銃・病原菌・鉄 上巻 [Kindle]

  • 草思社
4.11
  • (68)
  • (87)
  • (30)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 1346
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (374ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  ヨーロッパ人が世界の覇権を握るにいたったのは何故か。逆にアフリカやオーストラリア,ニューギニアやアメリカ大陸の人々がユーラシア大陸に攻めこんだり,土地独特の病原菌をユーラシア大陸に持ち込んだりすることがなかったのは何故か。大陸の構造や動植物の分布などから丁寧に考察する。

  • なぜ人間は、5大陸で進む道が異なっていったのか、生物学や言語学などの観点で説明される。
    圧倒的な知識見分から論ぜられる分析は、人文学的な解釈(共同幻想)が多い「サピエンス全史」を上回る根拠を感じる。
    ちなみに、ひろゆきが選ぶ人生ベスト1が当著「銃・病原菌・鉄」。

    ----------------
    一部の人種が今では圧倒的に優位になったのは、地形や動植物相を含めた「環境」差である。
    たとえば、密林で狩猟・採集生活をしている人々は、そこで生きるための豊かな知恵をもっている。
    だが、これは外の世界では通用しない。

    他文明を征服できるような技術が発達する条件は、定住生活にある。
    植物栽培や家畜の飼育(栽培化・家畜化しやすい野生種はユーラシア大陸に偏在)で人口は増加し、余剰生産物が生まれる。

    生産物の管理のために、役人や軍人、技術者といった専門職が発生し、情報を伝達するための文字も発達していく。
    東西に長く大きなユーラシア大陸は人口が多く、競合する社会の数も多かったため、技術の発明や改良に有利。
    地形的にも、他文明の技術を取り入れて利用できる交易路も確保されてきた。

    また、家畜と接することで動物がもたらす伝染病に対する免疫力も発達していた。
    遊牧民と違い、人口稠密。

    南北アメリカ、オーストラリア、アフリカと決定的に違っていたのは、まさにこれらの要因だった。
    ----------------
    結局は、人口増加の要因があり、実際に爆発的に人口増加された地域が文明が大進化、変化するタイミング。
    移住・順応・人口増加のサイクルこそが「大躍進」への淘汰の過程そのものであり、発展の礎である。
    ----------------
    最終的に著者、人種による生物学的な優劣は存在しないとしている。
    過去500年間、世界を支配したのがヨーロッパ人であったのは、ヨーロッパ人が生物学的に優れていたわけではなく、単に地理学的要因に過ぎない。

  • オーディブルで聞いた。最初の色々な人種の移動のところはあまりたまに入らなかったが、家畜化の話や病原体の盛衰の話は面白かった。

  • 人類がどのような経緯をもって進化し地域格差を生み出したのか理論とファクトベースで書かれている。読み応えがあり面白い。
    以下、印象的な一文
    「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」

  • サピエンス全史を読んだときと同じような感想を抱いた。人間ははたして農耕民族となったことで、生物界の頂点には立てたが同時に何を失ったのだろうか。

  • かなりの良著。他の地域を征服する能力を得た原因は、農業を行い、戦闘員を作る余裕ができたから。農業を行うために、ユーラシア大陸は工作に適した植物や、家畜に適した動物を手に入れ、もしくは他の地域から移入することができたから。他に、伝染病への免疫も獲得しやすかった。
    なぜ、ある欧州民族が、世界中の他民族を駆逐・支配し、何故その逆にならなかったのか? そんな多くの人が疑問に思う問いに対して、多くのファクトと論理によって、もつれた糸をほどくように解き明かしていく。著者の専門が元生理学であるためか、思考アプローチがピュアなサイエンス的で、腹落ちしやすい。
    読後、やや世界観が変わった。上記の他民族を駆逐した事実とその要因は、ある程度普遍的のようだ。我々が知る歴史だけでなく、有史以前もあったのだろう。私にはアフリカの人々は全て黒人だと思っていたが、マイノリティとしてコイサン族、ピグミー族があり、それは黒人に駆逐された結果という仮説はかなり説得力がある。
    氏は同じようなアプローチで、歴史の疑問や本質に挑んでいるようだ。これに刺激を受けて、日本に思いを巡らすのもまた楽しい。

  • 歴史を読み解きながら、考える力がつく良書。

  • 歴史は異なる人々によって異なる経路を辿ったが、それは人々の置かれた環境の差異によるものであって、生物学的な差異によるものではない。
    世界はヨーロッパ人によって多くの地域が支配されたが、それがヨーロッパの人種的優位性を示すものではない。

    どの地域の狩猟採集民も農耕を試みたが、肥沃な地域に住んでいる人たちは農耕の効率が良かったため、他の地域よりも農耕が発展した。
    農耕が発展したことで、余剰食料が生まれ分業が可能になり、政治や技術が高度化した。
    ユーラシア大陸のように横に広い大陸では、同程度の緯度の地域間で農作物の伝播が行いやすく、大陸内での農作物の流通が発展した。農作物の展開は縦に広い大陸よりも横に広い大陸のほうが有利だった。
    これらが、他の地域よりもユーラシア大陸の人々が早く発展した要因。人種的要因というよりも、地理的要因が主である。

  • 「現在世界に見られる、一部の民族集団の経済的・文化的優位は、なぜ生まれたの?」という疑問に、主に科学的なアプローチを用いて徹底的に答えてくれる本。上巻は食糧生産と、それを由来にした社会形成の関係性を論点にしたものが中心となっていた。この巻でなされた前提に関する議論が、次巻でどのように展開されてゆくのかが楽しみ。 訳文が、直訳っぽくて多少読みづらく感じるが、元々平易な文体で書かれていると見られ、読むの自体はそこまで大変ではなかった。一般向けの歴史・科学の本として面白い。

  • 途中でやめた

全62件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジャレド・ダイアモンドの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×