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感想・レビュー・書評
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とても前向きに学び続けることを推奨してくれている本。いい本です。
最近、なぜか勉強がイヤでイヤで仕方が無かった。授業がおもしろいと思えなくて、好きだと思って始めたのに興味が持てなくて、勉強の字の如く無理矢理強いて勉めている感じだった。
でもこの本を読んで、勉強が嫌いなわけじゃないと感じて、励まされているように感じた。
今は東工大でリベラルアーツ(教養)を教えていると言う池上さん。彼の学生に伝えようと言う姿勢にプロフェッショナルな気概を感じる。どうやったら相手に伝わるかと言うことを真剣に考えてあれこれ工夫をしている。そんな風に教えてもらえたら、興味のわかなかったものまで興味がわいてくるのだと思う。政治とか経済とか。その分野をおもしろいと思っている人が伝えるからおもしろいのかもしれない。
そして池上さんの参考にしたいところは、何かと何かをいつも関連づけたり、想像してそれらを重ねたりしながら物事を捉えていること。それがおもしろさにも繋がってくると思う。そして特に具体例を示すこと。ビジュアルを示すこと。頭の中でイメージができるということがとても大事なんだと思った。
以下は印象的だった部分の抜粋。
・「世界が明日終わりになると知っていても私は今日リンゴの木を植える」という有名な言葉があります。私は、明日死ぬことがわかっていても、やっぱり勉強を続けたいと願っています。こんな心構えを、父は教えてくれたのでしょう。
・当時の社会の様子・雰囲気を学生にわかってもらおうと一所懸命に説明の仕方を考えます。そして、そのことによって、私自身の理解も深まるのです。
・歴史を学ぶというのは、ものごとの因果関係をきちんと知ることです。それを知ることで、これからの時代についても、推測したり、自分なりの考えが持てるようになったりします。
・一つの正しい答えがあるわけではありません。私が求めたのは、「そういえば、何でこうなるのだろう?」と自分たちを見つめること
・あるキーワードで検索して引っ張ってきたものと、別のキーワードで引っ張ってきたものを重ねることによって新しい発想を生み出す。そこまでできないと、あまり意味がないと思うのです。「組み合わせて引っ張り出す能力」と言っていいかもしれません。
・つまり、聴いていて絵が自然に思い浮かび、なおかつ論理が通っていると、ストンと腹に落ちる、それが本当の意味で伝える力なのだ、という話です。
・読書がなければ教養は身につかないけれども、読書しただけで教養が身につくわけではない。
・私は、教養を持つということは「よりよく生きる」ということではないか、と思うのです。
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学ぶというのはどういうことか。
筆者がNHK時代に勉強したり、現在大学で教えたりしている経験から、学びや教養に関する様々なテーマについて論じている。
社会に出ると、答えの無い問題に対して、いかに答えを出していくかということが求められる。
また、問題そのものを自分で設定しなければいけない場面も頻繁にある。
学ぶとは、そういう社会の要求に答えられる自分をつくることなのだ。
それは、辛い反面、果てしなく自由な行為だ。
本を読むにも、学校に入って学ぶにも、これほど学びの機会の多い現代に生まれた幸せを噛み締めた反面、もっと早くこういう認識を持ちたかったとも思った。
また、筆者の話の分かりやすさには定評があると思うが、その辺りの話も面白かった。
相手に分かりやすく説明するとは、論理だけでなく、いかにビジュアルを相手と共有するかが鍵、というのは目から鱗だった。
分かりやすいメモの取り方やアジェンダの作り方なども、シンプルで、実践しやすいものだ。 -
学ぶということについて、池上さんらしくソフトな語り口によって解説した本。とても勉強になりました。
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池上さんの本、本屋さんに行くとたくさん並んでます。が、何となく手が出ませんでした。電子書籍で見つけたこの一冊。基本のような気がして、買って、一気に読んでしまいました。おもしろい。わかりやすい。静かに刺激的。 この本を読んでいる途中で、「毎日小学生新聞」のお試しを申し込んでしまいました(本書には登場していませんが)。わかりやすく伝えるまでの努力、大変なことだと思います。そこで、生きてくるのが、「教養」。
“「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」ことが多い”。そうかもしれませんね。 -
池上さんの向上心には頭が上がらない。知識の身につけ方、講義においても読書においてもただ単に鵜呑みにしていてはダメ。自分なりに噛み砕いてさらにアウトプットする必要性を改めて思い知りました。ノートの取り方についても学生時代の自分に教えてやりたくなりました。学生さんにはぜひ読んで欲しいです。
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学ぶことへの再確認。
第1章 学ぶことは楽しい
第2章 大学で教えることになった
第3章 身につけたい力
第4章 読書の楽しさ
第5章 学ぶことは生きること -
すぐ役にたつことは、すぐに役にたたなくなる
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あまりに政治経済あたりの知識が乏しいので、池上さんの本でも読むしかない、と思ったんだけど、彼のことほとんど知らないから、まずは好きになれるとばりばり読む気も起こるのでは?と思って手に取った。“初めて語った「池上彰ができるまで」。”と帯に書いてあったからね。まじめで純粋な人だなあ、と思った。すごく好きになった!というわけではないけど、少なくとも信頼できると思った。教養をつけることの説得力、圧倒的なものではなかったけど、すてきな部分はいくらかあったし、新しい知識もついた。「リベラルアーツ」について知れたのがよかったな。
「教養を得るとは究極的な自由を獲得すること」ってのがいい。「教養を持つとはよりよく生きる、こと」とも言っていて、よりよく生きるとは、私にとっては、より楽しく生きること。教養をつけると生きることはより楽しくなる、というのはなんとなくわかる。自分でものを考えることは楽しいし、教養はその頼もしい材料になるだろう。まあいやなところもたくさん見ることになるだろうけど、見ないよりいいと思う。
具体的に参考になったことは、読書について。読書は他人の考えた過程をたどるにすぎないから、深く感動した本や自分にとって意味があるとおもった本については、次の本にすぐに行かないで、しばらく余韻に浸る、考える時間を作る、というのが大事って話。それはそうだなあ、と気づきがあった。
これから池上さんの政治の本を読んで基礎知識をつけたうえで、それから津田っちの本を読みたい。(WEBで政治を動かす。津田さん好きなので読みたいのに追いついてないから。)