こころの処方箋(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 今これを読む理由を考えつつ読む。
    各エッセイが短すぎて物足りないと思うこともあったが、やはりときどき刺さる。

    もっとも刺さったのが「裏切り」に関するエッセイ。
    そして、このエッセイに心を動かされた自分の未熟さもうすうす感じる。
    また時をおいて本書を読めば、別のエッセイの深さに驚くにちがいない。

    師弟や夫婦、先輩後輩などの間に生じる裏切りは、「同一化の破壊的な解消の意味をもっていることがある」という一節には、ああ、なんて人間て複雑なんだと思わずにはいられなかった。

    あるいは偉大な人の伝記には、「この人がと思うような「裏切り」」が認められるという一節にも。

    河合隼雄はフロイトとユングの決別を思い浮かべていたのかもしれない。

    また、別のエッセイ「すべての人が創造性を持っている」の次の一節には勇気をもらった。

    「創造には犠牲がつきもので、そこには何らかの犠牲が生じるだろう。そのことも明確に意識し、そのような犠牲の責任者としての自覚をもって、「私が生きた」と言えることが必要である。」

    この創造というのはつまり人生のことで、個人的に大きく状況を変えようとしている今、糸の切れた凧のようにならないよう、河合隼雄の言葉がしっかりと地上に繋ぎ止めてくれる。

  • 10年前くらいに買っていて、読もうとしたのだけど
    ぜんぜん頭に入らなくて、寝かせておいた本。
    こんなに有名な心理学者さんの有名な本なんだから、
    読めないわけがないよなって。

    結果、正解でした。
    こういう本の存在意義って、お薬としての側面も大きいですよね。
    今が決して弱っているわけではないけれど、
    イケイケドンドンなときは、書いてることが理解しにくいです。

    目次だけでも、十分学べるし、クスッと笑えるので、貼っておきます。

    1 人の心などわかるはずがない
    2 ふたつよいことさてないものよ
    3 100%正しい忠告はまず役に立たない
    4 絵に描いた餅は餅より高価なことがある
    5 「理解ある親」をもつ子はたまらない
    6 言いはじめたのなら話合いを続けよう
    7 日本人としての自覚が国際性を高める
    8 心のなかの自然破壊を防ごう
    9 灯台に近づきすぎると難破する
    10 イライラは見とおしのなさを示す
    11 己を殺して他人を殺す
    12 100点以外はダメなときがある
    13 マジメも休み休み言え
    14 やりたいことは、まずやってみる
    15 一番生じやすいのは一八〇度の変化である
    16 心のなかの勝負は51対49のことが多い
    17 うそからまことが出てくる
    18 説教の効果はその長さと反比例する
    19 男女は協力し合えても理解し合うことは難しい
    20 人間理解は命がけの仕事である
    21 ものごとは努力によって解決しない
    22 自立は依存によって裏づけられている
    23 心の新鉱脈を掘り当てよう
    24 健康病が心身をむしばむ
    25 善は微に入り細にわたって行なわねばならない
    26 「耐える」だけが精神力ではない
    27 灯を消す方がよく見えることがある
    28 文句を言っているうちが華である
    29 生まれ変わるためには死なねばならない
    30 同じ「運命」でも演奏次第で値段が違う
    31 ソウル・メーキングもやってみませんか
    32 うそは常備薬 真実は劇薬
    33 逃げるときはもの惜しみしない
    34 どっぷりつかったものがほんとうに離れられる
    35 強い者だけが感謝することができる
    36 勇気にもハードとソフトがある
    37 一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり
    38 心の支えがたましいの重荷になる
    39 「昔はよかった」とは進歩についてゆけぬ人の言葉である
    40 道草によってこそ「道」の味がわかる
    41 危機の際には生地が出てくる
    42 日本的民主主義は創造の芽をつみやすい
    43 家族関係の仕事は大事業である
    44 物が豊かになると子育てが難しくなる
    45 権力を棄てることによって内的権威が磨かれる
    46 権力の座は孤独を要求する
    47 二つの目で見ると奥行きがわかる
    48 羨ましかったら何かやってみる
    49 心配も苦しみも楽しみのうち
    50 のぼせが終るところに関係がはじまる
    51 裏切りによってしか距離がとれないときがある
    52 精神的なものが精神を覆い隠す
    53 「知る」ことによって二次災害を避ける
    54 「幸福」になるためには断念が必要である
    55 すべての人が創造性を持っている

      あとがき
      三つの言葉 谷川俊太郎

  • 傍らに置いておきたい本。

  • これでもかというほどの具体例・説明と、冷静な寄り添いの姿勢が見られる文章に信頼性あり。作者は京都大教授をしていらした故人。

  • これはKindleの「こころの処方箋」ですが、「紙の本」という条件設定で「こころの処方箋」検索すると、登録者5646人感想453人で、情報が多いです。(2023.2.3時点)
    https://booklog.jp/item/1/4101252246

  • 「心が強くないと感謝できない」印象に残った言葉。これはすごくわかる……。そして逆に、「感謝病に侵されている人は注意。これは心が強いわけではない」というのも納得。感謝病に完全に疾患している自覚がある私。笑 適切に感謝できるように心がけてゆきたい。

  • 今まで読んだ自己啓発本の中で1番しっくりと心に穏やかに入ってきた

    死ぬまでそばに置いておきたい一冊

  • 自分用の道徳の教科書のようだった。付箋たくさん。めもするところたくさん。
    生活してくなかで出てくるもやもやが少し楽になるような文章たちがとてもありがたい。

    結婚したり子供ができたり状況が変わったときにも繰り返して読みたい本だ。

  •  おそらく日本で一番有名な心理学者である著者が、『新刊ニュース』という雑誌に1988年2月から1991年12月まで連載したコラムを書籍化したもの。四半世紀も前であるが、人の心がそんな短期間で変わるものではなく、内容は決して古くなってはない。

     個々の話はお坊さんの説話のようで、押しつけがましくない優しい語り口もあってすんなり頭と心に入ってくる。強く成功を目指すビジネス書のような話に疲れてしまった時にちょうどいいかもしれない。

     「処方箋」が求められるのは病気になった時だが、本書は必ずしも問題が起きた時の話だけではなく、普段からこのくらいの緩い姿勢でいると深刻な事態にはならないといった指針にもなっている。

     なお、置かれた状況に対する心理的反応という意味では、本書が紹介しているものはいずれも日本人の例であり、文化の異なる外国人であれば違った反応を示す場合もあるのではないかと思われる部分もあった。あるいは、ここで紹介されているエピソードに出てくる状況そのものが、極めて日本的なものなのかもしれない。

  • いままで読んだ河合隼雄の中で、一番よかった。

    この手の本は、万人向けに何かを言わなければならない宿命を抱えている。万人に通用する絶対法則などないので、書こうとするとタテマエ的になる。

    ところが河合隼雄は違う。読み返すたびに新たな発見があり、そのときの悩みに対するヒントが書いてある。

    何かに悩んだとき、また手に取りたい。

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