かぐや姫の物語 [DVD]

監督 : 高畑勲 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
3.60
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4959241754837

感想・レビュー・書評

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  • 落ち着いた語り。
    日本古来の物語。
    放送回毎に変わる製作者各々の
    個性的な作風、絵とアニメーション。

    かつて日本で長年に亘り
    毎週、珠玉の名作を放送し続けた、
    「まんが日本昔ばなし」

    かの番組を高畑勲の表現方法で作った
    「まんが日本昔ばなし」だと思いました。

    また筆タッチの絵で紡がれる絵巻物と捉えると
    高畑勲版の鳥獣戯画にも思えます。

    天真爛漫、明るく活発なかぐや姫が最大の魅力。
    みんな彼女と一緒にいたいけど、
    彼女が都の息苦しい日々でストレスを溜め、
    遂に月の世界へ連れ戻される空しさが描かれます。

    あぁそうなのです。
    私は、生きるために生まれて来たのに。
    鳥や獣のように...
    (月へ)帰りたくない...

    さあ参りましょう。
    清らかな月の都へお戻りになれば
    そのように心ざわめくこともなく、
    この地の穢れもぬぐい去れましょう。
    穢れてなんかいないわ!
    喜びも悲しみも、この地に生きるものは
    みんな彩りに満ちて、
    鳥、虫、獣、草、木、花、人の情けを...

    月の世界からの迎えは、朗らかに楽器を演奏する
    集団がいて祭りのパレードのようでした。

    粗筋は「竹取物語」に忠実だと思います。

    光る筍に入っていた女の子が
    竹取のおじいさんとおばあさんのもと、
    筍のような速さですくすく成長。
    山の子どもたちから「タケノコ」とあだ名され
    彼等と一緒に野山を駆け巡る生活を過ごす。
    翁の元には時々、天から金粒や着物が届く。
    女の子の安定した将来を望んだ翁は、
    金粒を使い、都へ転居し、教養を学ばせ、
    お金持ちの家へ嫁がせようとする。
    女の子は「かぐや」と名付けられ、
    美しさは都中の評判となる
    妻や妾にしようと数多の権力者、金持ちが、
    ついには天皇までが押し掛ける。
    懸命なおじいさんのための我慢に限界を感じた
    かぐや姫は我知らぬ間に月に助けを請うてしまう
    「もうここにはいたくない」と心で叫んでしまう
    途端、月の世界が次の十五夜に迎えを寄越す事、
    自分が何者かを悟るかぐや姫。
    かつて地球から月に帰還した女性が
    地球を見て泣く姿を見て地球へ興味を抱いた彼女
    下世話な下界である地球の生活に憧れた罪で、
    下界に落とされた彼女。
    「生きる」喜びを感じるため望んで地球に来た。
    しかし「逃げたい」と思ったことで迎えが発動。
    宮中の暮らしで「生きて」いない彼女は、
    内緒でかつての野山に帰り、
    かつての仲間捨丸兄ちゃんと再会し
    束の間の「生きる喜び」を感じる。

    お願いです。もう少しだけここに居させて!
    この地に生きる喜びと幸せを。もう少しだけ!

    十五夜。月の世界から迎えが来て、
    彼女は強制的に連れ去られ、
    天羽衣をかけられ記憶を消され月へ戻りました。

    息苦しい宮中から抜け出した「タケノコ」が、
    捨丸兄ちゃんと手に手を取って、
    大空を翔び、野山を駆け巡るシーンは、
    解放感に溢れ爽快でした。
    「タケノコ」の生きる喜びを感じる
    象徴的なシーンでした。

    私もずっと帰ってきたかったの。
    帰ってって...ここに?
    都に行って幸せになったんじゃないのか?
    いい着物着て、大きな御屋敷に住んで、
    美味いもの腹一杯食って
    いつも思い出してた。
    ここで遊んだこと。みんなのこと。
    捨丸兄ちゃんとなら私......
    捨丸兄ちゃんとなら私、幸せになれたかも知れない。
    俺と、なら?
    今それが分かった。
    冗談だろ?
    お前に俺たちみたいな暮らしが出来る訳がない。
    きっと出来た!出来たじゃない!子どもの時!
    こんなボロ着て?
    うん
    ときには草の根をかじって?
    うん!そうよ、なんでもないわ!
    生きている手応えがあれば!
    きっと...幸せになれた...
    でも、もうダメなの。遅すぎたの...
    逃げよう!ここから逃げよう!
    俺お前を背負って全速力で走るよ!
    遠いところまで、誰にも見付からないところまで。
    ダメなの。もう逃げられない。もう見付かってるの。
    いいじゃないか!見付かってても!
    それがなんだ!そんなことどうだっていい!
    俺はお前と逃げたいんだ!行こう!
    捨丸兄ちゃん!
    ようし!
    私も走る!力一杯!
    タケノコだ。タケノコ!
    捨丸兄ちゃん!
    はっはっはっはっはっはっ
    天地よ私を受け入れて!


    まわれ まわれ まわれよ 水車まわれ
    まわって お日さん 呼んでこい
    まわって お日さん 呼んでこい
    鳥、虫、獣、草、木、花
    春、夏、秋、冬 連れてこい
    春、夏、秋、冬 連れてこい

    まわれ めぐれ めぐれよ 遥かなときよ
    めぐって 心を 呼びかえせ
    めぐって 心を 呼びかえせ
    鳥、虫、獣、草、木、花
    人の情けを育みて
    待つとし聞かば 今かへりこむ

    本当に私を待っていてくれるならば
    すぐにでもここに帰ってきます

  • う~ん、どうなのかな…。
    すごくていねいに作られた「まんが日本昔ばなし」を見たという印象。
    話題の水彩タッチの絵も、70年代劇画の影響としか思えなかったし、「新しさ」というものは何も感じられなかった。
    すごく頑張って苦労して作られたんだろうけど、古典を超えられていない、もちろん。

  • しっかり見てみると、あぁもうこれはとんでもない作品だなと。
    美術、音楽それらもありますが、「女」という生き方に対して男性の監督がここまでつきつめたのかという驚き。
    幸せとはなにかを考え、「誰かにとっての幸福」と「自分の生き方」の差異は現代にも通じるところもありますし
    なにより、真綿でゆっくり首を絞められるようなおぞましさ、窮屈さ、それでも裏切れない両親。。。幸せになれたはずのかぐや姫の人生があんまりであんまりで。
    帝のAGOなんて目じゃないです。ほんとうにただただ悲しい物語でした。

    ですが悲観的なことばかりでなくて
    両親は、、、翁は毒親ではあるけど幸せを考えてくれている。女童ちゃんなんてずっと味方でいてくれた
    最後の最後に捨丸兄ちゃんとつかの間の自由・・・生きている感触をぐっとかみしめるわけですが。(現代倫理観でいったら不倫だし褒められるもんじゃない)あの飛んでいるシーンや強く抱きしめてシーンは体を重ねている暗喩とみていますが それはともかく
    残酷な話ではあったけど、辛い苦しい悲しいことばかりではなかった。人間らしいといえばそうであって、月の人のかぐや姫の運命は、そこにそぐうことは許されなかった・・のかな


    つらくかなしい話。


    あと、伊勢物語をほうふつとさせたり、平成合戦ぽんぽこのオマージュがあったり?小ネタもちょこちょこあったように思います。もちろん原作とされる日本最古の竹取物語 それに到るまでも踏襲しているのでしょう。


    しっかり見てみるととんでもない映画でございました。

  • キャッチコピーだった「かぐや姫の犯した罪と罰」を、教えてもらえるものだと期待して観たけど、その点では分かり難かった。

    人によって、いろんな解釈するだろうと思う。

    翁の声が二人になった事を知らなかったので、途中何度か「あれ?三宅祐司???」って思った。

  •  筆のようなタッチで、優しいながらも、時に勢いのある場面では前衛的な表現を用いたり、作りこまれた作品に感じられた。髪の毛の描き方は特徴的だと感じた。
     描き方は癖があるが、結局かぐや姫が笑顔のシーンが一番のハイライトで思い出される。終わり方は演出が少し暗かった。

  • ジブリ映画。絵柄はほんわりしていて見ているのが楽し買った。映像美という感覚。ストーリーは、竹取物語そのもの。

  • ざっくり言って女が虐げられる話。半分は「前近代(封建社会)を現代の視点から見るとひどい」ということであり、同時に「別に現代でもある(ひどい)話じゃね」ということ。

    「アナと雪の女王」同様に、アンチシンデレラ・ストーリーであるのが一つの特徴で、「高貴な人々」からの求愛・求婚が基本的にネガティブなものとして表象されている。ただし、「アナ雪」がポジティブなラストを迎えるのに対して、こちらの話には希望がない。ほとんど不条理劇のようでもある。

  • けっこう期待したが、よかった。

  • TV金ロー録画>残念ながら胸に響かない…全く響いてこない(^^;)作画は原点回帰?なのか…手描き,筆で描いたようなラフ画調の柔らかい雰囲気は好感。竹取物語原案で話の結末も何となく解っちゃってるので新鮮味はない。姫の怒りを爆発させた場面は迫力があった。…にしても姫が地球に送り込まれた理由がようわからん。捨丸兄ちゃんの扱いが酷くて可哀想。急なファンタジー感でぽか~んとなり、帝の猪木バリの顎ww姫が随分身勝手もいいとこで共感はムリ…長い"新釈"まんが日本昔ばなしを見てる感覚でしたwちぃちぃ寂しい。

  • かぐや姫、保留にし過ぎてどうにもならなくなって、結局死ぬしかないみたいな話で。牛車から降りて捨丸兄ちゃんと逃げたら良かったんだよ。かわいそうで泣いたけど。

    良かったシーン。赤ちゃん時代の寝返り、宴会の夜の怒り、里山の風景全般。ハイキングに行きたくなった。

著者プロフィール

アニメーション映画監督。1935年、三重県生まれ。作品にTVシリーズ「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」など、劇場用長編「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョとなりの山田くん」「かぐや姫の物語」など。

「2014年 『かぐや姫の物語 徳間アニメ絵本34』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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