国境(上) (文春文庫) [Kindle]

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  • 前作「疫病神」で結成された建設コンサルタントの二宮と現役極道の桑原によるデコボココンビの活躍の舞台は北朝鮮。目的は朝鮮人の詐欺師を見つけて、騙されたカネを取り返すこと。

    前作同様、異国の地でも、2人の大阪弁のどつきあうような会話とカネさえあればなんとかなるという発想での行動力は健在。ただ、貧しい経済と閉塞感のある監視下で窒息しそうな北朝鮮の社会には、まったく似合わない2人でもある。果たして彼らは北朝鮮で実力を発揮できるのか。

    それにしても、北朝鮮の描写は実に克明で、まるで北朝鮮のガイドブックを手にして、北朝鮮に侵入した気分。当時も今も現地取材などできるはずはないから、ほとんどは作者の想像なのだろう。時折、ヤクザの桑原でさえも同情してしまう北朝鮮の人々の悲惨な暮らしぶりが描かれる。ちなみに桑原が名付けた当時の北朝鮮トップの愛称は「パーマデブ」だ。

    疫病神コンビは詐欺師と奪われたカネを探し求めて、中国側の国境から北朝鮮へ。交通機関はなく、言葉も通じず、休憩する場所もない。密入国の罪で逮捕されてしまえば一生出国できない国で彼らはどうやって目的を果たすのか。という緊張感のある展開で下巻へ。

  • 北朝鮮に逃げた詐欺師を追う話。
    平壌から経済特区へ。
    舞台の関係上、北朝鮮の説明が大半。
    北朝鮮を知るための読み物みたい。
    最初に舞台ありき、書きたかったんだろうなと感じる。
    後半盛り上がるのか期待。

    小指の爪がのびてますね。のボケは秀逸だ。

  • 物語のテンポも速く、とても楽しめた。

  • 閉所で暗所がダメな自分には、中国から北朝鮮への棺桶状態での越境シーン、まともに読み進めることが出来なかった。
    (この疫病神シリーズには車のトランクに押し込まれるシーンが多くて、これまたキツいのだけど)

    なら、読むな、と(苦笑)。

    けど、相変わらずの極道コミュニケーションの丁々発止が面白くて仕方ない。

    さぁ、まだまだこのシリーズは追いかけまっせ。

    桑原ラブ。。。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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