銃・病原菌・鉄 上巻 [Kindle]

  • 草思社
4.11
  • (68)
  • (87)
  • (30)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 1346
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (374ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人類史全体が現代の社会的不均衡にたどり着くのだと思うと、うかつに読み飛ばせないなという気持ちで一通り読んだ。
    本文全体を通して人種間に優劣があるという結論には至らないことが徹底されている。というか、本当の根本的な要因は「世界の大陸の中で横に伸びているのがユーラシア大陸だけだから」なんだって。そのせいで農耕生活の定着、拡大に差が生まれて~と言う話なのだが、そのまま具体的な事例にまでずっと踏み込んでいく。
    動植物の名前などあまり興味ない部分だが、それがこの1万何千年の人類史の中の、個々の営みを感じさせる部分だと思うと結構読める。あと「初めて聞く生き物だなあ」などと思ってググってみると、この本を種本にしたのかと思しきウェブサイトに結構当たって面白い。
    上巻は主に農耕生活の広がりについて述べられていたようで、下巻はいよいよ病原菌の話から「銃・病原菌・鉄」の話に入っていくようだ。あまり気持ち悪い話だと嫌だなあ。

  • ページ数が多く読み進めるのがなかなか大変だった。文明の始まりについて、膨大な数の論文や著書をあたったであろう詳細な記載は圧巻。

  • Amazonオーディブルにて。
    サピエンス全史が楽しかったからこちらも挑戦してみた。
    最初に思った以上に日本への序文が長かったのが印象的だった。
    サピエンス全史よりもとっつきにくく、大まかな世界地図が頭に入ってないとすぐ置いてかれるけど面白かった。

    なぜヨーロッパ人が「新大陸を発見」したのか?アンデス地方の人々が海を渡ってヨーロッパを発見してもよかったのでは?という壮大な問いかけに対して丁寧に解きほぐすのが良い。
    タイトル通り、ヨーロッパ人が圧勝できたのは「銃・病原菌・鉄」のおかげではあるけど、ではなぜヨーロッパ人はそれらを得ていたのか?アメリカ大陸の人々が銃を発明し、病原菌の耐性を持っていても良かったのに、なぜ?と問いかけていく。
    後編も楽しみ。

  • あぁ、こういう天才の思考に触れることが、読書の喜びであり、人生の楽しさ。

    なぜ民族によって手にした権力と富の程度が異なるのか?
    南の小島では文明が発達せず、西洋で文明が発達していったのか?

    狩猟時代からの人間の歴史を紐解きながら、その要因をひとつひとつ解明していく。
    時に辟易するほど詳細に。(例えば、農作物の原種の説明など)

    けれども、全体として分かりやすさや楽しさが貫かれており、長い本だけど読み進められた。下巻が楽しみ。

  • 壮大な人類の物語にワクワクする。今まで、なぜ?と思ってきた疑問の一部が解けた気がした。

  • 人類の歴史という大きな視点では後進国であったヨーロッパ人が世界の大陸を征服できたのはなぜか?という大きな問に大陸単位での環境要因(自生していた動植物)→農業の成立→職業分化=技術発展 + 家畜の保有=病原菌への態勢という答え。メッセージがかなりシンプルな割に上下2巻と長く同じ話が何回も繰り返されるのはややイライラするが、視点は非常に面白い。ただし、もっと知りたかったのはユーラシア大陸という単位は大きすぎ、なぜ辺境の地であったヨーロッパや日本が発展し、農業の発生地点のメソポタミアと中国は侵略される側だったのか?という問い。最後に申し訳程度に仮説が示されるものの、ちょっと残念。

  • とても面白い本です。
    文化や歴史好きにはたまらない。

    人類のはじまりから今に至るまでを、まるで自分がその時代を生きてきたかのように感じられる本。

    人類がどうやって新たな土地を見つけてきたか。
    どうやって、どんな目的で戦ってきたか。
    何の食物を生産してきたか。
    どんな動物を家畜にしてきたか。
    病原菌が人間に何をもたらしたのか。。。。


    問題提起が上手く、「なんでだろう?」と思いながら読み進めることができて、それをワクワクしながら読める本。

    新しい発見もたくさんありました。
    読んで良かった一冊。

    下巻も楽しみ♡

  • 人類史1万3000年間と地球の各地を縦横無尽にかけめぐる。
    上巻は主に農耕と病原菌。
    歴史上で「Aが起こった理由」の解説ではなく、「A以外が起こらなかった理由」の解説で外堀を埋めて、「必然的にAが起こった」ことを説明していく感じ。

  • 著者の人種差別が誤りであることの確信から、「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」ことを示し、生物学的差異に根拠を求める人種差別的な説明を乗り越えることが本書の目的である。
    ヨーロッパが世界を支配し始める16世紀以前に世界中の人びとの差異は決定的になったが、人類の出発点は皆共通であり、世界中へと散らばった先の環境に適応した。今日の明確な差異は、そういった地理的な環境の帰結である、ということが本書の主張。

    メソポタミアの三日月肥沃地帯には高カロリーの穀物や家畜化可能な動物が多かったため、生産性を向上することができたし、定住生活と共同体規模の拡大に伴い、集約的な政治組織を構成し、必要に迫られ文字を得るに至った。
    それらの食糧や家畜、生活様式は、気候的差異が少ない横方向には迅速に伝達されていったが、気候的・地形的に断絶されやすい縦方向への伝播は進まなかった。
    家畜を用いた農耕社会では、食糧生産に携わることなく、戦闘専門部隊を育成することが可能になったし、家畜が保有する病原体への抵抗力も勝ち得た。家畜の中で最も歴史に影響を与えたのが馬である。
    集権的な政治組織をもった人工稠密地域であったヨーロッパは、造船術や航海術を身につけることができたし、その結果新大陸を発見できた。新大陸の征服にあたっては馬とヨーロッパ人が持ち込んだ病原体が活躍した。

全62件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジャレド・ダイアモンドの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド ダイア...
ヴィクトール・E...
ダニエル カーネ...
ダニエル カーネ...
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×