焦茶色のパステル 新装版 (講談社文庫) [Kindle]

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  • 牧場で馬二頭と2人の人間が射殺され、その真相を追いかけていく話。

    終盤まで、女2人で犯人グループに突っ込
    んで行くハラハラ感(無謀やろ!)を励みに読んでいたが、真相?と思ったら、ちょいと捻られ、ひっくり返され、更にひっくり返されて・・・。

    まーちゃんさんの本棚&感想で知った共著の岡嶋二人さん。

    ずいぶん前にコンビ解消し、徳山さんは先日亡くなられたそうですが、ほかの作品もさらに読みたくなる共著作家さんです。

  • 「焦茶色のパステル」は、岡嶋二人さんのデビュー作にして、第28回江戸川乱歩賞受賞作品。

    英国などでは、ディック・フランシスのシリーズを始めとして色々と競馬をモチーフにした作品があるようですが、日本では珍しいですね。

    競馬の競走馬というのは、かなりの金額が動きますし、儲けも生まれます。
    しかも、人間と馬とのドラマが存在します。

    ただ、やはりイメージの違いが大きいんですよね。
    日本での競馬は、赤鉛筆と競馬新聞を持ったおじさんのイメージですが、英国では貴族が好むゲームですから。

    探偵役となるのは、競馬には全くの無知の大友香苗と競馬通の綾部芙美子の2人。
    デビュー作のせいか、2人の状況について、やや分かりづらく、感情移入できるようになるまで、少し時間がかかりましたが、しかし、この芙美子という女性がとても魅力的で、気がついたら物語に引きずり込まれていました。

    競馬に関して全く知識のない読者でも、競馬通の周囲の人間が、香苗のために説明するという体裁で様々なことが分かりやすく説明されていますので、まるで無理なく読めると思います。

    離婚も考えていた香苗が、実際問題としてここまで動くのかどうかは少々疑問だったのですが、競馬好きの芙美子に後押しされるようにして、謎に取り組むようになる過程がとても自然です。

    隆一に対して持っていた感情に対する罪悪感もありますし、それまで、競馬に興味のなかった香苗が、真島の説明を聞いて意外と楽しいと感じるというのも十分あり得ることだと思います。

    そこに押しの強い芙美子が加われば、お膳立てとしては十分ですよね。
    せっかくの宝飾店や彫金教室というモチーフをもっと生かして欲しかった気もしますが、読み終えてみるとなかなかの社会派ミステリでした。

  • 芙美子さんのちゃきちゃきした感じが個人的には読みやすかったし楽しかった。二転三転のクライマックスも必見。

  • この著者の作品らしくラストまで先が読めず、最後の最後ですべてが明かされるストーリー展開。
    他作品では「え、これで終わり」って感じで終わるのが不満でしたが、本作品はしっかりと終わり満足です。
    競走馬の血統詐称の話で、詐称してたのは子でなく親のほうというのに完全に騙されました。
    汚職話はダミーなんですね。

    以下のセリフは印象的でした。
    「未(いま)だ亡くならざる人、なんてさ。この言葉考えたのは、絶対に男だね。女に対する不信感がよく出てるよ」

  • 岡嶋二人の二人でやってる奴が読んでみたくなって過去のを読んでみたり。
    言われていた通り競馬とか馬の話なので、凄い理解できたわけじゃないけど、異色だったことは理解した。
    一人仕事になってからは普通に本格あるいは新本格な感じだけど、この2人の時期って結構短いんでしたっけ?

  • 昔の作品だけどなかなかすごい!!旦那さん、寂しくなかったかな。。

  • ずいぶん昔になにかの書評で称賛されてたので文庫を買ったのがきっかけ。
    最初に読んだ頃は競馬の「け」の字も知らなかったので、すごい話とは思いつついまいちピンとこなかった。

    んで、競馬場での仕事を経験した今、電子書籍を買ったのもいいきっかけになって再読してみた。
    犯人はなんとなく、動機はわりとはっきりと覚えていたので、自分の記憶する犯人が正しいか注意深く読み進めて行ったが、再読でもおもしろかった。
    むしろ犯人がここまでする必要があったのかという点が前回はわからなかったが、サラブレッドにおける血統の大切さや、競馬関係者(ファンも含む)の馬に対する思い入れなど、仕事の中で何度も痛感した経験を持つ今読むとこわいほどわかった。
    まあ、だからって人も馬も殺しちゃダメだけどね。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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