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感想・レビュー・書評
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途中までビリー・ピルグリムの思考の飛び具合(時間旅行)をそれが戦時下の兵士の記憶であれ楽しんで読んでたけど、ドレスデン空爆の所とヒロシマの原爆の話出てきたあたりからもう楽しく読むのは終わって、そうだこれこういう話だったと思いながら静かに読み終わった。ビリー・ピルグリムのすべてはなるようにしかならないよという雰囲気や振る舞い、物の感じ方捉え方に親近感を覚えてテンションが上がっていたけれど、そうやって同調してる時にドレスデンとヒロシマの話されてしまうので精神にすごいダメージをくらってしまった。
最後まで読めばこの胸に重い石を乗せられたような気持ちを払うなにかすばらしい文章が、そんな結末があってほしい、あるはずだと思って読むんですけどそんなものはない。そんなものはなかった。この重い石を乗せたままこれからも生き方を模索して生きなきゃならない。答えなどなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヴォネガットのエッセイ『国のない男』を先に読んでからの本書。この順番は大正解。
本書だけ読んでいたらSF小説としか感じなかったと思うけれど、『国の…』を読むと、本書はヴォネガット自身の戦争体験をふまえて練られた思想をSFという形を借りて書かれた哲学書、という解釈ができる。 -
5巻でなく第6長編そういうものだ▲時の流れの呪縛から解き放たれ、自分の生涯、未来と過去とを往来する、奇妙な時間旅行者になった彼が見たものは?▼取り返しのつかないことをしてしまった…そういうものだ…と流すしかない話。時系列のガン無視は、いまの時代では違和感もなく読めるが、初読時ぶっ飛んだ覚えあり。予定調和なのか、普遍的なアレなのか、達観とも違う。幸不幸が瞬間的に入れ替わる。ザッピングならまだしも実時間での強制転移は、さぞ苦痛だろう。これまで5冊のオールスターキャストで挑んだ傑作。そういうものだ(1969年)
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So it goes..
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時間をぐるっと俯瞰してる感じなのが面白かった。
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Kindleで。
ドイツに捕まったアメリカ人捕虜、ビリー・ピルグリムが主人公だが、モデルは著者自身で、実際の捕虜体験をベースに書いているとか。
カート・ヴォネガットの最高傑作と言われたりするが、良さがちょっとわからなかった。
「そういうものだ。」ということで。
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わたしは知的生命の存在する三十一の惑星を訪れ、その他百以上の惑星に関する報告書を読んできた。しかしそのなかで、自由意志といったものが語られる世界は、地球だけだったよ
人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と彼はいうのだった。そしてこう付け加えた、「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ」
思うんだがね、あんたたちはそろそろ、すてきな新しい嘘をたくさんこしらえなきいけないんじゃないか。でないと、みんな生きてくのがいやんなっちまうぜ -
死ぬ人。
人を死に至らしめる人。
それを見ている自分。
その死をまったくあずかり知らない、あかの他人。
それらすべて含めて、So it goes.
果てしなく広い宇宙の中で、生まれて死ぬドラマのちっぽけさ。
こりゃあいったいなんなんだ?
と理不尽さを笑いながらも、
この世が良くなることを決して諦めていない、作者の強い志を感じる。
こういうおっさんになりたい。 -
戦争の話。単純比較できんけど、広島や長崎の原爆よりも多くの人が命を落としたというドレスデンの空爆を体験した人の話。そういうものだ。年代はすぐ飛ぶんやけど、妙に淡々と語られている。昔のタイトルは屠殺場五号といったらしい。
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何度読んでも面白いものは面白いもの。
ただ、寓意による皮肉と、意識の流れの両立のために、これほどプロットを作りこんだのはすごいが、それが文学性につながるとは限らない