ゼロ・ダーク・サーティ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

監督 : キャスリン・ビグロー 
出演 : ジェシカ・チャステイン  |ジェイソン・クラーク  ジョエル・エドガートン  ジェニファー・イーリー  マーク・ストロング 
  • Happinet(SB)(D)
3.47
  • (31)
  • (85)
  • (89)
  • (24)
  • (6)
本棚登録 : 419
感想 : 87
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953043435

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 映画として非常によくできていることは認めないわけにいかない。9.11から10年にわたってオサマ・ビン・ラディンを追い続けたCIA職員の執念のドラマには、拷問、諜報、仲間の死、リスクをとらない組織上部との対立など、見せ場となる要素が満載であるうえ、ついにオサマを追い詰め射殺するクライマックスまでが、感傷をいっさい省いた、畳みかけるような手法で提示される。
    実は、この実話が映画化されると聞いたときに私がいちばん期待していたのは、なぜオバマ政権が、オサマを生きたまま捕らえて裁判にかけることなく射殺する選択をしたのか、その背景が提示ないし暗示されることだったのだが、どうやら監督には、そうした政治的背景を描くことに最初から関心がなかったように見える。アメリカの対テロ戦争にどのような道義的問題があるにせよ、拷問禁止やオサマ射殺を決めた政治的選択にどのような理由があるにせよ、狂気に追い詰められながらも己の任務をこなす「現場」の兵士に寄り添うという制作姿勢は、前作の『ハートロッカー』から一貫しており、まさにそこが高く評価されているゆえんでもあろう。
    しかしもちろん、実際のオサマは主人公にとってのオブセッションの対象以上のものである。たとえば主人公でなくてもよい、このミッションに関わった誰かひとりの登場人物が、まさに自分の任務に対する熱心さゆえに、カウボーイよろしく建物に踏み込んでビン・ラディンらを射殺するという選択に疑問を提示するという描写があってもよかったはずだ。そうした問いかけをこの物語から除き、政治的決定など尻目に、己にあたえられた任務に専心する者として「現場」の兵隊たちを描くこと自体、ひとつの政治的効果をもつという事実に、少なくとも同時代を生きるわれわれ観る者は自覚的であるべきだろう。
    こうした禁欲を装った政治的語りをなりたたせているのは、まさに冒頭に示される死者のエコノミーにほかならない。9.11で殺されていった無垢の人々の声を、私たちは聞くことができる。だが、アメリカの無人戦闘機によって殺されていく者たちの声を、私たちは聞くことがない。あの声だけのシーンによってすでに、観客たちは、アメリカやイギリスのテロの犠牲者だけが、記憶されるべき死者としてカウントされるようなエコノミーの磁場にひきこまれているのだ。そのことに気づかせる契機はこの映画の内部にはない。映画としては見事に完結しているだけに、観る者の注意深さが試される作品だと思う。

  • 「ハート・ロッカー」を見て、あの映画がアカデミー賞を受賞というのが私には理解できなかったのですが、この映画を見て政治絡みの受賞なのかと少し疑いたくなりました。まるで史実であるかのようなビンラディン殺害までの捜査を描いていますが、こんな杜撰なCIAの捜査でテロリストを追い詰めたとはとうてい思えません。一般人に思い込ませる為に撮られた映画なのかななどと陰謀論好きの私は斜めに観てしまいました。サダム・フセインもそうですが、アメリカは必ず敵の大将を殺害しますよね。生かして連行はしない。そこに闇を感じてしまうのですよ。ドキュメンタリーではないので、あくまでも映画ということにしておけば都合が良いのかなと。映画としては突入までは淡々としていて退屈だったかなあ。緊迫感がないのがリアルなのかもしれませんけどね。

  • ビン・ラディン殺害(捕獲)ミッションに挑む女性捜査官の話。良くも悪くもアメリカらしい映画といったところか。その国体を明確に支持するわけでも批判しているわけでもない映画だとは感じたが、当事国ではない人間が観ると心中複雑な映画である。ミッションの中で主人公マヤのビン・ラディンに拘泥するあまり、上司に食ってかかるシーンなんかは面白かったけれど、★2で。

  • ともかく物凄く重くて、凄惨で、容赦ない暴力の話です。
    私はもちろんテロや戦争を肯定などしてはいませんが、
    手段を選ばない報復や復讐を自らの論理に於いて正当化し
    実行してしまうアメリカと云う国も肯定していない。

    彼らの行為は結局、終わりの無い暴力の応酬でしかない。
    彼女の執念もアメリカ人達の感情も確かに分からないでも無い。
    がしかし、憎悪に打ち震えたままで想いの丈を遂げてしまっては
    終わりの無い繰り返しにしかならないと思われてならない。

    私は戦争映画嫌いです。
    ホラーもスプラッターも殺人鬼もゾンビも大好きです。
    人がいっぱい死んじゃうけど…大好きです。
    それは架空の物語だから、どこかで許せる気がする。
    それこそが映画だから…

    でも戦争映画が描くモノはホントのことだったりする…
    それがイヤ…醜いし、辛いし、痛い…

    もっと考えればいいと思う。戦争なんていらないと思う。
    殺し合うなんておかしい…おかしいです。
    でも目を背けるだけでなく、知っておく事も必要だろうと思う。
    戦争映画は嫌い、この映画も最悪です。
    でも、知っておくべき事だと思う。

  • しかしアメリカってすごい国だよなぁ。ひとの国に行って勝手に軍事行動起こして人殺すんだもん。

    元々この事件についてはうさんくさいものを感じています。まだ起きたばかりで歴史的な評価も定まっていない事件を映画化する意図はなんなのか。いろんな意味で「危険」な映画だと思います。私のように先に拒否反応がたつ人間も少なくないはず。

    仮にそんな政治性を抜きにしてこの映画を純粋に楽しむとしても(そんなことはできないですけど)、イスラム系の名前(アブドナントカとか)をまったく覚えられないのは辛いですね。

  • 主役さんにリアリティや説得力を感じなかった。
    延々の拷問シーンは何を伝えたかったんだろう?
    「いいも悪いもこれが現実ですから」みたいな陳腐な自己完結でないことを祈るなあ。
    襲撃シーンは流石の迫力なんだけど、
    仮にも独立国の領土で無断であそこまでやられて
    怒らない方がおかしいわなあ、とも思いながら観た。

  • ビンラディンを追い詰めたのは、
    ひとりの女性だった――

    <9.11>から10年――
    彼女を駆り立てたのは、
    使命か、執念か。


    【ZERO DARK THIRTY】

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×