愛の嵐 [DVD]

監督 : リリアーナ・カヴァーニ 
出演 : ダーク・ボガート  シャーロット・ランプリング  フィリップ・ルロワ  イザ・ミランダ  ガブリエル・フェルゼッティ 
  • ブロードウェイ
3.19
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本棚登録 : 46
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4944285826497

感想・レビュー・書評

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  • 映画を観るときに漠然と目標みたいなものを決める時があって、今までちゃんと観てこなかったジャンル、これまでだと例えば日本映画、フランス映画、ミュージカル映画……。そんななかのひとつに「エロティック映画」というものがあります。

    エロい(エロそうな)映画、実は今までなんとなく避けてきてて。評価も難しいな…と。エロければ良いのか?それとも映画としての面白さか?芸術性か?などと、難しく考えすぎてしまう。
    私も男性だからエロいのを観たい気持ちもあるけど、映画でエロを観る必要性があるのか?エロさを求めるならAVで良いのでは?いやいや、AVより映画のエロシーンの方がエロい時あるよな!とか、やはり難しく考えすぎてしまう。

    あと、エロそうなジャケットのDVDをいそいそと借りてきて、ワクワクしながら観てみると「全然エロくないやん!」という時のあのがっかり感……この感情はいったいどう処理すれば……。

    と、いうようなこともございますので、今まで避けてきたエロそうな映画を、今後は積極的に観て行こうかなと思ってます。

    まずは『愛の嵐』。ジャケにもなってる、シャーロットランプリングがトップレスにサスペンダーのみ、ナチスSSの軍服でということで有名な作品。

    私はシャーロットランプリングがけっこう好きで、特に『未来惑星ザルドス』。『愛の嵐』と同年公開。大友克洋先生も彼女のことがお好きだそうで。この人って、すごく美しい三白眼が特徴なんですよね。

    だからエロを期待する下心もありつつ観てみたところ、これがぜんっぜんエロくなかった。DVDの最初に「過激な性描写があるのでご注意下さい」とか出て気持ちを煽りまくったあげくエロくない!!
    むしろ非常にマジメな映画で、シャーロットランプリングのヌードシーンも美しいだけでした。

    この映画の監督は、リリアーナカヴァーニさんというイタリアの女性監督。やはり男性目線と女性目線のエロスは違うと思うし、エロスよりは美しさなのではないかと。
    この人、のちに谷崎潤一郎原作の『卍』も監督してるので、SMとか倒錯した性をモチーフにするのが好きなんだと思う。
    『愛の嵐』はルキノヴィスコンティが絶賛してたそう。この映画の5年前に、やはりナチスを描いたヴィスコンティ監督の『地獄に堕ちた勇者ども』。それには同じくシャーロットランプリングが出ている。
    ヴィスコンティと三島由紀夫だったり、リリアーナカヴァーニさんと谷崎だったりと、方向性が近いから通じ合うものがあるんでしょうね。

    この映画がヤバい点はエロさではなく、オーストリアのナチス残党…元SS(親衛隊)をはっきりと描写してる点なのではないかと思う。
    この部分、ウィキペディアにすごく詳細な解説が書かれてあって偉い。誰が編集してんだ?

    映画そのものは前半ドラマ映画、後半がサスペンス的に展開していく。1957年の現在から、13年前の大戦末期の回想。この編集の仕方が面白い。全く説明的ではないので、よく観ていないと誰が誰だったか、キャラを間違えるほど。だけどちゃんと意味がわかってくる。
    主人公の元SSのマックスとルチア(シャーロットランプリング)の関係は、DVなんかと近くて共依存の関係だと思う。そしてマックスは、劇中ではっきりと描写はされてないけどバイセクシャルなのでは。

    期待していたほどの面白さはなかったけど(エロ描写の話ではなく単純に映画の内容として)、アート映画や文芸作品寄りの作品でした。あと、ナチの軍帽&サスペンダーのヴィジュアルイメージは、ナチ女囚もの(こちらは文芸作品ではなく、完全にエクスプロイテーションだけど)に影響を与えてるんじゃないかなと思いました。ただ時期的にかなり近いから、影響を与えたのか、単に当時流行ってたのかは不明。

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