銃・病原菌・鉄 上巻 [Kindle]

  • 草思社
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感想・レビュー・書評

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  • 面白すぎる。人類の歴史は不思議な偶然の積み重ねであるということ。宗教もその一部であること。面白すぎます。

  • 評判の本ということで手に取りました。
    読むのにエネルギーがいります。民族や言語、地名などが詳細に書かれているため、そこに引っ張られると疲れて内容が入ってこないです。
    それでも、壮大な歴史の流れを感じることができます。
    上巻は生物がメインという感じです。

  • 何度も読んだ。
    面白い。
    人類の征服、農業、病気との戦いの歴史

  • <「食料•家畜•環境」>
    歴史をどれだけ長いスパンよって見るかによって歴史の見方は変わってくる。
    吉本隆明の「共同幻想論」は、天皇制を古代日本史の中に没しさる試みであったが、その歴史的スパンは数千年だ。
    それに対して、本書は1万3000年という壮大なスパンで歴史の謎を捉えようとする。
    (「サピエンス全史」は人類250万年という視座を取っている。本書は、その人類史の中の直近の歴史に注目したものと言える。もっと長い射程を持ったのが真木悠介の「自我の起源」だ。何せその射程は、生命誕生の35億年前まで届いているのだから。)

    ピサロは160名という少数で8万人という大軍を誇るインカ帝国を滅ぼしてしまった。
    なぜそんなことが出来たのか?
    ピサロが優位に立ったのは、銃の所有、馬の活用、(欧州から持ち込まれた)天然痘の流行、航海術の発達、文字の発達にある。
    本書が優れているのは、そこから先に問いを立てることだ。
    それは、「西洋人が優れているということか?」と問うことだ?

    国家の形成には「食料革命」が必要だった。
    栽培出来る食料は、実は限られており、自生する場所も限定されているのだ。
    更に、家畜化出来る動物も然り。
    家畜化出来る動物はそれほど多くない(象やキリンは家畜にならない)し、その限られた動物が棲息する地域も限定されているのだ。
    つまり、世界は最初から偏っている。

    その遍在する「富」をふんだんに持っていたのが「ユーラシア大陸だった。
    ユーラシア大陸を中心に定住生活が定着し、文明が発達したのは、単に遍在する富という「地の利」を活かしたからにすぎない。
    そこには、人種的要因など介在する余地はない。
    「地の利」を持つかどうか。
    それがスタートラインの差を決定付けた。
    現在、文明に差があるように見えるのは、人種的要因ではさらさらなく、単なる「環境要因」であることを、これでもかと畳み掛けるように論証してゆく。

    家畜になる動物が偶々いたから家畜化し、家畜と付き合っているうちに、その動物の持つ病原菌に対して免疫を持つようになる。
    その人間が行動範囲を広げることで、その病原菌を広げてゆく。
    インカ帝国が滅んだのは、家畜由来の天然痘に対して全く免疫を持たないインカ帝国の人々が、ヨーロッパ人のもたらした天然痘に触れたからに他ならない。
    その未知の病原菌に侵されるのが自分たちだけだということを目の当たりにして、病原菌に侵されない西洋人を神格化するのは理解できる。

    タイトルは「銃•病原菌•鉄」となっているが、それは言い換えると「食料•家畜•環境」ということなのだ。

  • アンナ・カレーニナ

    幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである

    家畜化できている動物はどれも似たものだが、家畜化できていない動物はいずれもそれぞれに家畜化できないものである。

  • 今の先進国と発展途上国の違いはどこにあるか。それは人種ではない。偶然、ユーラシア大陸に家畜可能な動物の種類と、栽培可能な植物が多く自生していたため、定住して集団生活に移行しやすかった。また、ユーラシア大陸は東西に長いため、他の大陸に比べ素早く全土に広がった。
    集団生活は、急世界と新世界の間に下記の違いをもたらした。
    - 集権制度により非生産者をうみ、文化、技術を発達
    - 疫病への免疫を獲得

  • 人は困らないと変化しない

    困ったすえに変化することで、のびのびやっていた変化しなかった人間に勝っていく

    何千年も前から変わらない不変の法則があるように感じた

  • 「銃・病原菌・鉄」というタイトルは,「鉄」を「農耕」にした方が良さそう

    各地域の歴史の違いを,少数の環境要因,具体的には大陸の形状・規模と栽培・家畜に適した生物の分布で説明しようとする.そして,肥沃三日月地帯がこれらの環境要因に恵まれており,農耕を最初に初めて,他の地域を圧倒したストーリーである.

    当然ながら,ヨーロッパ系が現在は他を圧倒していることの説明にはなっていないが,そのあたりの言い訳はエピローグの章ににあり,そのあたりはやや歯切れが悪い.この点で★を一つ差し引く.

    そうではあるが,いろいろな定量的なエビデンスに基づいて論考を進める姿勢は親しみが持てた.ただ,ゆかりのあるニューギニアの情報は広くとりあげられているが,東アジアの知識はあまりなさそうに思えた.

  • ひろゆきが1番好きな本と紹介していた。重く難しい内容かと思いきや決して難解ではなく、とても腹落ちした。

  • 世界が先進国と途上国に分かれた原因は何か?

    世界各地で食料生産、動物の家畜化が自然発生した。
    最も好条件だったのはメソポタミア(中東)。
    メソポタミアには栽培しやすい植物、家畜化に向いている動物がいた。
    いまでも世界の代表的な農作物や家畜はメソポタミアにルーツを持つ。
    メソポタミアからは西はヨーロッパ。北アフリカ、東はインドまで広がった。

    もう一つの要因はユーラシア大陸が東西方向に長かったこと。
    東西方向は気候的に似ているため、栽培化や家畜化に適した動植物の伝播が速い。
    南北方向は気候の違いがあり、伝播が遅かったり、しなかったり。
    砂漠、ジャングルなど地形的な障害が間にあっても伝播は遅くなる。

    アメリカ大陸、アフリカ大陸でも食料生産は自動発生した。
    しかし栽培しやすい植物、家畜化に向いている動物が少なく、南北方向に長い大陸であるためにほとんど伝播しなかった。

    次に病原菌
    多くの病原菌は家畜から感染する。
    天然痘、インフルエンザ、風疹、麻疹などは家畜由来だ。
    病原菌もやはり東西に伝播する。
    ユーラシア大陸では、人類は長い期間をかけて免疫を獲得してきた。
    病原菌への抗体を持たない南米大陸の住民は、スペインが攻め入ったときに持ち込まれた病原菌により、戦いよりも多くの人が死んでいった。

    ゆえに世界が先進国と途上国に分かれた原因は、メソポタミアの環境が偶然よくて、ユーラシア大陸が東西に長かっただけという偶然の賜物。

    サピエンス全史と似たような内容かと勝手に想像していたが、アプローチが全然違った。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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