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感想・レビュー・書評
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『予想どおりに不合理』のダン・アリエリーが不正について解説する本。従来の経済学では、人は費用と便益を天秤にかけて不正を行うとする。だが行動経済学の観点では、人が天秤にかけるのは名誉と実益である。そして認知的柔軟性によって正当化に成功した時、人は不正を行うのだ。
例によって興味深い実験が多くて面白いのだが、今となっては素直に読むのが難しい。というのも、本書で紹介されている研究の一つにデータの捏造があったからだ。この件についてはブログに書いたので、そちらを読んでほしい。
https://honeshabri.hatenablog.com/entry/The_Honest_Truth_About_Dishonesty
データの捏造が判明しているのは俺の知る限り1件だけだが、紹介されている研究で再現性が無いものは複数存在する。これをもって全ての内容がうそであるとは言わないが、個々の事例は「そういう話もある」程度に思っておいた方がいいだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人は言い訳ができるときに不正を行う。バレない、疲れている、みんなやっている。
どうやったらこれをコントロールできるか、までは書いていない。
アメリカのポピュラーサイエンス本的な冗長さが強い。 -
「学力の経済学」という本で引用されている本(成績が悪い学生の祖母が試験前に亡くなることが多い、というエピソード)。
人はどんな高学歴であれ不正をする。その背景には正直者でありたいといった気持ちや、利他的に行動したがる、という背景がある。
不正を減らす誘因、促す誘因はを実験を通じて説明しておりとても面白かった。製薬会社と利益相反のエピソードもあり、医療者も読むといいと思う(利益相反の開示が問題解決にはならない、という内容が載っている)
追記: 筆者の論文における研究データの捏造が明らかになったので、本書についても評価は据置。 -
ほとんどの人は、ちょっとした不正をしながら生きている。本書は、その「ちょっとした不正」というのはどの程度で、その不正がどの程度の割合で行われるかを丹念に調べ上げている。自分を含む人間の軽い闇が見えて、なかなか楽しい(と思った時点で、いやらしい人間だろう)。マネージメントや業務プロセスに携わる人にお勧め。
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人がいとも簡単に些細なずるをしてしまうということを沢山の簡単な実験から実証してくれる.
利益相反や自分を欺き正当化する部分は、自分を振り返っても当てはまるように感じた.
数の少ない大きな不正を防ぐことも大切だが、数の多い問題としてピックアップされにくいようなより小さな不正をいかに減らしていくかも大事なのである.