学びとは何か-〈探究人〉になるために (岩波新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「教養としての認知科学」(鈴木宏昭) からの流れで、期せずして、読みたいと思っていた「言語の本質」より先に読むことになりました。

    認知科学の視点から「学び」を考えていく、という主旨の本です。

    色々な分野における「超一流」の方々の熟練の過程は、子どもが母国語を話せるようになる過程と同じで、「自分で問題を発見し、考え、自分で解決策を見つける」ことに重きがおかれている。つまり習熟が上手。

    最近の研究結果では、勉強・スポーツ・芸術などのどんな分野においても「天賦の才能」の存在には否定的。
    後天的に獲得した上記のような能力を発揮し、粘り強く続けられる「探究人」が、各分野において一流になっていく。


    子どもを「探究人」に育てるポイントが終章にまとめてあり、一読の価値ありだと思います。
    また、自分(大人)に目を向けてみると、1日2、3時間(よい練習方法で)頑張れば10年で1万時間。これで世界レベルになれるんだそう!笑
    今から何かの達人になるかはともかくとして、子どもに背中を見せる意味で親も探究人マインドを持つことが大事とのことです。(頑張ります)


    ***** 自分メモ *****
    P197抜粋:「天才」と呼ばれる一流人に共通しているのは向上の意欲だけではない。自分の状態を的確に分析し、それに従って自分の問題点を見つけ、その克服のためによりよい練習方法を独自で考える能力と自己管理能力が非常にすぐれているのである。

  • 今井むつみ先生の「学びとは何か」読了。

    今井むつみ先生は、ゆる言語学ラジオから知り、子どもの言語習得の研究をしている、という印象だったのですが、この本では、子どもの言語習得の研究結果も踏まえつつ、「探究人になるにはどうすればいいのか」というテーマで語っています。

    その分野を極める人は、どいういう学び方をしているんだろう?
    記憶と知識の違いは?
    どうして単語をいっぱい覚えても英語が話せるようにならないのか?

    いろいろ刺激になる事柄が書かれていて勉強になりました。

    読み終わって、私が勝手に理解したことは、

    インプットされたものをそのまま覚えることは知識にならない、さまざまな知識を「積み上げる」のではなく、それぞれの境界を探って隣接させる作業をすることで全体の形が見えてくる

    押し込むだけではなく、比べて、使って、時には間違いもして、身になったものしか本当の知識にはならない、

    というようなこと。

    将棋の羽生善治さんや、野球のイチローさんの例を出しながら、ただただ生まれ持った天才的才能があったわけではなく、積み重ねた知識を自分なりにきちんと整理できたこと、そして、インプットをし続けることが苦ではなく楽しみすら覚えていること、などを語っていました。

    いやいや、もっと深い本だったんで、興味を持たれた方は是非とも読んでみてください。
    (全然レビューになってないな笑すんません)

  •  終章だけで、800円とこの本を読んだ時間よりもお釣りが出る。
     学歴主義の中で英才教育や幼少期からの塾通いがもはやあたりまえになりつつあるが、生きていくのにもっとも役に立つ(お金が稼げるという意味ではなく、主観的に有意義で充足した人生を過ごすことができるの意)「知識」を学べるのは、「遊び」である。スマホ型のおもちゃよりも積み木で遊ぼう。ゲームはうまくやろうとしなくていい。表面的な利益を追求していては、深淵な「知識」にはたどり着けない。
     昨今話題の「アクティヴ・ラーニング」「主体的な学び」といった教育論の本質であり認知科学からの結論が詰まっていた。本文通り、「親にも、教師にも、子どもに関わるすべての人」にも読んでほしい一冊。

  • 「学び」とは何か、「知識」とは何か、を認知科学を通し解き明かしていく。
    自分自身での能動的な学び、幼い子どもたちにとっては、その環境がいかに重要かがわかる。

    まだまだ、現在の教育は、著者の言う「知識のドネルケバブ・モデル」が大勢をしめているように思う。

    現在子育て中、これから親になる若い人たちには、ぜひ一読をおすすめ。

    また、『英語独習法』を先に購入して読み始めていたが、あまり進まず、という方は、まずこちらを先に読むことをおすすめ。
    「スキーマ」という概念が理解できてくるはず。

  • この本から学ぶことばかりで、本がマーカーで大変なことになってしまいました。まず、覚えておかなければならないのは「スキーマ」という言葉。文章を読むとき、行間を補うために使う常識的な知識のことらしいけど、人は何かを学ぶときは必ずすでに持っている知識を使う。知識がない状況では理解が難しく、したがって記憶もできないらしい。これ、すごく説得力があります。つまり、日常生活における記憶は「客観的な出来事の記録」ではなく、知識のフィルターを通して解釈され、構築されたものらしい。

    語彙を身に着けるということは、単に単語単体の意味を学ぶことでは不十分で、単語同士の関係を学び、システムを作る必要がある。その中で、似ている単語同士がどう違っていて、その二つの境界がどこに引けるのかを知るのは特に大事らしい。

    身に着けるということは、模倣から初めてそれを自分で解釈し、自分で使うことによって自分の体に落とし込むこと。熟達者の直観と臨機応変の判断は、長年の習慣的な繰り返しから生まれるらしい。また、一流の熟達者は、極度に集中し、考え抜いた練習を、あとに支障がないように持続できる最大の時間行ているらしい。つまり、本当に必要な集中力というのは、明日までに何かを仕上げる、時間制限の中で集中できるということだけでなく、集中力に緩急をつけて、困難な問題を途中で投げ出さず、やりぬくために集中力をコントロールすることらしい。ほかにもメモしたいことは山ほどあって、また再度どこかでしっかり勉強したい。

  • 「学び」「探究」「知識」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。探究人を育てるためには、自身も探求している主体になるほかない。その過程を経て、生きた「知識」を獲得し、常に新しいシステムを構築できるようにしていきたい。

  • マイトピックワードであるネガティブケイパビリティという言葉はでてこないものの、長い時間、月日をかけてじっくり取り組むことが大切という記載あり

    学びにおいても思考のマラソンができることが重要な要点だと学ばせていただきました

  • 誤ったスキーマを修正していくことが大事なのは理解したけど、大人がそれをどう修正していったらいいのかいまいちわからなかった

  • すごく示唆に富んだ本である

  • 「学び」とはなにか、「知識」とはなにか、のようなことについて認知科学者の著者が説く本。この間読んだ著者の「英語独習法」よりは内容がまとまっていたが、相変わらず微妙にあちこち気になる。「思い込み」の話があったりするのだが、著者の「思い込み」が多分かなり強くて気になる。まあそこは細かいところで、いちばん残念だったのは、間違ったスキーマをどう修正するか、がほとんど書かれていないこと。そこが重要だと思うのだが。また副題にあるのと違い、探求人になるためにどうこうという話はない。子供を探求人にしたいならどうするか、という話はちょこっと出るが。基本的にはいい本なのでいろいろ残念。

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著者プロフィール

今井 むつみ(いまい・むつみ):1989年慶應義塾大学社会学研究科後期博士課程修了。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。慶應義塾大学環境情報学部教授。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。著書に、『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)、『言葉をおぼえるしくみ』(共著、ちくま学芸文庫)、『ことばと思考』『英語独習法』(ともに岩波新書)、『言語の本質』(共著、中公新書)などがある。

「2024年 『ことばの学習のパラドックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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