- Amazon.co.jp ・電子書籍 (423ページ)
感想・レビュー・書評
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電子書籍で読んだが、あとがきに、紙の書籍の包装の美しさや拘りに言及していて、なんだかそういう愛情のある本は素敵だなと思った。
内容については、基本的にカフカさんのことめちゃくちゃ愛おしくなって、癒されて、ふふふと笑って。ゲーテはあまりの太陽っぷりに最初は苦手だったのだけど、読み進めるうちに少しずつ、ゲーテさんもいいな、みたいな気持ちになってきた。人生にはカフカもゲーテも必要なのかもしれないな。どちらもとっても魅力的な人。
ゲーテの「じつはすでに自分が持っているものに、あこがれを感じているのだ」「順調なら、まっすぐな道を歩んで行けるし、逆境にあっては、回り道もしなければならないが、やがてまた本来の道に戻れるだろう」 はなんだかわかるな。じつは持っているものだからこそ、それを最大に活かせている人、花開いている人にあこがれを抱くのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゲーテとカフカの言葉を集めた1冊には間違いないですが、編集の妙というか違う時代に生きた2人の対話という形にまとめ上げた頭木さんの作品という印象が残ります。本書の面白さを形作っているのは、間違いなく2人の言葉の後に毎回挟まれる頭木さんの解説文でしょう。
ゲーテもカフカも、それほどちゃんと作品を読んだことはないですが(カフカの変身くらい)、こんなに魅力的で対照的なキャラクターだったと知るとそれぞれの作品の楽しみ方も幅が広がりそうです。 -
おもしろいけど疲れる。
カフカの病気になった直後に、よく食べて太ったエピソード好き。
参考文献の解説もある。あんまり見なくてレア。読みたくなる。
邦訳されていないものや復刊が望まれるものも。
カフカとブロートの手紙のやり取りが気になる。
ファウストも読んでみたい。 -
「絶望読書」から2冊目となる同作者の本ですが、とてもユニークな内容となっています。性格的に正反対の二人の文豪を陰と陽で分けて互いの名言を対比させていますが、面白いほど真逆の言葉を書き残していることにまず驚かされます。装丁も陽気なゲーテには白いページを、陰気なカフカには黒のページを配し工夫しています。
真逆なのは性格のみならず二人の生き様にも反映されています。底抜けに明るいゲーテは1749年ドイツ生まれで、根暗なカフカは1883年プラハで生まれていますので、同時代で互いに交わることはありませんでした。ゲーテは健康体でしたが大病を患いながらも82歳まで生き、病弱なカフカは41歳で結核で亡くなっています。ゲーテは生涯を通じて恋愛大好きでしたが家族を持ち、カフカは三度婚約するも生涯独身でした。ゲーテは絶望を経験することで強くなり、カフカはできるだけ絶望を避けて生きてきたようです。情熱家ゲーテを象徴する言葉は、「生きた、愛した、悩んだ」、カフカは「無限に多くの希望があります。ただ、僕のためにはないんです」とどこまでもシニカルです。
さて、人は絶望から抜け出すためには大きく3パターンがあります。何もせずに時が解決するのをただひたすら待ち続ける忍耐派、勇気づけられる言葉で自分を奮い立たせる行動派、自分よりもっと悲惨な状況と比較してまだましだと思い込む消極派。少なくとも行動派と消極派は、本書を読むことで心が癒される処方箋となりえるでしょう。
最後に、次のゲーテの言葉で締めくくります。
「恋人の欠点を美点と思わない者は、恋をしているとは言えない」
恋人を、親友や家族などと置き換え、恋を愛に変換してみれば、自分にとって大事な人は欠点も併せて包み込まなくてはいけないことがわかります。 -
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