データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則 [Kindle]

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  • 草思社
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感想・レビュー・書評

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  • IoTと人口知能の組み合わせの破壊力がよくわかる本。HITACHIのコマーシャルを除けば、よくできていて、「コンピュータに命令されて人が動く社会」がすぐそこまで来ていることを実感させられる。

  • 人の動く量は決まっており、動く量が多い人ほど効率性がよく、また幸福度も高い。ウェアラブルセンサーを用いてこのような分析を行った結果及びその知見について紹介されている。機械学習が流行しつつあるが、これまでは人が仮説をたててその仮説に基づき計算をさせていた。しかしながら、最近では人が仮説を立てるのではなく大量のデータから機械に分析させて真因を見つけるほうがよいという結果が導き出されている。機械は人間を超えていくという考えではなく、機械が導き出してくれる答えを活用して人間も進化するという考えが語られており、非常に共感した。なかなかの良書です。

  • ハピネスの定量化
    これとクラウドデータのマッチングで
    面白いサービスが提供できそうだ。

  • 41冊目。

  • センサーにより人間の行動データを計測し、得られたビッグデータを基に、物理現象ではなく、人間の幸せや仕事の生産性といった、これまで客観的な測定が難しいと考えられていた社会的な現象を測定するというお話。

    直観に反する結論が多く、データに基づいていなければ、こんなの文系の戯言だと一蹴したいところだが、(元となる論文は読んでないが)ちゃんとしたデータの解析に基づいた結論であることから、話としては重い。

    ただ、データに基づく結論の内容によらず、著者の科学に対する考え方、取り組む姿勢、ものごとの捉え方等か非常に斬新で、かつ心情的に非常に共感できることから、内容的に理解できていないことは多いが非常に楽しめた。

    もう1度読んでちゃんと内容を理解したいと思う。

  • いろいろ考えさせられて、面白かった。キャッチコピーは「幸せは加速度センサで測れる」なんどでも言おうw「幸せは加速度センサで測れる」。

    周囲の人でたまにスポーツする人向けにウェアラブルセンサを使ったサービスの話を聞くことがあるが、将来は、企業活動のコンテキストで人と人とのナイスな相互作用の発生頻度を上げてナイスな成果生み出すためにウェアラブルセンサを使ったチームビルディングサービスが一般化する未来があるかもね。副作用の不安は監視社会としての利用かな。

    CIは、プロダクトの質、特に内部の質に関して迅速なフィードバックと調整の機会を与えてくれるが、人と人との相互作用の質(チームの質)を可視化してフィードバックと調整の機会を与えてくれるサービスはソフトウェア開発の世界でもまだ、一般化しているとは言いがたい。本の中では、人と人とのコンタクトや会話の質を何とかしてセンサで捉えフィードバック機会が得られる仕組みを導入している。言語活動より身体活動に着目してるあたりは、メルモ=ポンティの匂いがする。一人の内面よりも人と人との相互作用の関係性に着目や幸福に感じる時間感あたりは「あいだ」や現象学の一派の哲学の匂いがする。

    人ではなくビックデータよりコンピューターが仮説を形成する世界観はまだ身近には感じられない。顧客の行動履歴を持っている企業の方のほうが実感わくのかな。

    本に出てくる名刺型センサとやらどこで手に入るんだろうか。

  • 日々の人間行動のデータを大量にとってコンピュータで分析させることによって見えて来た新しい人間論。刺激的。

    <活動予算>
    ・人間が一日に活動できる量には限界がある。これを活動予算という。
    ・ずっと仕事をする時、その時間のうちほとんどはだらだらしている。
    ・活動予算の総量は変わらないので、自動調整が働く。
    ・いざやろうと思って初めても、だらけたり、あきらめたりするのは、活動予算の限界を超えてしまったから。
    ・テキパキと仕事できる人は、活動予算の配分がうまい。集中する活動時間と体を休ませる時間の配分ができている。
    (長時間仕事ができる人は、仕事している間に、体を休ませる時間を作っていると言える。ずっと体を硬直させて仕事しているわけではない。常にどこかの部位を動かしたり、あるいは休ませたりして、活動予算を最適化しているのだろう)

    <ハピネスのテクノロジー>
    ・行動すること自体が幸福感の源泉になる。
    ・行動を省略する技術より、人間の自発的行動を促す技術を開発する方が、人間の幸福感を増大させる。
    ・毎週「今週よかったこと」を書くグループと、ただ今週起きたことを書くグループでは、良いことを書いたグループの方が幸福感が上昇した。人のハピネスは意外に小さなことが決めるのだ。
    ・ハピネスな人は身体的活動量が多い。
    ・ハピネスセンサを家族と共有すれば、危機的状況の時に支援してもらえるだろう。

    <運のよさは数値化できる>
    ・仕事がうまくいく人は、知り合いの知り合いまで含めて、自分の持っていない情報や能力にアクセスする能力が高かった。
    ・単に知り合いが多かったり、コミュニケーション上手な人が仕事上手かというとそうでもない。重要なのは、自分の持っていない情報や能力にどれだけ短時間にアクセスできるかを示す到達度の高さである。
    ・運のよさとは、到達度の高さだと言える。
    ・問題に対して建設的に議論できる企業は収益性が高い。追従的、懐疑的な態度がある企業は、収益性が低い。
    ・双方向な会話の多さが、建設的議論を促進する。
    ・会話の双方向率が高い相手、低い相手が生じる。これは相性とか性格の問題ではない。会話の双方向率が高まるためには、真剣に両者がまじりあうことが必要な挑戦目標が必要である。挑戦的な目標がなければ、腹を割った話し合いは産まれない。(この話は目からうろこ。コミュニケーションに対する考え方が変わった)

    <学習するマシン>
    ・人工知能の発達によって、コンピュータはデータから解決策を導けるようにもなった。
    ・プロの人間が考える解決策より、データから導き出した解決策の方が正しい。何故そうなるのか因果関係の説明は困難だが、データをとってみてうまくいく行動を実践すれば、問題は改善する。
    ・ただし、学習するマシンは問題を設定することはできない。与えられた問題に関して、データを活用して的確な情報と判断を提供するだけである。
    ・人間に必要なのは問題提起、課題設定能力である。
    ・マシンはデータが大量にある状況で力を発揮する。一方人間は未知の状況、定性的情報しかない状況でも前進できる。このような状況で意思決定するのは人間の仕事である。
    ・マシンは行動の結果に責任を取れない。責任を取ることこそ人間固有の能力である。(コンピューターができなくて、人間にはできること。人間は問題提起・課題設定を行い、未知の状況で意思決定し、行動に対して責任を取る。こういう人間は確かにかっこいいし貴重な人材である。)

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著者プロフィール

矢野 和男(やの・かずお)
株式会社日立製作所フェロー。株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEO。1959年山形県酒田市生まれ。1984年早稲田大学物理修士卒。日立製作所入社。91年から92年まで、アリゾナ州立大にてナノデバイスに関する共同研究に従事。1993年単一電子メモリの室温動作に世界で初めて成功し、ナノデバイスの室温動作に道を拓く。2004年から先行してウエアラブル技術とビッグデータ解析を研究。論文被引用件数は4500件、特許出願350件を超える。「ハーバードビジネスレビュー」誌に、開発したウエアラブルセンサが「歴史に残るウエアラブルデバイス」として紹介される。開発した多目的AI「H」は、物流、金融、流通、鉄道などの幅広い分野に適用され、産業分野へのAI活用を牽引した。のべ1000万日を超えるデータを使った企業業績向上の研究と心理学や人工知能からナノテクまでの専門性の広さと深さで知られる。2014年に上梓した著書『データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』(草思社)が、BookVinegar社の2014年ビジネス書ベスト10に選ばれる。

「2021年 『予測不能の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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