チャタレー夫人の恋人 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら、エマニュエル夫人の原作本だと思っていた。
    それは極端な例だとしても、ポルノまがいの小説といったイメージがある人は逆に読んでみるといいと思う。人間として生きること、そして階級の問題など、イギリスの抱える問題がしっかりと描かれている。

    気になる性描写は、具体的ではないが、情熱が伝わってくる。過去において、裁判にまでなったと言うのは、今でこそ考えられないが、そういう時代もあるかもしれないと納得がいく。

    チャタレー夫人ことコニーは、空っぽと称される夫クリフォードと2人で暮らしている。クリフォードは半身不随であり、子供を持つ事は絶望的だ。それでも2人は端から見れば幸せに暮らしていた。クリフォードは、誰かと子供を作るようにとコニーに言う。子供を作り、クリフォードとの子供として育てようというのだ。納得しかねていたコニーだが、ある日森番のメラーズに体を許してから、変わっていく。
    コニーは、メラーズとの関係を続けるうちに、女としての自分に気づく。屋敷の召使いであるボルトン夫人は彼女に恋人がいることを見抜く。夫のクリフォードはそこまでではなかったが、コニーが何か変わったことが直感した。
    この辺の描写が見事だ。
    ボルトン夫人がメラーズとコニーの関係に気づいたあたりから、一気に物語が面白くなる。

    中盤以降メラーズとコニーは、人間らしく生きることについて、必死になっていく。
    雨の中で駆けずり回ったりすることで、機械化する世界に反抗する。

    人間らしくいきることを望んでいるメラーズと、彼に惹かれていくコニーの関係は今後どうなっていくのか。それはわからないが、メラーズの質素だがしっかりとした生活は今のミニマリストにも通ずるものを感じた。
    物事の本質をとらえ、堅実にいきていく。
    派手さはないが、両足をしっかりと踏みしめて人生を歩んでいく人間の重みを感じた。

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です

    ■2022年9月18日(日)17:30 〜 19:30
    https://nekomachi-club.com/events/0804655556d0

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著者プロフィール

一八八五年、イギリス、ノッティンガムシャーに生まれる。二〇世紀イギリスを代表する作家。代表作に、『息子と恋人』(一九一三年)、『虹』(一五年)、『恋する女たち』(二〇年)、『翼ある蛇』(二六年)、『チャタレー夫人の恋人』(二八年)などがあり、世界中で翻訳されている。評論にも優れ、『アメリカ古典文学研究』(二三年)、『現代人は愛しうるか 黙示録論』(三一年)などがある。

「2018年 『麗しき夫人 D・H・ロレンス短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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