デルス・ウザーラ (完全期間限定生産) [DVD]

監督 : 黒澤明 
出演 : ユーリー・サローミン  マキシム・ムンズク 
  • オデッサ・エンタテインメント
4.03
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本棚登録 : 64
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4982509320840

感想・レビュー・書評

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  • 2013年で最も感動した映画である。長年、絶版となっていた黒澤明の映画がようやくDVD化した。
    ロシアの探検家と先住民ナナイの猟師デルスとの旅と友情を描いた作品だ。当初、部下のロシア人達はデルスの「未開な」アニミズムやしきたりを馬鹿にするのだが、シベリアの大自然を前では都市のルールなど何の意味も持たず、デルスの心が染み入るようであった。黒澤がこだわり抜いたオールシベリアロケで、シベリアの厳しい風雪や落ち葉を踏む音、そしてデルスの「カピタン」という呼びかけが耳に余韻として残る。何よりも衝撃を受けたのはその結末である。思わず涙がこぼれたが、そのあっさりとしたラストシーンに黒澤らしさを噛みしめた。

  • ヤマザキマリさんのエッセイを読んでいて、息子さんの名前の由来になった「デルス」を見たいとわざわざ買いました。

    黒沢明の映画をちゃんと見たのは初めてに思いますが、こんなに淡々とおおげさじゃなく描けるとは、そしてロシア語の映画を撮っていたとは驚き。

    最後は大げさに脚色することもできたと思うのに淡々と終わっていてこれぞ、巨匠の技!さすがと思った。

  • 猟師、デルスウザーラは山でしか生きることのできない運命を持つ男であった。
    作品内でこれから辿る運命を悲劇的と形容するが、それはもはや運命なのであって、その運命を辿ることが純粋に美しく、山で生きる者の本物の死なのであろう。

    隊長は、一時山で生きることができなくなった(銃で標的を射る際に欠かすことのできない視力の喪失、さらに殺害者を殺すまで追い求める虎の影)デルスウザーラを保護するために、街へと連れて行くが、やはり山での生活が慣れているために、まともに生活できない。息苦しく、当人にとって習慣的な普通の行いが、街では犯罪として扱われること。
    行き場を失ったデルスウザーラは、他殺されるも死ぬまでそう時間はかからなかったと思う。
    また、隊長がデルスのために与えた銃が原因でデルスが死ぬのも相当皮肉的だ。
    デルスの運命は最新式の銃をも受けつけない。

    たしかに悲劇的な結末だが、美しい運命であった。
    もちろん、ロシアの原風景もひどく美しくあった。

  • 狩猟の民・デルスとロシア帝国調査隊隊長の友情を示す映画。
    1902年~1910年だから日露戦争前後の話となる。
    隊長(アルセーニエフ)とデルスは互いに命の助け合いを通じて深い信頼関係を築いた。
    そこには一見、先住民と帝国主義国家の対立は感じられない。(しかし、キャピタンの行為そのものが帝国主義国家の反映ではあるのだが)

    ロシア帝国調査隊の道案内をすることになったデルスは、ある時、山の神である虎を撃ったことから、いずれ自分に山の神から仕返しが来ると思うようになる。
    それを理解する同士アルセーニエフは、ハバロフスクの家で、デルスの老後を看ることになる。

    デルスは暖炉の火を眺めながら暮らしながらも、道路で寝られないことに怒る。
    川へ水を汲みに行けば良いのだと、家人が水を買うことに怒る。
    家人が暖房の薪を買うことに怒る。そして、公園の木を切り警察につかまる。
    そして、デルスは街では暮らせないと家を自ら出ることになり・・・

    映画の中で時折見られる北海道アイヌと同系列らしき人々や衣装が出てくる。仮にロシアが北海道を占領した場合どうなっていたかも感じられる。あるいはロシア人と日本人を対比して見ることを促しているのかもしれない。

    デルスには深い魂やスピリチュアルを感じずにおれず、その心はきっと・本当は万人に分かっているのだ。

    いろんな評価はできようが、黒澤氏だからできる深い映画だと感じた。

  • 友情、生き方、生きることの辛さ、楽しさ。

  • 自然の中で生きていくことと、私たちの生活は相容れないだけで、どちらが優れているというような次元の違いではない。

    どちらの世界で生きてようと同じ人間なのだから、心通わせることが当然できるし、中には悪い人間も当然いる。

    自分の属する社会の論理で相手方の社会の倫理を乱せばそこには悲劇が生まれる。

    そんなことを思いました。

著者プロフィール

(くろさわ あきら 1910−1998年)
日本を代表する映画監督。1943年『姿三四郎』で監督デビュー。生涯30本におよぶ名作を監督した。『七人の侍』(1954年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞)など海外の映画祭での受賞が多く、映画監督として初めて文化勲章、国民栄誉賞を受賞し、1990年には米アカデミー名誉賞が贈られた。

「2012年 『黒澤明脚本集『七人の侍』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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