アメリカン・スナイパー ブルーレイ&DVDセット (初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
- ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4548967192674
感想・レビュー・書評
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「いいか、世の中には羊と、狼と、羊を守る番犬しかいないんだ」。子どもの頃に父親に聞かされた通りのシンプルな世界観を抱いたまま大人になり、9.11に衝撃を受けると、その背景を考えることもなく「国を守るため」という国家の呼び声に応えて軍に入隊、しかももっともマッチョだからという理由でSEALDSに入ってしまうという、まあ根は素朴でいい人なんだろうけど、国家にとってはまことに都合のよすぎるヒーローのお話です。
「俺が国を守る!」というシンプルな正義感を抱く男が、実際には大量破壊兵器が存在しなかったイラク侵略戦争に投入され、大量殺人者になることで英雄になってしまうという矛盾は追求されることなく、ただ愛する妻との関係という、徹底してパーソナルな危機の問題に還元されてしまいます。しかもこの主人公、家ではいい父親だわ、きちんと仲間の敵もとるわ、最後は仲間の兵士を助けようとして殺されるわと、立派すぎる人。主人公の弱さや脆さを描く描写がないわけではないけれど、それらをさらけ出す場面ですら抑制がきいていて、無駄な殺害は一つもしていないと胸を張る彼は、「理性的かつ人間的に暴力を使うことのできるアメリカの軍人」という、非常に古典的な理想像に収まっています。一方、イラク側のゲリラはリーダーは幼い子どもや老人までもドリルで残虐に殺害するという「理性なき野蛮な暴力」という対立的な形で描かれているし、元オリンピックメダリトのシリア出身のスナイパーも、なぜ名声を捨てて反米ゲリラ闘争に加わったのか、その背景が描かれることはなく、最後に主人公に花を持たせる強力なライバルでしかない。だからこそ、このいろいろと矛盾をはらんでいる物語は、あのアメリカ国旗で埋め尽くされる一面的なラストシーンの中に気持ち良く回収されていくことになります。
イーストウッドって、もう少しひねりや皮肉のある知性的映画も撮っていたはずなのに、なんたる体たらく。そしてこの映画が日本で高く評価されてしまうことに、いっそうの空恐ろしさを感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
えー、これの良さがみじんこ程もわからない。
戦闘の真っ最中に家族に衛星電話とか、民間人と戦闘員の区別がすごく容易についてて、狙撃されたイラク側の人間はものすごくわかりやすく武器使用を誇示してるとか、とにかくものすごくリアリティに欠けると思った。
しかも奥さんとの関わりを随所に入れ込んでる割にはどっちの心情描写も全然響いてこないし。戦闘の緊張感すら伝わってこなかったけど。。 -
呆れた。よくできた映画で、ショービジネスの第一線で活躍し続けたクリント・イーストウッドの力はわかったが。
アメリカ人は、イラクで死んだり傷ついたりしたアメリカ兵のことは気の毒に思いながらも、非常に立派だったと誇りに思っているのね。
正義の戦争だったと思っているのね。
殺されたアルカイダは人間じゃない、残忍な野獣だから、殺されて当然なんだ。
なぜ彼らがあのような行為に及んだのか、そこにアメリカの責任はないのか、考えなければ、戦争が次々と起こるのは当たり前。
この映画を見て、素直に感動したり、アルカイダを撃ち殺すシーンに爽快感を抱くことを隠さない人とは仲良くなれない。
爽快感を抱くように作ってあるから、感じるのは仕方ないけど、それでいいのか考えてほしい。 -
飛行機にて前評判が良かったので鑑賞…が、良さがちっともわからなかった。終わり方とかとくに。切なさが残る映画