世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方 [Kindle]
- 英治出版 (2015年1月24日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (414ページ)
感想・レビュー・書評
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通読した限りだとそういうものの見方もあるのか〜という感想で終わってしまったが、このツールを現実の問題に照らし合わせるようなトレーニングを積んでこそ役に立つものだと思う。問題解決能力を高めたい人に良さそう。
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ルールを支配する力が本当の力
会社にはルールがあります。そのルールは基本的に会社の成長に寄与するものであり、皆がそのルールを守ることで、会社が成長します。
しかし、個々がよかれと思って発案したルールが真っ向からぶつかる場合があります。本来ならば、両者の妥当性を吟味してより会社の成長に寄与する方が選択されるべきだと思います。ただ、そうや問屋が卸さず、ルールの発案者が頑張ってる、可哀想、とか言う情緒的な理由でルールが決まる場合もあります。
ルールを決める側の人たちには、冷静な判断を求めたいものです。もちろん、自分がその立場になった場合は、気を付けたいと思います。 -
ずっと定性的な説明で読むのが辛かったが、色々知見は得られた気がして面白かった
特に物事をシステムとして捉えるという視点は無かったのでその点は良かったが、非線形ダイナミクスを数式無しの文章で理解するなど、無駄も多かったように思う
いきなりレバレッジポイントのリスト化など若干抽象度も高い気がしたので、入門という感じではなかった
もう少し実践的な記述が欲しかったと思う -
英治出版らしい重厚な佇まいではあるが、読みやすく理解しやすい内容で、システム思考の入門書として推せる一冊。
とかく「群盲象を評す」の状況に陥ってしまう私達が、目の前に対峙している事象のさらに背後にある原則と向き合い、本質的な行動をとるためのヒントが詰まっている。 -
しっかり理解できなかった。
タイトルからどういうものがシステムか理解できるようになるものかと思ったが、部分の事例の列挙で全体的な部分はわからなかった。 -
組織運営で感じることや、薬剤開発で感じることに通じる気づきがあった。特に第4章、第5章が役立つ。
第3章にはなぜシステムがとてもよく機能するかという項目がある。逆に言えば、良く機能する組織を作りたければ注意すべき項目ともいえそうだ。レジリエンス、自己組織化、ヒエラレルキー。
レジリエンス:個人や特定の機会に依存した組織はシステムとしては不安定だ。
自己組織化:これはどう生かすかは難しいが、こういう傾向があるということはわかる。
ヒエラレルキー:これはおもしろかった。ヒエラレルキーというと、今ではフラットの反対語であり、組織としてよくないように思うが、必ずしもそうではない。かつての共産主義国家の、中央集権的なアプローチが適切にヒエラルキーを使えなかったゆえの機能不全の例として出ていて面白かった。何でもかんでも中央で判断するということにんすると、結局は的外れになる。十分な判断のできる機能を見つけ出し、そこについてはそこだけで十分に機能させるようなことをするのが良いのだろう。しかし、部分最適化の罠は常にあるから、全体最適化に向かうような何らかのFeedbackが必要になる。
このようにして構造化して考えることで、よりよい組織のデザインができるかも?
第四章のなぜシステムは私たちをびっくりさせるか?も面白い。これを知ることで用心はできる。
まず、私たちは非線形的なことを理解できない。こう思っておいたほうが良い。これは仕事でも感じるが、複数のパラメターが入ってきたり、線形でない場合、まず間違いなく適切な判断を数式を使わずにはできない。
また魅力的な出来事(成功体験)が起きてしまうと、それが実はノイズであったとしても、そこに何らかの法則性を見出してしまい、抜けられない。実際にはシステムは複雑であり、自分たちが想像する因果というのはあっていないことが多い。しかし、それでも私たちはそれを信じることをやめられない。
また、限界を想像しないということも興味深い。何かをできるようになると言っても、どこかで限界が来るわけで、それをどうやって定めるか、今よりも高く遠くへというわけだが、実際には途中から斬新しかしない。そういう世界のことを口にしないというのはある。
また時間的遅れというのも実体験からも納得いくものである。時間的な遅れというか、いろんな意味での距離だと思う。Feedbackに時間がかかったり、自分が直接受け取らないと、痛みを感じて、その因果を改めたりしない。直接的なFeedbackを作るにはいかにここを改善するかだろう。すぐに、わかりやすい形(いたみ)で伝えることである。
最後は限定合理性のところで、部分最適化と言われたりもするだろう。だからこそ、組織や仕事をするうえで視野を広げることの重要性がいつでもどこでも言われるのであるが、これはなかなか難しい。
第5章のシステムの落とし穴は簡潔にタイトルのみ。
施策への抵抗、共有地の悲劇、低パフォーマンスへの漂流、エスカレート、成功者はさらに成功する、介入者への責任転嫁、ルールのすり抜け、間違った目標の追求。
人類には、自分の意思決定に対する説明責任を避けるというシステム的な傾向があります。という言葉がある。
痛みを感じたくないということだろうと思う。介入者への責任転嫁等はまさにそれで、こういうことが起きるのはまさに人間の本能なのだろうと思う。
直接的な痛みを感じられるところに自分を置き、自分が判断することはなるべくそういうものにする。そうでないものは、そうした痛みを直接感じる人たちに任せるということがあるだろう。あるいは、そうなっていないのなら、そういうFeedbackループをつける。ルールのすり抜けが怖いのだが、それでも、こうすることで必要なFeedbackを受け、組織なり、個人なりが改善していくだろう。
その組織や個人が、その痛みを受け入れることができれば。それができないということも人間の性質であり、何かを動かすためには無視できない。著者も言っているように、何かを実行するのはシステムではないのだ。
わかるだけではだめで、勇気をもって、そういうことを実行できる強い人を見出し、任せる、あるいはそういう人間にならないといけない。 -
『学習する組織』のピーター・センゲの親友というドネラ・メドウズの説くシステム論。システム思考の基本的な考え方と、身の回りの具体的なシステム事例への反映のされ方、実際にシステム思考を用いるにあたっての共通プロセスとその転用について。