世界は密室でできている。 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 舞城作品の諸要素をバランス良く含んだスマッシュヒット的位置づけ…というのが全体を読んでの感想なのだけれど、そんな平均化を許すはずがないわけで、「ストップモーションアニメ」の陰惨な破壊力にはもう心臓が止まりそうになった。主人公が「こんなひどいことする人間がいるはずない」というようなことを再三嘆くのが印象的。この作品には、舞城さんが描いた毒々しくもキュートなマンガがところどころに挿入されている。それ知ってたら、キンドルじゃなくて紙の本を買ったのにと残念。そしてそして、『煙か土か食い物』をすぐにも再読しなければならないね。
    あと、一つ訊きたいのは、なんでわざわざエノキを「麻布高校に通っている」設定にしたのか。実はエノキは男の子だったんだよ、というオチがいつ出るかいつ出るかと思いながら読んでいたけど、結局そんなことはなく。あえてのミスリードだったのかな。
    *追記:今、『煙か土か食い物』を発掘して、自分が勘違いしてたことに気づいた。『煙か土か食い物』の主人公は由紀夫じゃなくて奈津川家の四郎だった。キャラがつながってる気がしたのになー!!ほんと読んだ本の内容すぐ忘れてしまうくせなんとかしたい。

  • 約10年振りに読んだ。
    勢い任せの強引なトリックと展開を勢い任せの流れるような文体で綴るトンデモ小説だったと当時を思い出しながら読んだ。

  • ●あらすじ
    15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!! (講談社BOOK倶楽部より抜粋)


    ●感想
    初めての舞城王太郎、語り口軽くて読みやすかったです。さらさら読める。でも私にはちょっと軽すぎるかもな…。青春ミステリだと多いのかもしれないけど、一人仲間(登場人物)が増えるたびに密室事件があり、関係性が変わるたびに密室事件がおこり…青春がつねに密室事件とともに進んでいく。当事者たちは大変だなぁ…笑
    最初の事件をラストに回収する構成は大好物なので嬉しかった。

  • 密室トリックとか別にどうでもいいし、犯人さえ分かればいいじゃん。から更に先へ。動機も誰が死んだとか殺したとかそういった諸々も全部どうでもいいじゃん。じゃあ、何が大切なのかって、それは当然今生きてるってこと。これからどう生きていくかということ。自分の人生とどう折り合いを付けるかってことで、それが世界で唯一意味のある"密室"。ルンババ12は密室からうまいこと脱出して全く関係ない場所で死ぬ。でもどこで死ぬかとかそんなのは全部どうでもいいことなのだ。"生きる"こと以外全部。

  • 約10年振りに読んだ。
    勢い任せの強引なトリックと展開を勢い任せの流れるような文体で綴るトンデモ小説だったと当時を思い出しながら読んだ。

  • 相変わらずのハイテンション、謎が解かれたような解かれていないような不思議な感じの密室ミステリ?なのかなぁ。

  • 思ったよりも面白かった。
    「キミトピア」を読んで、これはまた斬新な作家さんに出会ってしまった!と衝撃を受け、「阿修羅ガール」を読んで正直あんまり面白くて、今作に至る。どうでもいいけど。
    話はトントン拍子に進むところが良かった。舞城氏は口語文体の作品が多く(それしか読んだことないかも)、そこがまた独特な世界観を生み出せていると思う。
    ミステリィで、タイトル通りぜんぶ密室モノ。
    挿絵がちょこちょこあって、想像力、読解力に欠ける読者を助けてくれるところもベリィグッ!
    この作品というか、まぁ本を読んでいつも思うことだけど、どんな突飛なキャラクタが描かれていても、そういう人もいるかもしれない...と思える所が人間の不思議なところだと思う。
    この作品でも、登場人物はなんだかみんな変わってる。主人公はまともっぽい。(つか主人公の一人称で話が進められてるからまともじゃないと困る。)むしろ変わってるからキャラ立ちするのかもしれないけど、描写の仕方によっては僕らだって誰だって変わってると思う。
    人間は感情ってものがあって、同じものを見て、触っても、感じ方は違う。立場やそれぞれの状況も異なってくる。そこんところが色々なことを色々なふうに複雑にしてしまうように感じる。
    この作品では、主人公を取り巻く登場人物に近い人があっさり死んじゃって、あっさり話も進む。でも現実だってそうだ。色んな死に方や人による感じ方の差もあるだろうけど、人はあっさり死ぬし、時間は止まってくれない。現実は淡々と続いていく。
    だけどその出来事は心に刺さった棘みたいに残ってる。棘だから取り除くことは出来るだろうけど、刺さった深さによってはそれは容易じゃない。
    この作品は人間がもつ複雑さと棘を取り除くための道のりの話だと思う。
    主人公たちが大人になりきれない子どもなのも良かった。でもなんだか行動力ありすぎてビビる。おわり。

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著者プロフィール

1973年福井県生まれ。2001年『煙か土か食い物』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。『熊の場所』『九十九十九』『好き好き大好き超愛してる。』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『淵の王』など著書多数。2012年『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦著)の25周年に際して『JORGE JOESTAR』を刊行。近年は小説に留まらず、『バイオーグ・トリニティ』(漫画・大暮維人)の原作、トム・ジョーンズ『コールド・スナップ』の翻訳、短編映画『BREAK』や短編アニメ『龍の歯医者』『ハンマーヘッド』の原案、脚本、監督などを手掛けている。

「2015年 『深夜百太郎 入口』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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