凶悪 [DVD]

監督 : 白石和彌 
出演 : 山田孝之  ピエール瀧  リリー・フランキー  池脇千鶴  白川和子  吉村実子 
  • Happinet(SB)(D)
3.49
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本棚登録 : 916
感想 : 198
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953040984

感想・レビュー・書評

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  • 人間が一番怖いっていう映画。
    実話っていうから恐ろしすぎ!!でもニュースとか見ると普通の人が犯罪を犯しているのが多いのでこの事件も珍しいもんではないと思う。
    見るのは正直堪えました。三人目のお爺さんに酒を飲ませるくだりとかは、かなりキツかったです。
    あのお爺さん役の人が精神状態大丈夫か心配です。
    リリーフランキーさんにピエール瀧さん、こんな役よく引き受けたなって思いますが良かったです。
    山田孝之さんも安定した演技力で良かったですし、また見たいとは思わないけど満足出来た作品でした。

  • 胸くそ悪いとはまさにこの映画の為であろう台詞。
    観終わった後の爽快感はゼロに近い。
    しかし、まさに映画を観たというそんな焦燥感。

    何と言っても、ピエール瀧とリリー・フランキーの二人が
    圧巻すぎて、言葉を失うばかりであった。
    まさに名演。ここまでクソな人間を演じるとは。
    勿論、山田孝之だってさすがの一言である。

    名優たちの共演で、まさに映画は彩られていた。

  •  実際に起きた連続殺人事件を扱った犯罪ノンフィクションの映画化。つまり、園子温の『冷たい熱帯魚』の類似作だ。

     愛犬家連続殺人事件の主犯・関根元をモデルにした『冷たい熱帯魚』の村田幸雄(でんでんが演じた役)も冷酷な悪人だったが、本作の「先生」(リリー・フランキー)はさらに怖い。一見温和なインテリ風で、じつは血も涙もないという落差が怖い。しかも、人を殺す場面で妙に楽しそうなところが怖い。
     犯罪者型サイコパス(犯罪を犯さないサイコパスも多い)の一典型を、リアルに描き出すことに成功した映画なのだ。

     『冷たい熱帯魚』と比べれば、この『凶悪』のほうが映画として優れている。
     観客の劣情に訴えるエログロ描写ばかり目立った『熱帯魚』よりも、抑制の効いた演出がなされた本作のほうが、映画としての品格が高いと思うのだ。
     終始張りつめた緊張感があふれ、日本映画特有の湿っぽさがないのもよい。乾いたタッチのハリウッド産クライム・サスペンスのようだ。

     主人公は、事件の謎を追う月刊誌記者(山田孝之)。しかし、観終わっていちばん印象に残るのは、後半から登場するリリー・フランキーのほうだ。
     『ぐるりのこと。』でも『そして父になる』でもそうだったが、リリー・フランキーの演技力はすごい。本業の俳優食いまくりである。

  • 山田孝之が、凶悪の犯人だと思ったら、
    正義の記者だった。
    ピエール瀧の凶暴な暴力団の存在感がスゴイ。
    なにゆえに、殺人をするのかと言うことを考えれば、
    「先生」をしたっているがゆえに と言うことだろうか。
    先生は リリーフランキー。
    人が死ぬことで、お金に換えることができる。
    錬金術師。人を殺すことが、カネのためなら、
    なんとも思わない。
    ピエール瀧とリリーフランキーのなんとも言えぬ緊張感。
    ピエール瀧から、手紙をうけて、山田孝之は、真相を追う。
    その執念もスゴイなぁ。
    編集長には、なかなか認めてくれない。
    家にもどれば、認知症の母親がいる。
    ヨメは それに手こずっている。
    それでも、追いかけつづけることで、真実にぶつかる。

    しかし、リリーフランキーに、
    本当に殺したいと思っているのは、
    山田孝之だろうと指をさして、言う。
    その時に、凶悪さが 逆転した感じがある。
    うまい、編集力 となる。

  • この映画に救いがないのは、裏テーマとしての高齢化社会の問題が重いからなのかも。もちろん殺人は重たいんだけど、事件とそれを追う記者の双方に老人が絡んでいて、特に殺人依頼する電気屋一家の存在が普通に生きる人と異常な事件とが地続きである事を暗示している。

  • いつも「たまむすび」で軽快な喋りを愉しませてもらっているピエール瀧が……。大変恐ろしかった。
    たとえば「ノーカントリー」のハビエル・バルデムのような強烈キャラクターでも、「羊たちの沈黙」のレクター博士のような天才でもない。
    彼らはごく普通に家庭を愛し仲間を重んじる一般人の中に潜んでいる。
    いわば「平凡な事例」。
    いつのまにか「どうかしている」のはむしろ山田孝之のほうだ。
    この顛倒が恐い。
    「おまえだよ、おまえ」と指さされているのは観客。

    場面転換が大変素敵だった。
    まるで山田孝之の想像力が勝手に物語始めるかのような。

    池脇千鶴がぐいぐい引っ張ってくれる私生活パートも、胸糞悪く、いやな気分にさせてくれた。

  • 『親から受け継いだ土地にあぐらをかいてしまいには借金まみれ。そんなどうしようもない老人が次から次と現れる。そいつらをただ殺すだけで金が溢れてくる。まるで油田だよ。』とうそぶくリリー・フランキーが圧倒的すごさ。ワルを描く映画は数れどリリー・フランキーとピエール瀧との悪の限りのシーンは強烈でしたね。老人を殺すのにひたすら酒を飲ますなど常軌を逸しており凄みがある。この二人、作家と音楽家なんですけどね。
    白石和彌の東映タッチの演出も光る。
    キネ旬ベストテン2013 3位

  • 最初から最後まで、イヤな気分で観ました。実話を下敷きに作られたものだと考えると背筋が凍ります。ピエール瀧さん、リリーフランキーさんの冷血ぶり凶悪ぶりにはゾッとします。二人とも元々は役者ではないことを考えると、凄いです。池脇千鶴さんの思いつめた演技も出色です。

  • 「先生」は確かに壊れているのだけれども、
    その他の人間が正しく、
    正義であるわけでもない。

    誰が裁き、裁かれるべきなのか。

  • 最高に気分の悪くなる傑作映画。オープニングから、リンチ、レイプ、ドラッグ、虐待… 暴力描写のオンパレード。尽きること無い須藤と「先生」の悪意とぶっ壊れた殺人行脚、そのターゲットが非力な老人というのが一層胸クソ悪い。そしてだからこそ! ついに「先生」と電気屋の家族が、「上申書殺人事件」として立件されたときのカタルシスは圧巻。この「上申書殺人事件」という件名がまたシンプルで格好いい。

    観終わった後も興奮や恐怖で、しばらく眠れなくなった。特に牛場さんの殺し方… 泣きながら「もう飲めない、かんべんしてくれ、家に帰りたい」という老人に、日本酒をコップに注ぎ続け、頭をはたき、「酒が好きなんだろ」と薄笑いを浮かべる須藤と先生。身体が壊れていくのを自覚しながら、朝から晩まで酒を飲み続けた牛場さんの気持ちはどんなものだったろう。そしてその光景がフィクションではなく、実際には一ヶ月も続いたと思うと…

    目を背けたくなるような内容なのに、何故だか目をそらすことはできない。むしろ気分が高揚してしまう自分がいる。家族ぐるみで! 養護施設から! とてもキャッチーでインパクトの有る事件。面白いのは面白い。でも面白がっている自分は? 実行するか否かなだけで、リリー・フランキー演じる「先生」と変わりないのかもね、とも。

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