お笑いネタの作り方 [Kindle]

  • あやえも研究所
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感想・レビュー・書評

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  • 笑いのメカニズムを解説しようとした本。
    ただ、心理学で解明できるほど、お笑いは浅くない。それでもネタ作りの参考にはなる。

  • 『#お笑いネタの作り方』

    ほぼ日書評 Day463

    久しぶりにKindle Unlimited。1時間もかからず読み終える分量だが、思いの外、得るものがあった。

    笑いとは、軽度ストレスの解放手段。笑うことと泣くことは、実は延長上にあり、副交感神経(ストレス解放)活動の強度の差があるに過ぎない。

    笑いの構造は、「場」と「キャラ」のネジレ。フツウの状況で真っ当なことを言っても当たり前だが、たとえばヤクザの集団とか、詐欺師グループとか、特殊な環境下では「正しいこと」を言うことがネジレを生じさせ、そこにストレスを産むために、解放のための笑いを喚起する。

    もっとも「なるほど」と思ったのが、「ツッコミ」の存在意義。笑いのエッセンスは「ボケ」によるネジレが作り出すものだが、場とキャラのネジレを観客に確実に理解してもらう(それもアザとくではなく)こと、また、振りとねじれに間ができてしまう時には、さりげなく設定をリマインドすることで、笑いの発生確率・効率を上げているのだと。正直、ここまで構造化して考えてみたことがなかった。

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  • 笑いと泣きが延長線上にあるという心理学の視点からの解説が面白かった。

  • 第一章 「笑い」のメカニズム

    (「 笑い」 の 定義)
    「笑い」 とは、「 ストレス を 軽度 に 取り除く 仕組み」 の こと を 指す。

    ストレス は 交感神経 を 刺激 し ます。

    しかし、 あまりに 活動的 になり すぎる のも 問題 だ という 状況 では、 同時に 副交感神経 をも 活動 さ せ て、 体 に「 少し 落ち着か せろ」 という 命令 を 出し ます。 そこで、 人 は「 笑い」 を 用いる こと で、 副交感神経 を 活性化 さ せ、「 活動度」 の バランス を 取り ます。

    「怒り」 は 身 の 危険 を 感じ た 時 に 起こる 手段 の 中 では、 最も 強く、 短時間 で 交感神経 を 刺激 する 方法 になり ます。 自分 の 領域 を 侵害 さ れ たり、 社会的 な 安全 を 保っ て い られ ない 場合、 怒り によって 活動的 になり、 その 脅威 を 排除 しよ う と し たり、 危機 を 乗り越えよ う と し ます。 「不安」 は「 怒り」 よりも 少し 弱い、 交感神経 を 刺激 する 方法 です。

    すぐ に 対処 する 必要 が ない 危険 性 の 場合、 それほど 強く 交感神経 を 刺激 する 必要 は あり ませ ん。 じん わり 交感神経 を 刺激 し て、 少し でも 対処 をさ せよ う と し ます。 一方 で「 泣き」 は、 強く なり すぎ た 交感神経 を 短時間 で 急激 に 抑え なけれ ば なら ない 場合 に 起こる、 最も 強力 な 副交感神経 を 刺激 する 方法 になり ます。 怒り と 同様 に 瞬間 的 に 発動 し て、 ストレス を 緩和 する 手段 になり ます。 「笑い」 は「 泣き」 よりも 少し 弱い、 副交感神経 を 刺激 する 方法 です。 少し だけ 強く なり すぎ た 交感神経 を 抑える ため に 用い られる 反応 です。


    「泣く」という反応を得たければ、副交感神経を刺激するという考え方ではなく、交感神経をできるだけ高めるというアプローチの方がよりよいということです

    「笑い」を作る方法は、「泣き」を作る過程と基本的に同じです。ただ、その振れ幅が小さい時に「笑い」になる。
    「泣き」では、強くストレスを与えて、一気に解放させます。 「笑い」では、軽くストレスを与えて、解放させればよいのです

    多くの人が既に持っている自尊心のストレスを利用して、それを解放させる

    「 社会性 の ストレス」
    多く の 人 が 既に 持っ て いる 自尊心 の ストレス を 利用 し て、 それ を 解放 さ せる

    第二章 「お笑い」の構造

    「 だめ な 状態 でも いい ん だ」 と 知っ た 時、 比較 する 重要 性 が 消え て、 自尊心 の ストレス から 解放 さ れる

    「 お笑い」 を 作り出す には、 次 の 二 点 が 重要 になり ます。 社会的 評価 が 下がる こと を 表 に 出す。 堂々 と 出す。( それ に対する 社会的 評価 による ストレス が ない もの として 表現 する)

    お笑い を 成功 さ せる ため には、 社会的 評価 が 下がる こと を、 当人 が 社会的 評価 による ストレス が ない よう に 表現 する こと が 大切 に なる

    そこで、「 自尊心 の ストレス( しがらみ) を 解放 する こと」 によって、 笑い を 作る の です。「 自尊心 を 与える こと」 では ない こと に 注意 し ましょ う。

    「 ねじれ と 客観 化」

    お 題( 前提 条件): どの よう な 状況、 キャラ なのか という 設定 を し ます。

    振り( きっかけ 作り): お 題 の 下 で、 どの よう な 話 の きっかけ を 与える か という 内容 になり ます。 この 振り( きっかけ) を 元 に、 次 の ねじれ を 生み ます。

    ねじれ: ねじれ とは、 笑い を 生む「 ボケ」 だ と 思え ば いい でしょ う。 お 題 が あっ て、 振り が あっ て、 ねじれ の ある ボケ をか ます、 という イメージ で いい でしょ う。

    客観 化: 客観 化 とは、 ねじれ が 起き た 後 に、「 ねじれ て いる」 と受け取る 側 が 理解 する こと です。 ツッコミ が これ に 当たる と 思え ば いい でしょ う。 この 客観 化 が 起き た 時、 受け取る 側 は ストレス を 解放 し て、 笑い が 起き ます。

    笑い を 作る には、 何 か 話題 を 見つけ て その 話 を 作っ たり、 物語 の よう に一連 の 筋 を 作る 必要 が あり ます。 そして その 中 で、「 社会的 評価 が 下がる 内容 を 気 に せ ず に 出す」 こと を 効果的 に 演出 し て いく わけ です ね。

    「男子 生徒 が オカマ 生徒 に 校内 案内 を する」 という 状況 で、「 他 に 知り たい 場所 は?」 という 振り( きっかけ 作り) は、 その 中 に「 知り たい」「 場所」 という 二つ の 要素 が あり ます。 そして、 一つ の「 知り たい」 という 要素 を そのまま に、 もう 一つ の「 場所」 を 外す( ねじる) わけ です ね。 会話 の 通常 ライン は「 生徒 にとって の 場所」 と なっ て いる ところ を、 急 に「 オカマ にとって の 場所」 に 外し て いる わけ です。そして、 外し た 内容 が、「 社会的 評価 が 下がる 内容 を 気 に せ ず に 出す」 という 行為 に 当たる わけ です ね。 この 場合、「 オカマ で ある」 という 性質 が 社会的 評価 を 下げる こと になり ます。そして、「 外す( ねじる)」 のは、 意味 だけでは あり ませ ん。 韻 を 外す こと も ある でしょ う し、 見た目 を 外す こと も ある かも しれ ませ ん。 表情 だけを 外す こと も、 姿勢 や 勢い、 態度、 言い方、 立場 など、 表現 方法 など、 様々 な もの を 外す こと が できる でしょ う。

    実は、 前項 で 説明 し た「 ねじれ」 を 起こし た だけでは 笑い は 生まれ ませ ん。 その後 に「 客観 化」 という プロセス を 経 て、 初めて 笑い として 成り立ち ます。 「客観 化」 とは、 ねじれ の 関係 を 明確 に する こと です。 読み手 が ねじれ の 関係 を 理解 し て 初めて、 笑い が 生まれる の です。 ねじれ の 客観 化 は、 読み手 が 自分 で 行う 場合 も あり ます し、「 ツッコミ 役」 を通して 客観 化 を サポート する 場合 も あり ます。

    第三章 お笑いネタの作り方

    お笑い で 最も 土台 として 必要 に なる のは、 笑い を 取り たい キャラ に「 社会的 評価 を 下げる 性質」 を 持た せる こと

    お 題( 前提 条件) では、「 社会的 評価 を 下げる 性質 を 持つ キャラ」 と「 その 性質 を 評価 し ない 社会」 の 二つ が 必要 になり ます。

    ステップ 一: キャラクター の 設定 を 作る
    ステップ 二: 社会 の 設定 を 作る



    ステップ 一: キャラクター の 設定 を 作る
    最も 簡単 に できる のが、「 その 個性 を 極端 な レベル に なる まで 強調 する こと」

    また「 キャラクター に 社会的 評価 を 下げる 性質 を 新規 に 追加 する こと」 でも 有効

    「希望・好み」 を 追加 する 方法 何 かが 好き すぎる・嫌い すぎる: ある 食べ物 が 好き すぎる( 嫌い すぎる) 人、 女 が 好き すぎる( 嫌い すぎる) 男 など 何 かが 上手 すぎる・下手 すぎる: 料理 が 常に 上手 すぎる(すぎる( 下手 すぎる) 人、 車 の 運転 が 上手 すぎる( 下手 すぎる) 人、 など 人 に こう 見 られ たい・見 られ たく ない: いつも 強がる 人、 いつも キザ に 言い た がる 人、 いつも 見栄 を 張る 人、 いつも 知ったかぶり を する 人、 など 一貫性 の 行動: 何 でも すぐ に 落ち込む 人、 何 でも すぐ に 食べ物 に 結びつける 人、 など …… などなど。 「コンプレックス」 を 追加 する 方法 外見: 顔 が 不細工、 頭 が はげ て いる、 太っ て いる、 やせ て いる、 など 不器用: ○ ○ だけは でき ない、 ○ ○ しか でき ない、 など 状態: 貧乏、 無職、 彼女 が い ない、 など …… などなど。

    「強み・弱み」 を 追加 する 方法 弱み: いつも 威張っ てる が 妻 には 弱い 社長、 可愛い 赤ん坊 には 弱い ヤクザ、 など 強み: 若い 女 には 弱い けど 不細工 な 年増 には 怒り 散らす オヤジ、 など 「天然」 を 追加 する 方法( 不純 な 要素 を 排除 する 方法) 常に 真面目・常に 不真面目: どんな お笑い の 場 や 冗談 でも 真面目 に 答え て しまう、 どんな 真面目 な 場所 でも 空気 が 読め ない( 笑い を 取ろ う と する)、 など 本音 全開: いつも つい 本音 が 出 て しまう 人、 嘘 が 必ず ばれる 人、 嘘 を つこ う と し ない 人、 など 常に 自分 の 責任・常に 他人 の 責任: どんな 出来事 でも 自分 の せい に し て しまう、 どんな 出来事 でも 他人 の せい に し て しまう、 など

    勘違い: 近寄っ て くる 女 は 全部 自分 が 好き だ と 思っ て いる 男、 自分 が 貴族 だ と 思っ て いる チンピラ、 など

    ステップ 二: 社会 の 設定 を 作る
    社会 を 定義 し て おく こと で、 その後 に 続く キャラ の 設定( 社会的 評価 を 下げる 設定) が 生きる わけ です ね。 社会 と キャラ が かみ合っ て、 初めて 笑い が 生まれる の です。

    この「 社会的 評価 が 下がる こと を 導き出す きっかけ」 を 作る こと を、 振り( きっかけ 作り) と 言い ます。

    振り には「 状況」 や「 場面」 といった 比較的 大きな もの から、 一つ 一つ の 会話文 といった 小さな もの まで 含ま れ ます

    振り の 作り方 には、 次に 示す 二 通り が あり ます。
    行動 から 振り を 作る 方法
    性質 から 振り を 作る 方法

    性質 を 持つ 人 が、 どの よう な 行動 に 出る のかを 考え て、 そこ から 先 に 示し た「 行動 から 振り を 作る 方法」 で 振り を 作り ます。

    ただし、 特に 振り が なく ても、 予想 から「 外す」 こと が できれ ば、 笑い を 取る こと も でき ます。 以下 で 代表的 な「 外す」 技術 を 紹介 し ましょ う。 なお、 以下 の 技術 は 水野 敬 也著「 ウケる 技術」( 新潮社) の 内容 を 参考 に し て い ます。

    建前: 思っ ても い ない こと を オーバー に 言う。 いつも 本音 を 言っ て いる ところ を、 嘘 を つか せる よう に する という 外し 方。
    タメ 口: 目上 の 人 に タメ 口 を 使う。 口調 を 変える という 外し 方。 キャラ 変: 温厚 そう な キャラ を キレ さ せ たり、 キレ やすい キャラ で、 明らか に キレ る 場面 なのに「 そう や なぁ」 と 納得 さ せ たり し て、 予想 を 覆す 外し 方。
    分裂: 喜ぶ 流れ の ところ を 落ち込ま せ たり、 落ち込む 流れ の ところ を 喜ば せ て 表現 する こと で 外す。
    自分 ツッコミ: ツッコミ 役 に 突っ込ま せる のでは なく、 ボケ 側 が 自分 で 突っ込む。 突っ込む 役割 を 持つ 人 を 外す 外し 方。
    ノリツッコミ:「 自分 ツッコミ」 とは 逆 で、 ツッコミ 側 が ボケ を 受け入れ て、 すぐさま 突っ込む という 予想 の 外し 方。 裏切り: こう する と 見せかけ て、 反対 の こと を する。 わざと 反対 の 前置き を 入れる こと で、 予想 を 外す 方法。

    ディテール 化: わざと 不要 な 事細か な 説明 を する。 説明 の 詳細 度 を 外す 方法。

    笑いの基本原理は、「 ストレス から 解放 する」 という こと です。「 狙い が ある」 つまり「 本音 では ない」 と 感じる と、 急激 に 笑え なく なる の です。

    なので、「 社会的 評価 を 下げる 性質」 を 持つ キャラ は、 その 発言 が 本音 で ある と 明解 に 分かる こと が 特に 重要 になり ます。

    ねじれ が でき たら、 読み手 や 観客 が その ねじれ を 自力 で 客観 化 できる か どう かを 確認 し ます。 前章 で 説明 し た 通り、 読み手 や 観客 は、 客観 化 が でき て 初めて 笑う こと が できる ため です ね。

    読み手 や 観客 が、 お 題( 前提 条件) と 振り( きっかけ 作り) を しっかり と 把握 でき て いる 場合 は、 自力 で 客観 化 が 可能 に なる ので、 何 も サポート せ ず とも 笑い が 生まれる でしょ う。 ですが、 お 題( 前提 条件) と 振り( きっかけ 作り) が 少し 複雑 だっ たり、 お 題 が 何 種類 も 並列 で 走っ て いる 場合 で あっ たり、 もしくは お 題 の 説明 から 時間 が 開き すぎ て いる といった 場合 などでは、 客観 化 の サポート を する 必要 が ある でしょ う。

    そこで、 客観 化 の サポート を する 役割 の キャラ を 配置 し ます。 お笑い で 言う、 いわゆる「 ツッコミ」 の 役割 の キャラ です ね。 ツッコミ 役 は、 起き た ねじれ を 一般的 な 立場 から 解説 を する こと で、 読み手 や 観客 に 客観 化 を 促し て、 笑い を 確実 に 生ま せ ます。

    客観 化 を サポート する 役割 とは、 いわば 読み手 や 観客 の 代弁者 とも 言え ます。

    客観 化 を サポート する 役割 の 人 は、「 社会的 評価 が 下がっ た という こと を 客観 化 する 役割」 とも 言え ます。 これ は 見方 を 変える と、「 社会的 評価 が 下がる」 こと に 結びつけ さえ すれ ば、 どんな 出来事 や 話 でさえも 笑い に 変え られる という こと です。

    上手く 表現 する ため の「 言い回し」 の 作り方
    暗喩 韻・掛詞・ダジャレ パロディ

    以上 で、 お笑い の 作り方 を 説明 し て き まし た。 後 は この 内容 を 直列 なり 並列 に 繋い で、 話 の 展開 を 作る だけ です。 お 題( 前提 条件)、 振り( きっかけ 作り)、 ねじれ、 客観 化、 この プロセス を 繰り返し て ゆく わけ です ね。

    物語 において、 同じ キャラ で 多く の 笑い の バリエーション を 作り たい 場合、 キャラ に 何 か 新しい 問題 を 起こさ せ て、 その 問題 を 新しい お 題( 前提 条件) に 絡める と いい でしょ う。 つまり、 キャラ に 新しい 性質 を どんどん と 追加 する わけ です ね。

    実は、「 社会的 評価 を 下げる 性質」 と、「 社会」 の 前 振り さえ でき てさえ いれ ば、 後 は 自然 と お笑い を 作る こと が できる

    何 十 という お笑い の 技術 を 覚える 必要 は なく、 ただ 二つ の 要素 だけを マスター すれ ば、 笑い は 作れる ん です よね。 それ が、「 社会的 評価 を 下げる 性質」 と「 社会」

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