イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 コレクターズ・エディション(2枚組)[初回限定生産]アウタースリーブ付 [DVD]
- ギャガ
- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4589921401371
感想・レビュー・書評
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第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)はドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は暗号解読をゲーム感覚で捉え、仲間から孤立して作業に没頭していたが、やがて理解者が現れその目的は人命を救うことに変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすが…。
ナチスドイツの解読不能と呼ばれた暗号「エニグマ」を打ち破り、劣勢だったイギリスを勝利に導いた天才数学者の物語。時代の雰囲気がよく出ていますし、暗号解読を通じてチームが一丸となっていくさま、更にその後の展開もドラマチックで観応え十分。天才だけど変わり者で周囲に馴染めないという難しい役柄を演じたB・カンバーバッチが圧巻です。 -
主人公の暗号を解くことへの執着の理由が次第に明かされていく流れに引き込まれた。
戦争に勝つためには救える命をも犠牲にしなければいけないという葛藤。
大切な人を守るため、遠ざけなければならない苦しさ。
2時間があっという間だった。 -
ストーリーは第二次大戦中の英国。ナチスの暗号機エニグマを解読した天才数学者アラン・チューリングを映画化した内容。
同性愛の廉で逮捕され警察で取り調べを受ける現在(1950年)。戦間期のエニグマ解読をめぐる頭脳戦。アランの生い立ち。3つの時間軸で物語が作られている。それぞれのエピソードでおそらく1本の映画が撮れるだろう。それをひとつの作品にまとめ上げるとは。脚本の腕の良さだろうか。構成の妙で観る側を物語に惹きこむ。 特にエニグマを解読したシーンは胸に迫るものがあって思わずホロりとした。
2015年度のアカデミー脚色賞を獲った理由が分かる(グレアム・ムーアの受賞スピーチも素晴しかった)。映像のテンポもいいので最後まで飽きない。
脚本といえば、これだけ胸に響いてくる台詞や言葉がある映画は久しぶりだった。
アラン・チューリングの生い立ちや功績は知っていたが、それでも観終えると切ない。
エニグマを解読した頭脳。それが第二次大戦の勝敗に与えた影響。コンピューターの基礎を作った彼の偉業は、現在の生活の隅々まで影響を与え、その恩恵に浸っている。
でも。アランが為したことへの対価が「富と名声を得た幸福な人生」ではなく、偉業の秘密指定という「歴史からの忘却」と性的マイノリティーゆえの「差別」という孤独な人生だった事実が悲しい。 名誉回復したとはいえ、戦後も70年近く過ぎていた。その仕打ちはあまりに酷い。
自分も含めて世の中の大勢の人は、天才という「特別」な人を待ち焦がれるのに、人を「普通」という暴力で枠にはめようとする。そこからはみ出た人を「異質」だといって排除する。でも、映画を見ると枠からはみ出た人が世界をひっくり返す偉業を成し遂げ歴史を作ってきた。
だから人間はおもしろい。だからこそ世界は(残酷で酷い場所だが)豊穣なんだと気づく。
そう思うと劇中に出た台詞が響いてくる。
「時には想像も付かないような人物が、想像できないような偉業を成し遂げる」。
「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにすばらしい」。
主演はベネディクト・カンバーバッチ。好演だった。
なぜここまで人気でチヤホヤされるのかいままで分からなかった。けど作品を見て見直した。風変りな所作はもちろん、感情の機微を細かく表情ひとつで演じ分けている。今年オスカー獲ってもよかったのではと思ったほど。
音楽も素晴らしい。アレクサンドル・デスプラの曲が観る側の感情を盛り立てる。抒情性豊かな曲調が物語と調和している。
あらゆる面で作り込まれた良い映画だった。
また見返したい。 -
暗号解析を成功させた歴史の話なのかと思っていたら
人に理解されない孤独を抱えた人間のドラマだった……
主人公のアランの色んな意味が重なった複雑な「孤独」がとても心に痛かった
またイギリスの第二次世界大戦を人知れず操作していたのが、ひとりの数学者とクロスワード好きな暗号解析者たちだったという事実もかなり興味深かった
アラン・チューリングを演じたカンバーバッチの蒼い瞳がとてもキレイ――たぶん監督もそれを意識して照明を当てて撮っているのか、とても美しくて
途中から彼の瞳ばかり見ていた……
瞳の美しさがアランの本当の純粋な心を見るようで、自然と涙が出た -
扱うテーマがどれを取ってみても重く視聴前は少し気負っていたが、いざ観始めると二時間があっという間だった。
特にカンバーバッチ氏の演技が凄まじい。彼に泣かされた。
作品はハッピーエンドではない。救いがあるとは言えない。でも観終えた後に残るのは後味の悪さだけではなかった。 -
ナチスの暗号「エニグマ」を解読し、戦争に勝つことによってたくさんの命を救うという使命と、エニグマを解読すること自体に賭ける情熱がバランス良く備わった人だったからこそ、実際に太平洋戦争を連合軍の勝利に導いたことに貢献できた、というふうに描かれている。コミュニケーション能力があまり高くない変人で、数式を解くなど数学そのものに没頭しそうなタイプに見えるが、事の本質を理解し、その本質をまっとうするために上層部とハードな交渉をし、解読が佳境に入ってきたら周囲の人間も巻き込み、最後には政治的な動きもしてみせる。数学のことはよくわからないが、コンピューターの素地も築いた人だというのだから、チューリング氏はただの数学者ではなく、未来が見通せる人なのだと感嘆した。
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エンドロールで涙が止まらなかった。
実話って説得力がある。
こんな風に生きた人がいるんだって考えさせられる。
観てよかった。
第二次世界大戦中。
イギリスでドイツのエニグマの暗号と戦った男。
戦争には色々な戦い方がある。
この人は、スーパーコンピューターで暗号と戦った。
そして、たくさんの市民を救った。
でも、たくさんの大切なものを失った。
どこをどう切り取っても、やっぱり戦争はしてはいけないと思う。
この人だって、この素晴らしい能力をもっと別のものに生かすことができたら、人生も世の中ももっと素晴らしいものに変わっていたかもしれない。
自分以外の人にはなれないけれど、自分以外の人の気持ちのわかる人間でありたいと思う。