最悪 (講談社文庫) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 前半は登場人物がみんな優柔不断というか、言いたいことを言えずに周りにいいように利用されていたので読んでいて何回も嫌になりました。
    後半、3人が出会ったところから急展開があって面白くなりそこから読み切るまではあっという間でした。

  • 奥田英朗は「伊良部シリーズ」以来。なんで手に取ったか忘れたのだが、多分、Amazon のセールか何かだと思う。しかし、この手の転落ものなら、ダグラス・ケネディを読み返した方が良かった。

    周辺住民とのトラブルに巻き込まれつつ日々の仕事を懸命にこなす町工場の社長、名古屋の実家はとっくに崩壊し、川崎に出てきてカツアゲとパチンコの膿んだ日々を過ごす20歳の男、家では妹がグレていて、仕事ではセクハラを受けた上に行内政治のダシにされる銀行OL。3人の人生模様が、転落しつつ徐々に絡み合い、ついにクライマックスで完全に合流する。まあ、よくある構成といえばよくある構成だが、さすがのストリーテラーぶりで一気に読ませる。しかし、話が長い割にはカタルシスがイマイチな印象で、支店長や玉井課長、マンションの隣人太田(これがまた嫌な奴なのだ)、下っ端ヤクザの山崎やタカオといった登場人物にはもう少しふさわしい結末を用意して欲しかった。特に柴田老人の使い方は、もっとみどりの悲惨さを演出できただろうに、もったいない。ラストもどっち付かずで中途半端。もちろん、そこが作品の狙いというところもあるのだろうが、読後はスッキリしたいものだ。

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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