アマゾンと物流大戦争 (NHK出版新書) [Kindle]

著者 :
  • NHK出版
3.86
  • (6)
  • (18)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 125
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (190ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アマゾンだけではなく様々な企業のサービスの紹介がされていて読んでいて楽しかったが、今の自分の仕事にとってアマゾンがどのように脅威となるのかは正直全然わからなかった。

  • アマゾン、大き過ぎる!

    ロジスティクスの視点に立ち
    物流から見た流通業のこれからを考えた本。

    ロジスティクスの巨人アマゾン。
    消費行動を変えたその動きは
    膨大なロジスティクス戦略にあった。
    ロジスティクスとは、そもそも軍の兵站のことであり
    つまり、軍事行動を行うための
    人・モノの後方支援全般を指す。
    兵站が整わないと戦闘を開始しないほどであり
    言ってみれば、戦争の生命線である。

    そこから転意して、物流の最適解を指す。
    アマゾンはまず
    フルフィルメント・センターと呼ぶ
    在庫拠点を整備して
    展開を始めたのは有名な話である。

    しかし、物流センター設立には膨大な費用がかかり
    それが経営を圧迫するのは必須である。
    そこを耐えて現在の巨人にまで発展した
    経営力は凄いというしかない。

    楽天などのモール型通販は
    立ち上がりも早く、コスト面でも負担が少ない。
    しかし、アマゾンが整備されたフルフィルメント・センターから
    圧倒的なスピードと価格で商品を打ち出してくると
    モール型は品質面でばらつきがあるゆえに
    劣勢に立たされているのが、
    現状の姿である。

    アマゾンはその圧倒的なロジスティクス力で
    価格競争を挑み、競合を蹴散らしてゆく。

    そして、ネット物流界に敵なしとなったアマゾンと
    実店舗型物流の雄ウォルマートは
    相互の領域に進出し
    火花を散らし始めている。

    圧倒的なスケールの2社に
    立ち向かうすべはないのか?

    内外で魅力的な展開を見せている
    ヨドバシカメラ、オムニセブン、ロハコなど
    ネット通販の事例を引きながら
    その総括として、
    筆者は3つの戦略を提示する。

    1. ラストワンマイルの構築。
    2. 独自商品を持つ。
    3. ネット×店舗

    物流コンサルタントであり、
    ネット通販に深くかかわってきた
    筆者ならではの的確な視点である。

    目次

    序章 アマゾンが変える世界
    アマゾンと無縁ではいられない/なぜアマゾンを脅威に感じてしまうのか?/物流はソフトウェア・インフラ構築・人/低価格がもたらす良循環/アマゾンがお坊さんを売る?/何でも扱うエブリシング・ストアへ/「アマゾン一強」時代は来るのか?/利益度外視の先進性/湧き上がるアマゾンへの懸念/本書の構成

    第一章 物流のターニングポイント
    アマゾンはなぜ書店から始まったのか?/ネット書店の新しさ/「ロングテール」の裏側/「ネット通販=店舗がないから安い」のウソ/拡大するネット通販/なぜネット通販の家電は安いのか?/楽天が急成長できた理由/ネット通販における物流機能/モール型ネット通販の弱点/苦戦する楽天/楽天物流の失敗/非効率な物流で破綻したネット企業/独自の配送網を築くカクヤス/ストックポイントを見る/オフィスグリコの革命/ラストワンマイルが差別化の分かれ目/アスクルの強みは物流/アスクル成功の要因/日本の宅配サービスはすごい/宅配便の異変/転機となる運賃値上げ/寡占が進む宅配便業界/深刻なトラック不足/「再配達」問題/受け取り場所の多様化/「全品送料無料」中止の衝撃/重くのしかかる配送費の負担/アマゾンが秘密にする物流センター/アマゾンのラストワンマイル戦略/広がるアマゾンの自前配送/自走式ロボットを取り込む

    第二章 巨人アマゾンの正体
    ウォルマートvsアマゾンの幕開け/時価総額で世界一になったアマゾン/ウォルマートのDNA/「EDLP=安売り」ではない/ドミナント戦略/セールはなぜ非効率なのか?/ウォルマートの情報システム/EDLPと物流は表裏一体/アマゾンのEDLP戦略/磨かれるロジスティクス/さらなるディスカウントへ/会費制アマゾン・プライムの誕生/驚くべきマーケットプレイスの戦略/アマゾンに物流を委託/物流サービスを他社に開放する/アマゾン依存/ライバルを力でねじ伏せる/対抗意識から生まれた電子書籍サービス/アップルvsアマゾン/アマゾン初の実店舗/ウォルマートのアマゾン対策/商品受け取りの進化/店舗を軸にした物流ネットワーク/生鮮食品分野での激突/意外なライバル登場/グーグルvsアマゾンの戦い/買い物の最新テクノロジー/ウォルマート最大の買収劇/アマゾンキラー「ジェット・ドットコム」

    第三章 物流大戦争の幕開け
    日本のネットスーパー/店舗型とセンター型/サミット失敗の理由/生き残ったネットスーパー/成功の鍵は「小商圏×短期間」/ネットスーパーは始まったばかり/顧客満足度1位のヨドバシカメラ/驚きの物流品質/ヨドバシカメラがすごい理由/「ネット×店舗」の相乗効果/セブン&アイのオムニチャネル/アスクルの個人向けネット通販/ロハコの「独自商品」戦略/「場」を提供する/モール型からマーケットプレイスへ/物流大戦争を生き抜くヒント/ファッション特化のゾゾタウン/ファン獲得の仕組み/驚きの「返品無料」/店舗の欠品フォロー/最高峰のホスピタリティ/独自の企業文化が価値を作る/音楽好きが集まる楽器専門店/用もなく店舗を訪れるお客/カメラのキタムラ/進化する「ネット×店舗」/売らない店舗/アマゾンと競い合うための3つの戦略/「モール型」再考察

  • 170112読了

著者プロフィール

株式会社イー・ロジット代表取締役兼チーフコンサルタント。日本物流学会理事
1968年生まれ。上智大学経済学部を3年次で単位終了、米ゴールデンゲート大学MBA(マーケティング)。船井総合研究所、光輝物流(実家)を経て、2000年、物流コンサルティングと通販物流代行を行う株式会社イー・ロジットを設立、代表取締役に就任

「2023年 『物流革命2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

角井亮一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×