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- / ISBN・EAN: 4959241756909
感想・レビュー・書評
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最後のジブリ映画は、仕込みが多め
(ご注意 本レビューはネタバレを含みます)
「百合もの」等の噂とは全く異なり、本作はSF、モダンホラーか、はたまたサイコミステリーかと、悩ませる仕込み多めの作品でした。
そして、前評判通りに、ローティーン女子特有のウェットなところが大きな味付けになっています。
主役、安奈は、まるで俺らのようです。
(絵を描くのが楽しみだが他人にみせられない、コミュ障、自己嗜虐・陶酔、分裂症、そして病弱)
マーニー登場以後、「マーニーは一体何者なのか?」という主題に引き込まれます。
進行するに従い、時空の歪み、モダンバンパイアの線は消えていきます。
正体は…、「ファイトクラブ」を思い起こさせるものでした。
幼児期の祖母マーニーの寝物語が安奈にビジョン(夢)を見させていた。
その寝物語は、祖母の実際の体験ばかりでなく、美化されたものもあったでしょう。
このように、超常現象なしで説明がつくオチなのですが、
湿っ地屋敷の近隣に安奈が療養に訪れた偶然とマーニーとの邂逅は祖母の愛が働いたものと考えないと野暮というものでしょう。
天下のジブリアニメの本作は、一般層も相当数観賞する作品ですが、解釈の難易度がやや高い大胆な叙述トリック描写がされてます(ジブリらしくない演出)
・安奈は行動しながらマーニーを妄想しているケースと、自分の行動を含めて妄想しているケースの2パターンがあるらしい。
パターン? リアル安奈は、この間ずっと気を失っているはず
安奈のあぶなっかしいボート漕ぎ、夜のピクニック、花売りでパーティ
パターン? まさに、ファイトクラブ状態
キノコ採り、砂のお家、サイロに向かう(さやかちゃんが目撃)
・マーニー祖母が語った素敵なエピソードも恐らく美化されたもので真実ではなさそう。
マーニーはボート漕ぎが得意というのは、彼女の願望で恐らく一人で漕いだこともない。夜のピクニックも創作?
パーティーの真偽は分かりませんが、花売り(和彦)ディテールから真実かな?
・破られた日記の内容は? 実際にサイロで何があったのか?
?少女マーニー
1)和彦に誘われたが悩んだが行かなかった(破られた日記にこのような記載が)
2)和彦の誘いに折れてサイロのなかで…。マーニーがコート(男性の象徴)を被りながら、初めは泣き叫ぶが最後に和彦を受け入れていく流れが暗喩ではないかと
和彦の動機(bだとする立場です)
a)ねいや達のイジメによるサイロのトラウマを解消させたい
b)単純にマーニーと親密になりたかっただけ(嫁にしたから許す)
?少女マーニーの日記
破られた日記は和彦の記載、逢瀬のページでとりわけ恥ずかしいから隠したのでは?
さやかちゃんが平気で読んでいたので、前述のことはストレートには書き残さなかったと思われる。
?祖母マーニーの寝物語
サイロでひとり泣いているところを和彦にコートを掛けてもらって助けてもらった。
と、大幅な省略とイケメンラブラブなところを強調して話したのでは。
?安奈の実際の行動
サイロ付近まで行き(さやかちゃん目撃)、失神、妄想継続。
サイロは通常管理されていれば施錠されて中に入れなかったはずです。
話は変わりますが、ヒッチコック作品を思い出してしまう作品です。
「レベッカ(→湿っ地屋敷)」「めまい(→サイロ)」
ブロンドの美人が出てくるからかもしれませんw
原作はイギリスですが、舞台を日本(北海道釧路)にしたことは、まあよかったかなあと思えます(オチの意外性、マーニーだけなぜ外国人少女なのかというキャッチーの強化)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現実の人ではない。おばけではない。でも夢でもなければ空想でもない...。
『この出会いは永久に秘密。私達だけの、ふたりっきりの秘密よーーー』
ある夏の夜、湖畔にひっそり佇む「湿っ地屋敷」で出逢った、青い瞳の美しい少女。昼間には決して出会えず、会いたいと願った夜の間だけ、彼女に出会うことができる。自らが胸に抱く大きな秘密を打ち明けたとき、過去を紐解いて彼女の真実に触れることができる。
これはひと夏の思い出。秘密を共有し、それを守ることができる人だけに許された、密やかな幻。 -
やはりとてもよく出来てる。安易な高畑・宮崎フォロワーになってないのがいいし、音楽が久石讓じゃないのもいい。
なにより杏奈とマーニーの接触の多さが素晴らしい。身体の接触は同性間の友情として意識されるに過ぎないが、性的なものを意識しない有り様がかえって百合的な要素を孕むし、性的ななにものかに容易に接続しうる。この微妙なさじ加減がおそろしくうまい。
こういうのをメジャーで作って商業ベースに乗せてしまうのがジブリというブランドの為せるわざだと思う。高畑・宮崎がいなくなったあと、そういうことができるかと言えば非常に難しいだろうな、と。 -
【ストーリー】心を閉ざした少女杏奈は、ぜんそくの療養を目的に親戚が生活している海沿いの村にやって来た。そんなある日、彼女の前に誰もいない屋敷の青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニーが姿を見せる。その出会い以来、杏奈の身の回りでは立て続けに奇妙な出来事が起きるようになるが、それは二人だけの秘密だった。
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女の子の友情、家族愛、ほっこりするストーリー。最後は、ああそういうことね、と。主人公の思春期真っ只中の周りが見えてないあの感じ、自分にもあったなぁ。
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★4.7。優しい映画でした。10代のぐずぐす感。別に悪いことじゃなくて、誰しも経験する独りよがり。それから優しく卒業させていってくれる物語でした。泣きました。
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やっと、見た。そういうことかぁ。こういう秘密のある映画好き。相変わらずの風景のきれいさに癒されて、あ、私いま休みを満喫しているなって気持ちになれました。最近見ていないジブリシリーズをまた見たくなりました。
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思春期全開の女の子が夏休みに不思議な体験をして、友情と家族愛を知るお話
以上の何者でもないんだけど、
ジブリの圧倒的映像美でそれをやってくれるもんだから思春期のこんがらがりを思い出して涙腺ボロッボロ。(特に泣き所はない)
あれくらいの頃の女友達って親より恋人より特別なんだよなあ。なんでだろ。
主人公が田舎で出会ったぽっちゃりした女の子が死ぬほどいいやつでまた泣ける。「どうかな」じゃねーよおい!!!もっとちゃんと謝んなさい!! -
コミュ障でアスペな主人公、すごい共感出来るしジブリらしからぬ百合百合ぶりもよいのだが。
出会いと出来事がきっかけで抱えてる問題を解消していくという作りなわけだけども、出来事と問題の繋がりが薄くてパズルのピースがカッチリハマるような気持ち良さがない。そこに引っかかりがあると、見る側も素直に感動出来なくなる。
それにしてもアンナの妄想力が刃牙並み。リアルシャドーレベル。 -
2014年公開
監督 : 米林宏昌
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病弱でコミュ障な少女が、病気療養先の北海道で、不思議な少女と出会うお話し。
これ、僕はものすごいスキでした。原作パワーも大いにあると思いますが、ジブリがこういう、影があって、ちょっとミステリアスで、かつ筋書きに謎解きがある作品を大衆作品としてやりきることに、いいなあと。旧来の駿ファンタジーが好きなファンからすれば違うのかもしれませんが、米林監督はもうそんなの全部無視で、駿が出来なかったこういうやつを試行錯誤しながらゴリゴリ作ってほしい。
声優がね、ちょっと残念な感じなのと、ちょっと登場人物の心情描写が唐突で、えっ?ってところがあったのが引っかかりますが、でも佳作。