殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「科学的方法」には絶対に信頼できる響きがある。
    が、逆にそこが盲点となることがある。
    方法自体と、方法を操る人間の双方が
    どちらも正しいことが前提になっているが
    方法が旧式だったり、間違っていたり、
    やり方が杜撰だったり、思い込みがあったりすると
    少しのミスで「科学」は間違った答えを出してしまう。

    そんな「科学的方法」が判断基準で死刑になったら。。
    恐ろしい冤罪、殺人になってしまう。
    警察・検察が自己防衛に汲々としているのは
    情けない現実で、命の問題だけに重い課題だが、
    「科学的」の言葉に踊らされている分野は
    もっともっと幅広く深く拡がっている気がする。

    本書は、「足利事件」の再審(とその先)を目指して
    人の気持ちに寄り添いながら、地を這うような
    地味で地道で、しかも詳細な調査の報告だ。
    気が遠くなるような、執念のような、調査記録。

    クリック一つで事態が変わる現在、
    読んでいるだけで、気持ちが重く沈み込みそう。
    これに耐えられる人でないと、命の問題は扱えないのだろう。

  • 思ってた内容と全然違った。
    ノンフィクション。警察社会の闇。
    冤罪。
    この連続殺人事件の犯人を追う世の中にならないといけないと感じました。
    国に動いてほしい。

  • 警察には正義を実現する組織であってほしいと願っている。でも、自身の保身のために事実を曲げる者がいて、個人の人権よりも組織の維持を優先する仕組みがあるのだと実感した。冤罪をでっちあげる者は、夜眠れるのだろうか?

  • 久しぶりに時間を忘れて読んだ
    筆舌に尽くしがたい

  • 真実は何か を追い求める迫力
    記者の目と言うフィルターは通っているが そこにある現実  真摯に虚心坦懐に自分と向き合う力
    職は違えど糧になる

  • 栃木県足利市、群馬県太田市という隣接する2市で、4歳から8歳の5人の少女が誘拐または殺害されているという重大事件。その中の一つが、あの「足利事件」である。一連の事件を同一犯による連続事件だと喝破した著者は、「足利事件」冤罪の可能性を報じて菅家さんを釈放へ導くとともに、徹底した取材によって、ついに「真犯人」を炙り出した―!  (アマゾンから拝借しました)

    とにかく素晴らしすぎるノンフィクション。

    冤罪の恐ろしさや警察の捜査の杜撰さに、これが現実なのかと驚きを隠せなかった。都合が悪くなると証拠品を隠したりと、かなりヒドイです。

    真犯人もほぼ特定出来ているのに、警察の都合で逮捕されないもどかしさ。それでいいのかと、暗澹たる気持ちになる。

    ひとりでも多くの人に読んで頂きたい、日本社会の闇を暴く名著です。

  • ジャーナリストさんの本を読むのが初めてでした。
    しかも、実際に起きた事件、犯人は…そこにいるやんか!!!!!と読み終わった後に怒りが沸いてくる。
    何人もの幼児を殺害し、犯人はのうのうの生きている。
    本当にこんな事件があるのだと、思ってはいたけれど読み進めるうちに溜息がでる。

    わたし自身は子育ての経験はない上に被害者遺族とは赤の他人ですが、内容を読むにつれ怒りが収まりません。
    悲しいのは、事件が起きた当初の世論と同じように「この親何してんねん」という、まずは被害者遺族を責めるようなことが浮かんだこと。
    ニュースで報じられる内容だけを鵜呑みにすると、実際の状況を知らないうえに勝手な妄想で考えてしまうからいけない。
    日本全国、どこかで事件があって、誰かが亡くなったり怪我をしたりしている。
    それを一つ一つ、このように詳細に書き留められている本があれば、今、ネットで安易に書き立てられていることもないのではないかと思う。

    実際そんなこと、無理なのは承知の上で言っています。

    どうか、誰かに発信する情報は清水さんのように、実際に足を運び、実際に人に会って話を聞き、事実のみを発信してほしい。

    そして情報を受け止めるわたしたちも、たくさんある情報のほんのひとかけらをニュースで言っているのだ…と肝に銘じておくことが大事だと痛感させられる本でした。

  • アマゾンプライムのパクリ疑惑で気になったので読んでみた。
    いやー、プライムのドラマとほとんど展開が同じなのに驚いた。

    警察・検察の腐敗状況には恐れ入る。
    無実の人が監獄に収監されていたのに、真犯人が野放しになって時効を迎えているなんて。。。。

  • 筆者が刑事やれよ。職業間違えたんじゃねーかと思うぐらい。
    片側からの発信であることを考慮しても、警察側のあやしさ満点。
    話も無駄なくドンドン進み飽きることなく読める。小説ではないと言いながら、黒いファイル、握手の違和感、鑑定の型などちょいちょい先が気になるような仕掛けがあるのもいい。
    あとがきで衝撃。
    執念の調査な理由もわかる。

  • ○引用
    あのとき私は、警察が自己防衛のためにどれほど嘘をつくのかということを知った。警察から流される危うげな情報にマスコミがいかに操作されるか、その現実を思い知った。そうやって司法とマスコミが作り上げた壁は、ものすごく厚く、堅い。一介の記者など本当に無力だ。その片鱗を伝えるためだけに、私はあの時、本を一冊書く羽目になったのだ。

    100調べて10を書け。10しかわからなければ1しか書くな。

    無実と無罪は違う。無罪は、ある犯罪に対して、裁判所がその人に罪がないと認定したことを指すに過ぎない。無実は、その犯罪にまったく関わっていないということだ。

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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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