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- / ISBN・EAN: 4532318408330
感想・レビュー・書評
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時代とともに変わるジェンダー・ギャップを知る40作品 映画を学ぶ学生や上野千鶴子さんらが選んだ過去と現在のリアル(1/6)〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
https://dot.asahi.com/aera/2021120200045.html?page=1
少女は自転車にのって « アルバトロスフィルム
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映画の発信力の強さを再認識します。サウジの女性の抑圧ぶりが嫌という程わかります。ワジダの母は夫に迎合する生き方を愛だと信じ、自立していません。その挙句、夫は妻子を捨て去ります。学校でも、女性には抑圧的な教育をしています。このドラマを明るくしているのは、ヒロインのワジダがそんな社会に屈せず、自我を持って逞しく生きているからです。初恋の彼はこの先、ずっと、ワジダの尻に敷かれるのでしょうね。
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2012年の作品。サウジアラビア初の女性映画監督なのだという。
知らない世界を、映像を通じて観客に知らしめる――それは映画の持つ基本的な機能の一つだろう。
これはまさに、その機能を十全に生かした作品と言える。我々にとって馴染みの薄いサウジアラビア社会の日常を、自然な形で知ることができるのだ。
ヒロインの少女・ワジダの家は我々の感覚でいえば「豪邸」だが、普通の庶民という設定のようだ。
そのことが象徴するように、サウジアラビアは潤沢なオイルマネーに支えられた豊かな国である。
なのに、いまだに一夫多妻制で、女性差別が日常の隅々まで制度化されている。そのことに、随所で驚かされる。
たとえば、ワジダが通う女学校では、校庭で少女たちが大きな声で笑い合っていただけで、校長に怒られる。「外を歩く男性に声が聞こえてしまうから」と……。
そのとき校長は、「(女性にとって)声は肌と同じなのですよ」とつけ加える。息苦しくなるほど抑圧的な世界である。
だが、本作は、そのようなサウジ社会の女性差別を、声高に告発するような映画ではない。むしろ、上品なユーモアにくるむなど、とても洗練された表現によって差別を浮き彫りにしていく。
観る前に想像したよりもずっと楽しく、さわやかな佳編であった。 -
サウジアラビアという、ムスリムの厳しい慣習が残る国。
男尊女卑といわれる国で、男の子に負けずに元気いっぱいに走り回るワジダが主人公。
幼馴染であろう男の子に自転車を自慢され、自分も負けたくないと自転車を欲しがる。そこで「女の子なのに、」と言われて母親からも反対に会う。
でもそこで諦めず、こっそりアルバイトでお金を稼いだり、賞金目当てに学校のコーラン暗唱コンテストに優勝するべくがんばったり、がとても微笑ましく応援したくなる。
もちろん日本もまだまだですけど、ムスリム社会での女性の自立、というテーマは、物質的に豊かだけど砂漠の雰囲気漂うサウジの風景の中で、なかなかに根深く重く映る。けど、映画としては暗くないのは少女の爽やかさでしょうか。自分の価値観を押し付けた先生と、娘の希望を叶えようとした母、二人の大人の女性の対称が印象に残ります。
この映画が公開された後、今では女性も運転免許を取れたり、変わってきているのは事実なんでしょう。トルコ人ジャーナリストのニュースだったり、閉鎖的で強権的な男性社会が残る国であるのは間違いないけれど、夫が二人目の妻を娶って泣いたワジダの母は、最後にワジダに自由を与えようとした。自分とは違って、男の人生が自分の人生ではなくなるように。
ワジダは自転車に乗って、どこへいくでしょうか。彼との人生だけでない、自分の道をいくでしょうか。いい映画だと思います。 -
サウジアラビア映画。割と面白かった。
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サウジアラビアの少女が自転車に乗りたいという強い思いと、社会に虐げられた母親への愛と、近所の少年との小さな恋のメロディと男女の友情がうまく散りばめられていてそれがラストシーンにちゃんと繋げていける素敵な作品でした。
女が自転車や車を運転してはいけない。
生理中はコーランを触ってはいけない。
既婚女性は1人で道に出歩いたり異性と話してはいけない。
結婚は一夫多妻制。
イスラム圏なのでもちろん女性の服装は体を布で覆うのですが、ヒジャブという顔がほぼ隠れる布でしか外出できないということで、かなりイスラム圏の中でも最も厳しいスタイルが義務付けられていて、男尊女卑という言葉ではあまりにも軽い、常識のように女の生活に沢山の制約があるサウジアラビアの日常には本当に口あんぐりでした。
ショッキングだけど、文化や宗教的な背景によるものだからこのサウジアラビアの常識をを日本人のわたしの価値観でひどい!とか許せない!とか感じていいのかすらわからなかったけど、生まれた時からこの国の文化に育ってこの常識の中にいる主人公ワジダが、この不平等さにちゃんと疑問を持ち、小さな反骨精神を秘めているのが意外で逆に驚きました。
しかも、自転車に乗りたいという夢の為に純粋無垢な感じではなく、割とこの文化圏ではスレスレの方法でコソコソと小銭を稼いでいく感じも「お主も悪やの〜」突っ込みたくなって、そのしたたかさにニヤニヤしてしまった。
ワジダ役の子の演技にそれほどの頑固さや気の強さが見えないのに、なぜか静かに彼女の内にメラメラと燃え上がる情熱みたいなものがちゃんと伝わってきて、サウジアラビア初の長編映画が、こんな風な少女が主人公の作品で嬉しいな。
観る前は戒律厳しいサウジアラビアの作品ということで、きっとどうしようもない気分にさせられるのだろうと思っていましたが、最後の自転車屋のおじさんがワジダを見つめる顔やアブドゥラの瞳を見てたら、ワジダみたいな女の子たちにもきっと明るい未来があるかもしれないと、微かな希望も感じました。 -
宗教的な理由から西欧諸国に比べて女性の権利や自由が制限されているイスラム国家サウジアラビアで、初の女性映画監督となったハイファ・アル=マンスールによる長編デビュー作。
どうしても自転車に乗りたいおてんば少女を主人公に、理不尽な因習に対する彼女なりのしたたかな抵抗の行方を通して、サウジ社会が抱える様々な問題、とりわけ女性たちの生きづらさを浮き彫りにすると共に、未来への確かな希望を力強く描き出す。
サウジはスンナ派で戒律に特に厳しいから、難民も避けるって読んだことある。 -
WOWOW。
サウジアラビア作品。(自国初の長編映画とのこと)
メッセージ性を強く打ち出さず、日常を描くことで、却って不条理が浮かび上がってくるかのよう。
当たり前が当たり前じゃないからこそ、日常がドラマチックになるわけだ。 -
サウジアラビアの映画
女だというだけで、まるで監獄生活
私だったら耐えられない
コーランに女だけ我慢しろという教えがあるのか?
きっとないと思う
勝手な男が決めた因習
ワジダは自転車に乗りたいというほんのささやかな夢を持って自分でなんとかしようとたくましく生きてて、そうだ頑張れ!って思った -
珍しいサウジアラビアの映画。イスラムの封建社会、男性中心社会はなんとなく想像の範囲内でしたが、学校でコーランの朗読コンテストなんてのがあることは驚きだし、それに賞金が出ることはさらに驚き。
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制作背景、ストーリーすべてに感化されました。
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2015/02/15
サウジアラビアでは女性の人権が極めて低い。
例えば、働く女性は自動車の運転が認められないために、
職場にいくのにも男のドライバーを雇わなければいけない。
一方で、同じイスラム教の国でも
日本よりはるかに女性の社会進出が進んでいる国もある。
こんなサウジアラビアで女性の監督によって作られた本作は、
社会的な抑圧に対するテーゼを含みに入れながらも、
少女がお金を貯めて自転車を買うという、
かわいらしく魅力的なストーリーに仕上がっている。
少し勝ち気で、しなやかな価値観をもつ少女ワジャダが、
男の子に負けじと強かに生きる姿は印象的だった。 -
サウジアラビアの10歳の少女が自転車を買おうと奔走する話。
上っ面だけ見れば微笑ましい話なんだけど、映画全編を通してチラチラと映し出される「え⁉︎ 何それ…」って感じる違和感。
男尊女卑
もっと言えば、女性に人権がない。
「これ、いつの時代の話だよ」って思ったら今現在もサウジアラビアはこんな感じらしい。そんなことを知り驚いた。
物語の主人公であるワジダは、校則は破るし、イスラム系特有の肌を隠すローブの下はジーンズにスニーカー。アンテナを強化したラジカセで、悪魔の音楽と母親に言われながらも西洋音楽を聴く。そんな自由方便な女の子。そのワジダが友達の男の子に対し芽生えた競争心から自転車を欲するようになる。もちろん女が自転車に乗るなどもってのほか、という風潮の中、あの手この手でお金を稼ぐ。最終的に彼女が目を付けたのが、苦手とするコーランの暗唱大会の賞金ってのが皮肉である。ただ、子供の脳は柔軟で目的を持った時のパワーは凄いものだと再確認。そんなことを考えながらのラストシーン。静かな笑顔の先に、そんな国の未来をこういう純粋な子供達が変えていけるんじゃないかって希望を感じた。
4.0点 -
少女が自転車に乗るという一見普通の物語。
なのにサウジではそれが異質なのだ。
サウジアラビヤの女性たちの日常のリアルをとても愛のある視線で撮っていた。
なにやら画期的な映画のようですね。 -
歌が素敵だった。
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なんと女の子が自転車に乗りたい、ってだけのお話。
地味なんだけどものすごく沁みる映画。 -
サウジアラビアのリヤドに住む10歳の少女ワジダは、友達の少年アブドゥラの自転車がうらやましい。
男性から見られることや、笑い声すら禁止されている戒律の厳しい学校でワジダはスニーカーで登校する問題児。
ワジダはあの手この手でお金をためて自転車を買おうとするがほど遠く、母親からも女の子が自転車などダメだと言われてしまう。
学校のコーラン暗唱大会の賞金が1000リヤルだと知ったワジダは立候補する。
予告編 http://youtu.be/6omGPcZjBZ4
映画館が禁止されているというサウジアラビアの女性監督の映画。
厳しい戒律の中でも逞しく生きる母娘の姿に感動! -
映画の内容云々より、サウジアラビアの性差別が酷い。
とは言え、これは良い映画だ。
幼い子どもでも男性から見える場所でくつろいだり遊んだりすることが許されない。家族でない男性と一緒にいると捕まって、悪い評判が一瞬で広まり強制的に意に添わない相手と結婚させられる。児童婚も横行している。
夫と夫の親族が満足できるだけの数の子どもを産むことができないと、夫は生活費を入れなくなって第二夫人を持つことを検討する。場合によってはそうやってシングルマザー状態になる女性もいるのかもしれない。
女性のための服を売っている店でも店内に試着室がなく、試着するのは女性用トイレで。自分で運転することが禁止されているので、運転手が見つからないと仕事に行けない。だから上司に有給休暇を懇願するはめに。
女性の地位の低さのために運転手には侮られる一方で、その運転手もまた低賃金で搾取を受ける移民であり、幼い娘に何年も会うことができないでいる。自分にはチャンスのなかった教育を子どもが受けることが唯一の希望で、低賃金の運転手から脱出しようとしても、他の仕事につくための就労ビザを持っているのかと有力者の親族の子どもに脅されて転職を断念せざるを得ない。
生理中はコーランに触ってもいけない。意味がわからない。生理とコーランの間になんの関係がある?家系図に名前を残されるのは男性だけ。
同性愛の子どもたちは、退学にさせられないために何かの「誓約書」にサインさせられたうえでさらし者になる。
あのふたりは同性愛者だったの?西側の雑誌をこっそり読んでマニキュアをしているだけの描写に、どんな同性愛的な要素があるんだ?
この映画を監督したハイファ・アル・マンスールはこの映画のために殺害予告を受けたそう。
選挙への意識にもびっくりした。投票するのは自分が共同体の代表としてふさわしいと思う人ではなく、同じ部族の人なんだって。
親族の中に自爆テロを起こす人が出たら、天国で70人の妻を与えられると自慢の種にする。
大会でのワジダのコーラン朗誦は、差別こそがアッラーに背いているんだという告発のように感じた。