に語られ、徐々に繋がるところが最高にドキドキする!!
冒頭の檻の中の女はいつ出てくるのかも含め、とにかく読んでいて飽きない。グイグイ引き込まれる。
カールがまぁまぁいい加減で、アサドが変人なんだけど仕事が早いのもいい。→
カール側のサブキャラも濃いし、アサド側は得体が知れない。
あと、ミレーデの世界がこれまた切ないんだよぉぉぉ。
エピローグ、私は泣きました。この物語の閉じ方、私は大好きです。
ラスト読んで冒頭、そしてそれぞれの日常を読み直すと味があるわ……最高。
とりあえずシリーズ追いかけます! -
結論から言うと、最後まで読めて、結局とてもおもしろかったのだけれど、途中で恐ろしすぎて読むのをやめようかと思った。。。
ミステリにはさまざまな殺害方法が出てくるわけだけど、この、監禁して密閉空間の空気の圧力を下げていく、っていうのは斬新だけど、恐ろしすぎる。最後は人体が破裂するらしいけど。雨が降る前の低気圧だけで体調が悪くなる身としては、一バールずつ気圧を下げられるとかって、想像しただけで具合が悪くなった。。。
(ときどき、ミステリを読むって、なんについても悪いことを考える訓練をしているのでは?、恐ろしい想像のバリエーションを増やしてるだけでは?と思うことがある。。。わたしがもともと悲観的な人間だからだろうか??)
そこを除けば、だんだん事件の全容が見えてくるのがすごくおもしろかったし、ラストは本当にものすごくサスペンスフルでページターナーで、息がつまるほどだったし、よかったんだけど。。。
特捜部のメンバー、カールとアサドは個性的でそれぞれの背景の話も興味深いし、ふたりのやりとりはユーモアがあるし、シリーズとして楽しみなんだけど。。。
シリーズの続きを読むかどうかは、事件がいつもこんなに陰惨で恐ろしいのだろうか?っていうところで、微妙。。。 -
過去と現在が交錯しながらだんだんと謎が解けていく構成でとても面白い。伏線も巧みに織り込まれていて、読み返すとなるほど感。登場人物も多彩な魅力があり引き込まれる。
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audible 。amazon primeでシリーズのいくつかは映画として見た。本の方がハラハラ感が強いね。北欧のミステリーは読んでも見ても面白いです。人々の暮らしや文化が日本とは相当違うけど遅れてるなあと思うよ、ニッポン!
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オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』を今朝から聞き始める。
与野党の政治的駆け引きから、未解決事件を一手に引き受ける特捜部Q(という名の追い出し部屋)が立ち上げられ、コペンハーゲン警察の殺人捜査課から厄介払いされたカール・マーク警部補とその助手アサドがその任務に当たることに。部下の1人を銃撃で失い、生き残ったもう1人の部下も体に麻痺が残り、治る見込みがなくなって「殺してくれ」と頼んでくるなど、カールは仕事に対する情熱を失いかけていたが、きわめて有能な助手アサドと行動をともにするうちに、徐々に刑事らしさを取り戻していく。
5年前に起きた民主党副党首ミレーデ・ルンゴ―失踪事件は、ベルリンに向かう船から忽然として姿をくらまし、溺死体もあがらないまま、船からの転落死ということでひとまず幕が下ろされていた。唯一の身寄りである弟のウフェが幼少時の自動車事故で障害者となり、言葉を発しなくなっていたことも、未解決のまま事件が迷宮入りした原因の一つだったかもしれない。
オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』の続き。
暗闇の中にミレーデ・ルンゴーを監禁し続けた犯人の鬼畜のセリフ。
「誕生日おめでとう、ミレーデ。三十二歳を祝ってあげよう。そう、今日は七月六日。お前はここに百二十六日間うずくまっていた。そしてこれが私たちからの誕生日プレゼントだ。今から一年間、明かりをずっとつけておいてやるよ。お前がこの質問に答えることができれば別だけどね。質問はこうだ。〝なぜ私たちはお前を檻に閉じ込めているのか?〟」
「落ち着きなよ、ミレーデ。殺しゃしないさ。それどころか、これ以上ひどいことにならないよう、チャンスを与えようとしているんだよ。自分に与えられた問いに答えることだね。私たちはなぜお前を獣のように檻に入れているか。答えは自分で見つけな」
「答えろ、ミレーデ。答えないと、もっとひどい結果が待っているよ」
「残念。お前は試験に落ちた、ミレーデ。罰を下す時間がきたよ。まあ、そんなにきつくないはずさ。楽に耐えられるよ」
「部屋の気圧を二バールに上げる。一年後にお前がどのくらい賢くなっているか、見ものだね。人間の身体が最大でどれくらいの気圧に耐えられるのか、正確にはわからない。でも時間が経てばお互いわかるだろうよ」
二度目の誕生日を迎えたはずなのに、見出しの日付が「二〇〇二年」のまま変わらないのはなぜか。
「おめでとう、ミレーデ」「三十三歳の誕生日おめでとう。元気そうじゃないか。今年一年、勇敢な子だった。太陽も輝いているよ!」
「あの質問について、ちゃんと考えたか? なぜ私たちがお前を動物のように檻に入れているのか。なぜお前がここで監禁に耐えなくてはならないのか。答えがわかったか? それとも、またお前を抜歯無くてはならないのかね。誕生日プレゼントと罰と、お前が受け取るのはどっちだろうねえ?」
「ミレーデ、お前はこのゲームを全然理解していない。ヒントなどあるものか。お前はひとりで正解に辿り着かなくてはならないんだよ。バケツを送るよ。なぜ自分がここにいるのか、その間に考えることを許してやる。それから、お前に小さなプレゼントも送ってあげよう。役に立てばいいのだけどね。もうあんまり時間もないしね」
ミレーデの答えは「私はこれまで生きてきて何も悪いことなんかしてない。こんな目にあういわれはないわ」。1年以上監禁されて出てきた答えがこれってことはないのでは? 時間の感覚がおかしくなる。
「少しだけ核心に近づいたようだね。いいや、お前はそれだけのことを確かにしたのさ。確かにね」
「もう自己弁護はやめや。そんなことよりもバケツの中を見るんだ。嬉しいプレゼントだろう?」
バケツに入っていたのは懐中電灯。
「おやすみ、ミレーデ。あと一バール気圧を上げることにする。これでお前の記憶がよみがえるかどうか様子を見よう」
オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』の続き。
本筋とは全然関係ないんだけど、デンマークの婚姻制度がどうなってるのかは知らないけど、妻が浮気男と勝手にギャラリーを始めるのに、家賃の3分の2を夫が負担しなければいけないというのは、どういう価値基準なんだろうか。しかも別居中の妻は実の息子を夫(義理の父親)に預けっぱなしだというのに。カールがただ単にマヌケなのか、それとも世間的にはそれが当然とみなされているのか。そのあたりのニュアンスが、この翻訳からは伝わってこない。
オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』の続き。
免疫防衛関連の陳情団のメンバーでミレーデ・ルンゴーといい関係にあると目されていたダニエル・ヘイルと名乗っていた男と、ミレーデが失踪した翌日に自動車事故で亡くなったダニエル・ヘイルは別人だということが判明した。5年越しの捜査がようやく動き出す。
オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』の続き。
何者かになりすまされ、自動車事故で死亡したダニエル・ヘイルに、事故を偽装した殺人の線が浮上した。さらに、ダニエルの車と衝突した車の所有者もすでに死んでいるという。ハーディじゃなくても、プンプンにおうと言いたいところだ。
未解決事件を再捜査する特捜部Qは、当時事件を担当した刑事たちにとっては、自分たちのあら捜しをされるわけで、そもそも歓迎される存在じゃない。とくに新事実が発見され、捜査陣の見落としや怠慢が明らかになればなおのこと。カールははからずも、これまで以上に捜査課の鼻つまみ者になる運命にあった。
失われたと思っていたミレーデの書類カバンは、彼女の自宅のストーブの裏でほこりを被っていた。というとってつけたような設定は、この瞬間までカールに手帳を見てほしくなかったために付け加えられた人工物のような感じがして、好きになれなかった。
オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』の続き。
ダニエル・ヘイルになりすましていたのは、児童福祉施設出身のアトモスという男だと判明した。
「複数の情報がこの男と、アトモスと呼ばれていた青年を結びつけている。マエリビーの家政婦はこの青年が〝ベルリンへよい旅を〟という手紙を持ってきた男とほぼ同一人物だと証言した。そしてビレ・アントヴォースコウによれば、この男はダニエル・ヘイルと名乗っていたという。この男は、デニス・クヌスンの姉が、弟に大きな影響力を持っていたと述べた男と同一人物である。そして、その男はおそらく、友達であるデニス・クヌスンをそそのかし、本物のダニエル・ヘイルが運転する車と衝突させ、ヘイルを殺そうとしたと思われる。やっかいで複雑なことこの上ない。
それでも、次第に多くのパズルのピースが集まってきた。自動車事故直後に不審死を遂げたデニス。クヌスンがひとつ。アトモスの古い写真を見たときの、強烈としか言いようのない反応をしたウフェがひとつ。そのアトモスはのちにダニエル・ヘイルとしてミレーデ・ルンゴーと出会ったことがほぼ確実である。いかなる労苦もいとわない男によって仕組まれた出会いだ。
そして、最後にはミレーデ・ルンゴーが姿を消した。」
オーディブルはユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q:檻の中の女』の続き。
アトモス青年の正体が判明した。犯行の動機も。だが、カールには、それが過去の未解決事件の掘り起こしはなく、いままさに進行中の事件だとはわからない。シリアからの政治難民だという助手のアサドの身元も不明だ。 -
映画を見てだいぶ経ってからの小説読破。
こんな登場人物多かったっけ?というのと、こんな話だっけ?という印象が最初にきた。小説なので映像よりも登場人物の感情や思考がよく分かる反面、場面転換に遅さを感じる。とはいえ、主人公バディと周辺の人物が魅力的に描かれているので中弛みはそこまで感じなかった。
読み終わった後に、映画の終盤だけを見てみたらだいぶ色々端折られてて、やはり映像と小説は別物と考えた方が良いなと。