さいはての彼女 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 原田マハさんの作品を初めて読みました。ブクログを始めてから、お気に入りの作家さんが増えて世界が広がりました。

    私は現在仕事の関係で、コンビニに行くのに車で20分かかるような田舎に住んでいます。広大な大地にぽつんとひとりでいると、人間ってちっぽけだなと思うし、満点の星空を見上げるととても癒されます。だから、作中に出てくる女性が北海道の自然に心動かされるのも共感できました。

    バイクに詳しくないのでよくわからない内容もありましたが、それでも生き生きとした情景が思い浮かびました。

    • アールグレイさん
      初めまして(^-^)/Ayaさん

      アヤさんは(カタカナで失礼)ブクログを始めたばかりのようですね。
      私は、今月丁度三年経ちました。でも遅読...
      初めまして(^-^)/Ayaさん

      アヤさんは(カタカナで失礼)ブクログを始めたばかりのようですね。
      私は、今月丁度三年経ちました。でも遅読なので、なかなか冊数が増えません。
      最初の頃に登録した本は、内容が飛んでしまいレビューが書けなくなっている本がありますが、今では必ずレビューを書きます!
      今回は、スイート・ホーム、という原田マハさん(ご存じですよね)本を読みましたが、さいはての彼女にしようか迷いました。
      次は、凪良さんにしようかと思っています。
      遅くに大変失礼しました!これからよろしく
      (@^^)/~~~
      2024/02/18
  • 原田マハによる女性と旅をテーマにした短編4編。
    Kindle Unlimitedにて読了。

    とても穏やかなトーンの短編集で、寝る前にゆったり1編読むのに向いているんじゃないかなと思います。
    緩急が無い訳では全くないのですが、物語の激しさに1から10までのモノサシがあったとして、本著は2から7くらいと言うか。著者の作品はいくつか読んでいますが、本著は敢えて穏やかな筆致にしているように感じました。
    「無線LAN飛んでますか?」に対して「ツルなら飛んでるんだけどねえ」と返すこののんびりさが、本著を象徴しているような。

    各短編の主人公たち、この旅をきっかけに劇的に人生が変わるかと言うと、別にそういう訳ではない。
    ただ、それぞれが「さいはて」の地へ旅する中で、何かを見つけて少しだけ変わったのかもしれません。
    「さいはて」は地理的な果ての場所もあれば、一人旅での高級旅館というハードルの高い場所、地理的にはホームながら心理的にアウェーな場所、など、色々バリエーションがあったような。

    原田マハ作品、外れないなぁ。常に安定したクオリティなので、安心して読めます。

  • 夏の北海道のような爽やかな短編集。
    女性の一人旅の4編。

    私がバイク好きだったら★5つかな。
    疲れた時の箸休めにいい一冊です。

  • Kindle Unlimitedで読了

    いしかわゆきさんがSNSで紹介していらして、気になったので読んでみた。世知辛い世の中で、仕事や、自分にとって深い関係の人を失うと、なかなか転落感がすごいことになる。

    本書では、三本のお話が収録されているが、前、二本はどちらも、社会的な仕事の成功を収めた女性が、ふとしたことでそれを損ない、恋人にも去られて、足元がなくなったような思いの中、旅に出て再生していく、というお話。三作目は、一作目に登場する、非常に印象的な女性、サブヒロインの凪のお母さんのお話である。

    この、凪という娘が、まあ最高に素敵で、表題作の寂しさを裏切る、作品全体、いや、一冊全体の印象を決める爽快感は、凪の魅力によるものになる。

    お金も、ラグジュアリーな生活も、ちょっと人に自慢できるキャリアも持っていて、頑張ってきた主人公は、鼻持ちならないところもあるのだ。だけど、凪に会ってどんどん変わっていく。二作目も、旅先で出会った自然と、そこで出会った人に変えられてゆく。その過程や印象は、よく似ている。

    強気で、ちょっとお鼻の高い、彼女たちの思い上がりは、感じはよくないけど、このくらいは見覚えがある。誰あろう自分の中にだ。無論その成功は、彼女たち自身の努力が背景にあるのだけれど。それでも、挫折した時の喪失感や転落感は、冒頭にも書いたが、強い。

    なのに、なぜこの本は、こんなに爽やかなのか。挫折の先に、赦され、自縄自縛していたものがほどける、どこかホッとした思いがあるからだろう。

    道を見失った時、人間は、ひとりでもがく。それも大事なことなのだ。だけど、それでも上手く行かない時は。

    やっぱり、他人との関わり、出会いに鍵があることが多い。全く違う価値観、世界線に自分を置くことだ。そのあと、思い切って失敗した場に戻り、そこでもちゃんと受け止められていくこと。自分も変わること。が……大事なのだろう。こう書くと、簡単なことみたいだし、主人公のように、女満別APから網走までも、行かなくても良さそうであるが。実際やるとなると、いや。勇気が。

    それと、この小説、表題作と、三本目のお話は、ロードノベルでもあるが、バイク小説でもある。ハーレーが、とても重要な役割を持っていて、ハーレー乗りたちの物語でもある。ほんとにこんなふうなら、バイクに乗るのも最高だろう。特に凪の勤め先の社長が、私は大好きだ。

    原田マハさんと言うと、美術ミステリが面白いが、こういう普通の小説も、読後感が’とても良くて楽しかった。
    「お日柄もよく」なども読んでいい気がする。うまくいきすぎだとか、ライトだと言われるかもしれないが、この読後感のよさ、眼の前が明るむ感じも、私は小説ならではの楽しさと取った。

    バイクつながりで、片岡義男さんなど読み返してみようか。文体は全然違うのに、どこか通じるものを感じた。

  • 人は何故オートバイに、これほどまでに惹かれるのか、という答えの見つからない問いにひとつのヒント、というか手がかりのようなものを教えてくれる作品。

    風がねえ、当たるんですよ、風が。直接身体に。この感触、感覚はなかなか他のものでは得難い。

    華奢な身体で巨大な鉄の馬、ハーレーに跨り、颯爽と広くて長い道路をVツインエンジンの爆音と共に疾走する。これはねえ、バイク好きにはたまらないと思うのだ。

  • 清涼感溢れる4つの短編。「さいはての彼女」、「 旅をあきらめた友と、その母への手紙」「冬空のクレーン」、「風を止めないで」。気持ちいい読後感だった。

    「さいはての彼女」はハーレー乗りの女の子なぎとキャリアウーマン鈴木涼香の北海道での邂逅を、「風を止めないで」はなぎがツーリングに出立した直後のなぎの母親の出会いを描いており、この二作は繋がっている。

  • 知らない世界に飛び出す勇気をくれる本。
    読んでいる時夢中になる感覚が良かったし登場人物たちも好きだったからまた数年後読み返したい。

  • 旅をテーマにした短編集で、さまざま理由で一人旅をするのですが、景色、風情、人情によって感化される登場人物たち。北海道で風を感じながらバイクを運転してみたい。

  • 他人には負けない、打ち込める何かがあるって羨ましい。
    ドップリ嵌り込める何か、見つからないかな?
    どんどん、あれこれ挑戦するか。

  • 爽快感溢れる作品で、読んでいると「風」を感じられる。
    凪ちゃん、素敵。
    こんな子が近くにいたら楽しいだろうな〜

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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