- Amazon.co.jp ・電子書籍 (480ページ)
感想・レビュー・書評
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読みやすかったです。ボリビアに行ってからの章で名前が入り乱れてよくわからなくなったけど。
コミュニストのイメージがふんわりあったものが、「革命家」であったのだなと腑に落ちた。体系だった思想より先に、大国から収奪される農民と自国を解放し、自立させることがまずもって目的としてあったのだ。
「革命は武力闘争なしには成し得ない」という信念や、こういった人物が称揚されることに時代を感じる。50年近く経って「テロ」という政治的なレトリックが浸透している今では、チェのような人物がもし世に出たとしても、さらに巧妙な印象操作の中で沈んでしまう気もする。
作中、搾取される大陸とラテンアメリカが表現されていて、はっとなってしまう。自由と平和を、怒りを持って求め続けることを、否定するべきでないと思う。
著者の思い入れを強く感じるので、他の書籍もいくつか読むとよいのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゲバラはかっこいい。イケメンだ。かっこよすぎて、ちょっと息苦しくなる。まぁ、筆者(三好徹さん)がかなり入れ込んでいるので、そのバイアスもあるのかもしれないけど、かっこよすぎる。学生時代にゲバラの本を読んだ記憶もあるが、久しぶりに伝記を読み返してみた。
今の世の中では、ゲバラのような生き方はできないだろう。ゲバラの時代だって、「帝国主義の鎖から解き放つには武装闘争をもってするしかない(Kindle の位置No.450)」という(ゲバラの)信念や「革命は薬である。にがい薬である。だが、ときとしてそれは、よりにがい悪に対する唯一の薬である(Kindle の位置No.3125-3126)」という(カストロの)言葉が実際にかたちになったのはキューバぐらいだろう。ボリビアではゲバラの試みはうまくいかなかったし、コロンビアではFARCというゲリラ組織が国民の支持を失い、政府軍と和平が成立したあと、元ゲリラ戦士たちが市民生活に復帰するのに苦労しているというドキュメンタリー番組も見た。
ゲバラが子どもたちに宛てたという手紙の中に、こういう一文がある。
>世界のどこかでなにか不正が犯されたならば、いつでも強く感ずるようになりなさい。それが革命家の最上の特質なのです。(Kindle の位置No.4092-4093)
「感ずること」は、今でもできるだろう。でも、それを実現するためのもっとも正しい手段が武力革命であるということは、今の世界では決して正しくないはずだ。今は、「社会起業家」と言われる人たちも、世界のどこかで、あるいは日本でも、不正や不公平などと戦っている。ゲバラが今の世の中に生きていたら、どういう人生を送ったのだろうか。どんな「革命家」になったのだろうか。
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・9/23 漸く読了.社会主義者のイメージが強かったけどつまりは帝国主義に対する革命を目指してたということなのね.でもどうしてもその後は社会主義共産主義にならざるを得ないのが納得いかないよね.でもこんなに有名な人の人生を知らなかったのはまずかったと思う.読んでおいてよかった.何が彼をここまで駆り立てたんだろう.反米ってだけで思想も体制も違う社会主義国と連携することに違和感がなかったのだろうか.アメリカの帝国主義もひどいけど中国ソビエトの民衆を抑圧する全体主義も彼が目指した革命ではなかったのではないだろうか.
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キューバ革命の闘士というイメージで有名なゲバラの伝記。書かれたのはゲバラが死んで4年後の1971年というからリアルタイムに近く、時代の熱気がまだ残っている印象だ。この本は翻訳ではなく日本人である著者が自分で現地取材や関係者へのインタビューなどを行った上で執筆されたもの。そのためかゲバラが日本を訪問した際の行動は必要以上とも思われるほど詳細に書かれている。
アルゼンチンの名家に生まれて医者になりながら、中南米を放浪して貧しい庶民の暮らしを体感し、闘争に人生を捧げた革命家(本書によれば革命家という肩書きは本人の意図するところではないようだが)。キューバが社会主義国になったため社会主義者と思われがちだが、基本的には反米活動家と言った方があっているようだ。
すでに語り尽くされたことだが、キューバで革命を成功させ国家のNo.2の地位を手にしておきながら、あっさりとそれを捨ててボリビアのゲリラと合流し戦って命を落としたというその生き方は、ただひたすらかっこいいとしか言えない。 -
テレビで名前を聞いたことがあったので読んでみました。別に革命や共産主義に目覚めたわけではありません。
革命とまではいきませんが、今の部署でこういう組織だったらいいなという構想はあります。今の身分では確実に叶えられそうにないと思っています。でも、今でも何かできることがあるのではないか、そう思わせてくれるような本でした。
そういう思いを忘れないようするために、デスクトップのスクリーンセーバーをチェ・ゲバラの写真にでもしようかと思います。変な風に捉えられること必至だと思いますが。