面白くて眠れなくなる植物学 [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • 植物に関する雑学本です。
    我々の身近にあって今後もなくてはならない生物である植物の小話が纏められた一冊。
    広く浅く解説され、子気味良い筆致ですらすらと読み進めることができました。
    特に印象に残った部分を引用します。

    「カミに見放された者は、自らの手でウンをつかめ」
    誰が書いたのかトイレの中に、こんな落書きが書かれていました。
    ………
    現在、紙は木材の繊維から作られています。そのため、紙を得るために、人々は大量の木々を伐採し、森林を破壊し続けています。
    もしかすると人類は遠くない未来にカミに見放されてしまうのかも知れないー。トイレの落書きはそう警告しているのかも知れません。

    これは環境問題に無関心な方にとっても大問題となるでしょうね。
    人間中心の考え方になりますが、太陽エネルギーによって育つ再生可能資源の植物を大切にして持続可能な世界を目指さなければ人類に未来はないなと感じました。

  • 野菜と果物の違いは?針葉樹と紅葉樹はどうして生まれたの?この花はどうやって生息域を広げているの?この本を読むと今まで何気なく見ていた植物の秘密や疑問が解けてきた様に思える。植物の進化の過程をダーウィンの進化論に基づいて解明して行く。

  • Prime Readingにて読了。
    なんか夜3時くらいに起きちゃう時期があって、「眠れなくなる」とは面白いじゃないか、と逆の意味で読みだしたんですが、意外と本著を読んだ後は良く眠れました(笑
    しかし、PHP研究所は様々な切り口で「眠れなくなる」シリーズを出版されてるんですが、もしや日本人を不眠症にさせようとしているんでしょうか(^^;

    というコトで、本著は植物に関する雑学を、植物学者の稲垣先生が纏めた1冊です。
    主にベッドサイドで読んでいたので、本著にはすごくハンパな状態で向き合っていたと思うのですが、おそらく出版元が想定していたスタイルだと思うのでご容赦いただければ。。
    本著、色々な植物トリビア(もはやこの表現も通じなくなってきていますが…)が載っていて、感心しながら小気味よく読み進めていける1冊です。
    直近で、『奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ』を読了して、在来種の野菜を育てる難しさと面白さを勉強したのですが、やはり本著でも、F1種と呼ばれる商業品種についても触れられていて、なるほどこの問題は農業界における一定のテーマなんだなと思いながら読んでいました。
    https://booklog.jp/item/1/4167903237

    しかし本著、なぜAmazonで高評価がついてるんでしょう…。「ためになる」とか「面白い」とか、個人の感想ではありますが。。著者である稲垣先生の人徳ですかね。。
    稲の話とか、何回か出てくるテーマのようですが、著者が一番書きたいテーマは一体何なんだろうなとも思ってしまいました。

  • 植物に関する雑学をまとめたもの。読みやすく、知らなかったこともいくつもあって面白かった。ただし読みやすい反面、まとめて読むと飽きるので、寝る前にちょっとずつ読むといい感じ。

  • 植物学というあまり馴染みのない分野。
    植物の知識が浅いので教養を深めるため聴いてみた。

    花びらの数や葉っぱの数はフィボナッチ数列に従ってるものが多いとのこと。
    フィボナッチ数列は、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377…
    とどの数字も前2つの数字を足した数字という規則の数列であり、効率的に増加する法則と捉えられる。
    自然ってすごい!

  • 植物の不思議が埋まったら本。読み易くさらっと書かれているが、生命の不思議は実に奥深い。

    特に興味深かったのは、「植物は昆虫の食害を防ぐために、さまざまな忌避物質や毒物質を体内に用意して、防御」しているというお話。カフェインやニコチン、カプサイシン(唐辛子の辛み成分)、バニリン(バニラの素)、ハーブや香辛料、薬草の水分は皆この毒性物質であり、「人間は古くから、植物の持つ毒性物質を、巧みに利用してきた」のだという。「毒と薬は紙一重」とは何と的を射た言葉だろう。

    日本タンポポと西洋タンポポは、どちらも自分の得意な場所を生息地にしていて(日本タンポポは他の植物も生い茂る自然豊かな環境で生き残るのに優位、他の植物が生えない都会の道端で優位)、西洋タンポポが広がり、日本タンポポが少なくなっているのは、西洋タンポポが日本タンポポを駆逐しているということではなく、じつは、「日本タンポポが生えるような日本の自然が減少し、都会の環境が増えているということ」なのだという。知らなかった。池田南清彦氏もその馬鹿馬鹿しさをシニカルに書いていたが、外来種は悪というステレオタイプな見方からボチボチ卒業しないとな。

    マメ科の植物は根粒菌と共生することによって空気中の窒素を取り込むことができる(窒素固定)ため、痩せた土地でもよく育つが、「種子から芽を出すときには、まだ窒素固定をすることができ」ないので「種子の中にあらかじめ、窒素分であるタンパク質を蓄えている」のだという。ダイズの種子(大豆)がタンパク質を含み、「畑のお肉」と呼ばれている訳に納得した。

    この他、「年輪と垂直に切り取り、年輪の模様が併合に現れる「柾目」と、年輪に沿って切り取り、不規則な面が現れる「板目」」の性質の違いも面白かった。思わず"へぇ"を連打した。

  • すごく勉強になる。植物の影響力って大きいんだな〜

  • 野菜と果物の違いは?など、子供が自然に不思議に思うようなことがぜんぜんわかってなかったと気付かされて面白い。植物は身近であり、不思議な存在だ。

  • kindle unlimited にて。植物趣味があるので読んでてとても面白かったです。この本を読み始めてからホームセンターに買い物に出かけた時に園芸コーナーで本の内容を思い出しながら、まじまじと花の苗の雄しべや雌しべ、裸子植物の姿形などを眺めて長居してしまいました。
    花や葉の形、枚数、出方など、以前からパズルのようにきちんと綺麗な配列で出てくる様子をみてとても数学的な神秘を感じていましたが、この本でその花弁や葉の出る規則性にきちんとした数列に沿って計算されて出てきてることを初めて知りました。
    あと、ソメイヨシノはクローンだというのは初耳でした。
    そういえば、自分も育てている植物を挿し木や挿し穂で増やした場合は果たして元の個体と別の個体と言えるのか言えないのか、クローンということなのか、いつも疑問に感じていました。勉強になりました。
    もっとたくさん植物について知りたいので、他の著書も読んでみようと思います。

  • 昔理科で習った植物に関する知識をベースに、様々な雑学が学べる話。想像以上に植物の進化は合理的。

    植物が育つ最大の高さは130〜140メートル。
    フィボナッチ数列をベースにした葉っぱの配列で日光を最大限効率的に葉に当てられるようにしている。
    アブを引き寄せる花は黄色、ミツバチなら紫、などターゲットに合わせて色が変わっている。
    単子葉植物は実は双子葉植物から進化しており、よりスピードを重視して育つようになった。
    イネ科の植物は外敵から守るためにタンパク質が少なくて消化にも悪くて固いという特性をもつ。一方成長点は葉の頂点ではなく根元であり、食べられても育つようになっている。これに合わせて進化した牛などの動物は胃を四つもつようになった。
    などなど、雑学が増えつつも植物の進化の歴史とその理由がとても興味深かった。ただ、ひとつひとつのテーマが触りだけなので、もっと深く知りたいと思った。

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著者プロフィール

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ):1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わる傍ら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する記述や講演を行っている。著書に、『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『身近な野の草 日本のこころ』(ちくま文庫)、『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『イネという不思議な植物』『はずれ者が進化をつくる』『ナマケモノは、なぜ怠けるのか』(ちくまプリマー新書)、『たたかう植物』(ちくま新書)など多数。

「2023年 『身近な植物の賢い生きかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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