プリズンホテル 2 秋 (集英社文庫) [Kindle]

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  • どの宿泊施設も嫌がるヤクザと警察の慰安旅行。桜つながりで同宿することになったプリズンホテル
    予算五万円のと一万円ポッキリの宴会料理のあまりの差に、バレたらタダじゃ済まない。
    事件が起こらない訳がない。「天才とは自分の才能を信じ続けることが出来る奴だ」苦労人の作者ならではの一言である。

  • ここはどこだ
    人々が誰にも打ち明けられぬ苦悩を背負い、五体にまとわりつくしがらみをずるずると引きずってたどり着く場所。人呼んで『プリズンホテル』

    関東桜会直営のプリズンホテルに東京桜親睦会(青山警察署第四係 俗に言うマル暴)の慰安旅行と
    大曽根組の鉄砲玉の壮行会が同時進行の羽目に!

    「奴らが桜の代紋しょった任侠なら、俺たちも桜の代紋あずかる極道だ。お天道様の下に同じ桜の金看板はうまかねえ。この際はっきり白黒つけたろうじゃねえか」
    と息巻く警部補
    こうなりや、どちらがヤーさんか分からない

    襖一枚隔てた大広間での大宴会はあわや大惨事となるところであったが・・・

    ドタバタ喜劇ではあるが、
    ホテルマンの鏡のような花沢支配人
    万年交番勤務のロートル巡査
    オーナーの桜会五人衆の筆頭の木戸仲蔵
    それぞれの口から語られる言葉が何とも渋い
    酸いも甘いも噛み締めた人生哲学
    それぞれのが歩んできた人生が見え隠れして胸が熱くなる

    「苦労てえのはよ、しょせんてめえ一人でしょって行かにゃならねえ。他人の俺がしてやれるこたア、せめてこうして手の届かねえ背中を流してやるぐれえしかねえんだ」
    と木戸仲蔵

    宿泊者が凶状持ちと判明したときも、警察に通報したりはしない。支配人・副支配人・女将とで人生経験を生かしてカウンセリングサービスをする
    逃避行の孤独地獄から救われた安堵でガックリと肩を落とす指名手配人

    『平成の泣かし屋』と言われる浅田ワールドが展開される


  • 登場人物みんなクセがあって楽しいな。

  •  様々な、訳ありの客がいる、プリズンホテル。
     警察、ヤ○○、大物女性歌手、元売れっ子アイドルと、そのヒモ同然のマネージャー、指名手配犯人....
    こういった面々が、同じ場所に居合わせるのだから、当然、様々なドタバタが起こる。
     
     しかし、一番印象に残ったのは、本書の主人公、大物作家の木戸孝之介の抱える葛藤、苦悩、そしてその末の、歪んだ行動である。
     
     彼は少年期に、実母に捨てられた。
     ひどい女性不信になったのか、その腹いせに、自分を愛してくれる女性にまで、頻繁に暴力をふるうようになってしまう。

     そんな歪んだ性根が、少しずつではあるが、正されていく所が、私には感動的でありました。

     

  • 仲蔵親分がオーナーのリゾートホテル、通称「プリズンホテル」。
    今回は、仲蔵親分の甥っ子の小説家木戸が、恋人の子供のミカを連れて宿泊する。
    たまたま当日、同じくヤクザの大曾根御一行様と、何も知らずに予約した警視庁の慰安旅行が重なったからさあ、大変。

    次から次へと騒動が持ち上がり、ジェットコースター並みのスピード感。第一作を上回る面白さ。

  • 第4巻を参照。

  • 任侠団体専用ホテルを舞台にしたスラップスティックコメディシリーズの2巻目。
    笑えて、ドキドキできて、少しほろりとさせてくれるお得な本。武闘派暴力団と酒グセの悪い警察官のふたつの団体がかち合ってしまう。設定としては、ありがちな設定だが、さすがは浅田次郎さん、登場人物のキャラ、グッとくるセリフで読ませてくれる。
    特に、一流ホテルをクビになり、プリズンホテルに流れてきた支配人が良い。
    「タキシ ードを着た極道でございます 。ホテルマンという男の道を極めようとしている 、ひとりの極道でございます 」
    ストレス解消に良いお勧めの★4つ。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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