望郷 (文春文庫) [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 22
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感想・レビュー・書評

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  • 6作品が収録されている短編集になります。
    それぞれの話に繋がりはありませんが、全て瀬戸内海に浮かぶ白綱島(しらつなじま)という島が関わる話になっています。

    島が舞台ということで、閉鎖的な空間の中での独特な気質や価値観が感じられる作品です。
    内容は、一つの島の物語で起こる出来事なので、脳内イメージに一貫性を保つことができて非常に読みやすかったです。
    暗く切ない話が多めですが、ラストはちょっぴり優しい気持ちになるような構成になっていて、読後感も悪くなかったです。

    いつもとはまた違った作風で、イヤミス感は控えめ。
    彼女のイヤミス作品が苦手な方でも楽しめるでしょう。

  • 外から見ると色々と羨ましくなるけど、物理的にも精神的にも色々な意味で密接している、島のネガティブな部分がうまく描かれている作品。

  • ミステリーにハマったきっかけ

  • ミステリらしく、終盤でえええっとなる作品と、そうではなく、読後感も爽やかな作品と。最後の光の航路、に泣かされました。

  • ポイントの余りを消費するために購入。
    湊かなえらしい、ちょっと残酷に見えて救いのある物語の短編集です。どの物語にも、どうしようもない、取り返しのつかないやるせなさと、それを抱えた誰かを守りとおす誰かの姿が克明に描かれ、優しいような寂しいような読後感がありました。

  • 短編集。
    全部の作品に共通するのは一つだけ。舞台がとある島だということ。
    ミステリーといえば、冒頭で事件が起こったり何かしらの物騒な幕開けから、犯人は、動機は、怪しい人物がだれか、みたいな流れだと思う。
    しかし、この短編集はまるでミステリーっぽくない、穏やかな始まりかたをする話が多かった。
    そして最後にあっと思わせる。やっぱりこれはミステリーだったなと思わせてくれる。
    引き込まれた。

  • 白綱島を舞台にした短編集。田舎のほのぼのさみたいなのではなく、殺人やら失踪やら島を捨てただの、家族との思い出は重い。

    最後の有名人になったのといじめのやつが印象的かな。

  • 2023.02.24 ★4.0

    作者の故郷を思わせる瀬戸内の島における短編集。
    島や田舎暮らしはしたことがない自分には想像することも出来ない。

    息が詰まる、と言うよりは水の中で溺れて息が出来ないという方が正確か、と思えるほどの人間関係。
    嫌なら出ればいい、というのは外の人間の発想だと思い知る。

    あとがきでも書かれていたが、ミステリーとしても秀逸だと思う。


    ↓↓↓内容↓↓↓
    暗い海に青く輝いた星のような光。
    母と二人で暮らす幼い私の前に現れて世話を焼いてくれた“おっさん”が海に出現させた不思議な光。
    そして今、私は彼の心の中にあった秘密を知る…日本推理作家協会賞受賞作「海の星」他、島に生まれた人たちの島への愛と憎しみが生む謎を、自らも瀬戸内の“島”に生まれたミステリの名手が、万感の思いを込めて描く。 心に刺さる連作短編集。

    【目次】
    「みかんの花」
    「海の星」
    「夢の国」
    「雲の糸」
    「石の十字架」
    「光の航路」

  • 田舎の島に抱く様々な境遇を持った人々の心情を描いている。
    1つの物語というよりは短編集といった印象の方が強い。
    それぞれの登場人物の物語がどこかでリンクしていたらより見応えがあったのでは、と個人的に感じている。
    それでも、十分に面白く、楽しんで読める1冊でした。

  • 湊かなえが読みたくなったので、簡単に入れそうな短編集をと思い読み始めました。

    短編なのに物語の後半や終盤で、最初に張られていた伏線が鮮やかに回収されていく様はさすがだなと感じます。
    また、登場人物の価値観のぶつかりや、人生を過ごす上で避けにくい困難に出会った際に出てくる言葉たちが、ひとつひとつ心に刺さって「ここの難しさは忘れたくないな」「この言葉のかけ方は良いな」と思えて良かったです。

  • 長編かと思って読んだら短編。。短編を余り読まない傾向にあるのは情報が少な過ぎて結末が突拍子もなく感じられるからかなと考えさせられました。でも、海の星では立ち位置による異なった解釈や光の航路では教育論と読ませて貰える作品。あとは島の閉塞感。都会も都会で生き辛そうだし程々に田舎と都会が入り混じる位の土地が住みやすいのかな。

  • 2021/5/20 Amazonより文藝春秋Kindle本キャンペーンにて601円(301pt)でDL購入。

  • 全て同じ島を舞台にした話だったので各話の登場人物がリンクし合ってるのかなと思いましたが、特につながりは無い短編集だった点が少し残念^^;。ただ、どれも適度に面白い話でしたし読みやすい本だったとは思います☆

  • 白綱島という瀬戸内海の架空の島における短編集6編(著者自身は広島の因島出身のようである)。日本の地方によく見られる人や社会の暗い湿った部分が描写されており、読む方の心も沈む。各編とも最後はそれなりに前向きな方向で終わってはいるが、それぞれの物語に潜む暗さを払拭するほどではない。今でも日本社会に見られるこの暗さがいつか無くなる日が来るのだろうか。

  • きれいな表題だけど、読んでみたら息がつまるような小説でした。
    瀬戸内海に浮かぶ島を舞台にした短編6作。外部の人から見たら穏やかな海が美しく素敵なところだけど、実際は狭い世界の閉塞感がしんどい。田舎ってこんな感じなんだろうけど、島だからどこにも逃げられない感があってさらに息苦しい。
    Nのためにの希美が育った環境に重なりました。あれもかなりキツかったもんな。
    筆者が瀬戸内海の島出身だそうで、だからこそこのリアリティーなのでしょう。きれいごとではない島の現実が描かれています。読んでいてしんどかったな。いじめが出てくるのもつらく。こんな状況で島にいたら出ていきたいと思うよ。東京育ちの私にはちょっと理解しがたい環境でした。田舎は旅行に行くのはいいけど、暮らしたくないと思っちゃいました。

  • 瀬戸内海を思わせる白綱島に生まれ育った者達。それぞれの現在と、回想録で綴られる6編の物語。どの話もドキッとさせられる告白か隠されており、小さな伏線が張られていて唸る。タイトル通り故郷を思う小説。

  • サラリと怖い事を書くのはさすが湊かなえ先生だなと思った。
    人間のリアルな描写にはお見事!

  • 故郷の島をテーマにした短編集。
    どれも雰囲気は暗いが読みごたえがあり、先が気になって一気に読んでしまった。
    特に最後の話の父親が教え子に話した進水式の話が印象的。

  • 白綱島という架空の島を舞台にした短編集。幸せな人の話は出てこないが、後味は悪くない。

  • 短編集。

    切ないなぁ。
    しかし、全ての物語が最後は、ほっとする。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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