怒り DVD 通常版

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監督 : 李 相日 
出演 : 渡辺謙  森山未來  松山ケンイチ  綾野剛  広瀬すず 
  • 東宝 (2017年4月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104106544

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怒り DVD 通常版の感想・レビュー・書評

  • 一体 何を怒っているのだろう?
    一体 何に怒っているのだろう?
    すべては、自分に対して 怒っている。
    自分のなかにある疑り深さ。

    犯人の画像を見ることで、愛している人を疑う。
    ほんの些細な きっかけで、
    愛していると言うことが崩壊する。

    愛しているのに、その人を信じられない自分を。
    愛しているのに、その愛を信じられない。
    愛しているのに、守ることができない。
    愛の不確かさ。

    そして、怒りをどこにぶつけたらいいのだろうか。
    渡辺謙の父親としての もどかしさとむなしさ。
    宮崎あおいのどこか、こわれていても、
    人を好きになる純真さ。
    松山ケンイチの 目立たないようにし、おどおどしている。
    妻夫木聡の あいかわらずの 泣き顔。
    綾野剛の 頼りなくも、はかない愛の行方。
    森山未来の 定着するところがない、浮遊性。
    広瀬すずの 広い大きな青い海に向かって 絶叫する。
    佐久本宝の いいようのない 無念さ。
    みんな 自分 に腹を立てていた。
    それぞれの 個性がひかる映画だった。

  • いい緊張感。鬼気迫る演技。

  • 李相日監督•脚本、吉田修一原作、2016年作。渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ、池脇千鶴、妻夫木聡、綾野剛、原日出子、高畑充希、森山未來、広瀬すず、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大出演。

    <コメント>から
    •映画のテーマは、「愛してるのに…」かな。愛しているのに信じきれない洋平と愛子。優馬の直人への想いも同じ。愛しているのに無力な辰哉。すべてが、テレビのモンタージュ写真を発端に、不幸の輪が広がっていく。
    ・八王子の殺人事件から映画は始まるが、その謎解き映画ではない。同監督の映画「悪人」同じく、テレビ報道や公開捜査という手法が、犯人逮捕以外に多くの不幸をもたらしている。そこに警鐘を鳴らす映画。
    ・ただ、李双日監督ともあろう人なのに、全体のテンポ、特に前半1時間のテンポが遅すぎてシラケる。3話のどこかに早い時点で接点を作るべきではないか。
    •広瀬すずの演技が真剣で、いちばん良かった。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    「愛してるのに…」をテーマにした3話が平行して進む。
    八王子で夫婦の惨殺遺体が発見され、公開捜査がはじまる。
    1 新宿の箱ヘルで働いていた愛子(宮崎)を父洋平(渡辺)が地元に連れ帰ると、洋平の会社にバイトの田代(松山)が働いていた。愛子は田代に惚れ同棲を始めるが、偽名を使っていることなどから洋平が身元を疑い、愛子も、テレビに映った八王子事件のモンタージュから、愛しているのに警察に通報。田代は行方をくらますが、警察が白の認定、愛子が洋平宅に連れ戻す話。
    2 バイの優馬(妻夫木)は直人(綾野)に惚れて同棲を始めたある日、銀座のカフェで薫(高畑)と2人でいるところを目撃、浮気を疑う。八王子事件のモンタージュに直人が似ていることを知った優馬は、愛しているのに、直人に関する警察からの電話に無関係を装う。しかし、直人を忘れられない優馬は、ある日、薫をカフェに見つけ、直人との関係を聞くと、孤児院の幼馴染で、直人は優馬のことは自慢していたこと、公園で倒れて死んでいたことを知る。優馬は、自分の浅はかさに良心の呵責を感じ、歩道を慟哭しながら歩く話。
    3 泉(広瀬)は同級生の辰哉(佐久本)にボートで無人島に連れて言ってもらい1人で散歩していると、信吾(森山)にあい顔見知りに。辰哉と那覇に映画デートに行った泉は、偶然信吾を見つけ、3人で飲んだ帰り、泉は1人でいるところを米兵に襲われる。辰哉は愛しているのに現場の陰で何もできず。前後して、辰哉が働くホテルで働くようになった信吾は、初めはよく働いたが、徐々に奇行が増え、最後は店をめちゃめちゃにして立ち去る。気になった辰哉は島にこっそり行ってみると、信吾はハサミで自分の顔に傷をつけていた。話しているうちに、泉が襲われた現場に信吾もいたこと、途中で米兵が去ったことを茶化し始めたため、辰哉はハサミで信吾を刺し殺す。信吾こそ、八王子事件の真犯人だった。

  • 人を信じることはできるのか

  • 『怒り』(吉田修一)
    観るものに‘逃走の殺人犯人の影’を据えながらながら、それぞれ同時に3つのストーリーが進んでいく形で作られている。
    同じような作りの作品『恋人たち』(橋口亮輔)を一月ほど前に見ていたが、こちらは通底するテーマが共通だったのに対して、こちらの『怒り』は‘逃走の殺人犯人の影”が共通だった。
    タイトルの『怒り』よりもむしろ「『信じる』ことの難しさ」というものが共通項として3つのストーリーに流れていたように感じるように作られている。

    まずは『怒り』を感じることのできたストーリー(森山未來、佐久本宝、広瀬すず)。自分の存在が蔑まれたことをきっかけに、自分の感情の抑制が効かずに暴走していく、森山未來。たったあれだけのストレスで怒りの感情が暴走し、とてつもない行動にでる姿は‘精神が病んでいる’ことを確信させる。
    平常なときの広瀬すずや佐久本宝との会話は穏やかだが、むしろそれは意識して抑制を効かせて装っている。
    「俺はお前を守るから」と佐久本宝に言った言葉は、森山未來の世の中に向けた自分の願望のように聞こえた。

    (欲をいえば、この『怒り』の背景や、波紋を全編を通じて描いて欲しかった)

    (宮崎あおい、渡辺謙、松山ケンイチ)
    幸せなんて絶対つかめそうもないように映る娘が、小さな幸せの可能性を嗅ぎとって、松山ケンイチを手放さないように健気に必死に『信じて』生きている。そこに、「疑う」という影がさし始めると一転して、同じ実像がまったく違う風景になっていく。父(渡辺謙)が、娘(宮崎あおい)を『信じる』姿には祈りが感じられもした。
    この『疑い』が『信じる』ことをより強いものにしていくか、あらたな嵐を呼び込むものにするかは『信じる』対象を相手にするのではなく、自分自身にするに至るしかない。
    「私が信じた選択だから…」と

    (妻夫木聡、綾野剛、高畑充希)のストーリー。『大切なものは増えるんじゃなくて、減っていくんだ』(原日出子、高畑充希(綾野剛のことば)
    がテーマになっている。「人は社会で生活してく過程で様々な欲望に心を移し、「大切なもの」を獲得していくけれど、経験を経るにしたがい、その多くの「大切なもの」のなかにその感情を駆動させる「信じる」ということが宿っていることに気づき始めて、「大切なもの」と思っていたものを少しづつ手離していく。そして手もとには『信じる』ことを中心にしたものだけが残される。
    妻夫木聡の絶望感はこの『信じら』れずに大切なものを失った人間の姿を映していた。
    (綾野剛の新しい境地、高畑充希の会話のタメが新鮮だった)

    2017/05/15

  • 『怒り』やっと観られた。信じるって難しい、っていう話。「信じる」の縁をずっと歩いているような。キャストがとても贅沢。なるべくツイート等オープンな場でネタバレしない方針なので、書くの難しい。観た人と話したい。

    「信じる」の縁と書いたけど、「信じられてる度」を形に表すとどんな形になるんだろう、と後から思った。最初、大きな円盤の上=信じてる、みたいなざっくりしたイメージで書いたけど、もっと段階があって、色んな点における「信じる」がある。

    (人を)「信じる」深さは、人によってその段階と判定するポイントが違う。簡単に人を信じられる人にも、判定するポイントがあまりできていなくて簡単に全てクリアしてしまう人もいれば、判定するポイントがたくさんありながら洞察力が鋭い人や、判定するポイントの精度が上がって絞られていって早々に判断できる人もいるように思う。

    段階は一般的に示せるんだろうか。例えば、LINEを交換できる<電話番号を交換できる<大人数でなら家に招ける<一人でも家に招ける<パートナーとして付き合える<一緒に暮らせる<結婚できる、とか?もっともっと色々あるだろうし、やはり「わたしは深浅逆だよ」ってこともあるのだろうな。

    「信じる」というのは一つの形にはまとめられなくて、「ある点において信じられるか」という風にまとめるべきなのかもしれない。例えば、家に招ける相手かどうか判断するのにも、段階があるのかもしれない。

    というかそもそも、そんなに明確にポイントを持ってないよね、あんまり。少なくとも意識的に持ってるポイントは少ないのだろうな。

    思考が発散したところで『怒り』に戻ると、とても疲れる映画だった。目を背けたくなるシーンもあった。だからもう一回観たいかというと、当分はいいかな、という感じ。何年か経ってからまた観たい、かもしれない。この衝撃はいつになったら忘れるんだろう。

    余談。妻夫木聡と綾野剛がゲイのカップルとして出てくるのだけど、こうして人と人との信頼関係というテーマの中で、人間関係の形の一つとしてゲイのカップルが描かれてるって、すごく革新的なことだなと思った。

  • ――信じてくれる?

    人を信じる ということに、強く痛みを感じる映画だった

    原作は未読で観た
    三つの人間関係に共通点を探しながらストーリーを追ってしまう
    いくつか共通があるように見えたのは、この三つのことは、どこにでもありふれているということだろうかと思った

    光りと影 ひなたと闇 の使い方――特に、沖縄の太陽の光を強く受ける森山未來の顔が、とても印象的だった

    疑心暗鬼に捕らわれても人を心から信じられるのか?
    ラストの純真無垢に見える瞳には、心の奥まで見透かされているように思えて、心にぐさっときた

    指名手配犯の写真が、たまに柄本祐の顔に見えてくることがあって
    松山ケンイチと綾野剛と森山未來を混ぜたら柄本祐になるんだなーと、妙な発見をした(笑)

  • 自罰の意識の根源は果て無い怒りだ。誰も責めることができない。誰も恨むことができない。行動の端々には浅はかさも、醜悪さも、誰も報われない恨みつらみも募るものの、それは吐き出すことができずに喉に詰まる。石のように凝り固まって、腫瘍になって、それは身体を蝕んでいるのに、切り捨てることができない痛みはじくじくと残る。そんな息苦しさを覚える映画だった。
    事の発端は八王子で起きた夫婦殺人事件。現場に残された「怒」という一文字は夏のうだる蒸し暑さに脈打つように赤黒い。
    『パレード』の吉田修一さんが原作小説。今回はあの青春のような晴れやかさとは裏腹に、ほの暗く付きまとう醜悪さが始終漂っていた。
    何より役者さんたちの演技が光っていたせいかもしれない。登場人物ごとの筋張った歪みのあり様が奇妙なようでいて、ひどく露悪的なまでにリアルに感じるのはなぜだろう。
    本心を言ってしまうと優馬と直人が楽しみで仕方がなかったから思わず鑑賞してしまったのだけれど。
    優馬と直人の関係は思わず布団に被って「あーもー好き」と叫んでしまいそうなくらい好きな距離感だった。お互いが何も知らないまでも表現しようのない何かでつながっている二人が出会って暮らして寄り添い合う。二人の姿はまるで高尚な絵画のように奇跡的で芸術的な重なり合いだ。生まれた疑念は寂しさを孕んでいる。迎えた結末は戻りようのない過去を美しくするばかりで、慰めにもならず心を切り刻むばかりだ。
    泉と辰哉が出会ったのは星島に逃げ込んだように生活していた田中と名乗る奇妙な男性だった。そういう人を無性に信頼してしまうのは、自分が特別な存在だからだと信じていたいからだ。そんな無邪気な無垢さをもつ純粋な彼らに襲い掛かる悲劇はあまりにも酷で悔しさと惨めさと、言いようのない悲しみで満ちている。彼らの辛さと悲しみの深さは、その衝撃的なシーンも含めて身の毛のよだつ。沸々と湧き上がる嫌悪感は否応なく胸を穿ったままになってしまった。
    愛子と田代の関係を心配する父の背中はどこか寂しげで、どこか罪悪感に満ちていた。それでも水が上から下に流れるように自然に惹かれ合い結びついていく二人はどこか朗らかだ。それでも誰も責めることはできない。信じることが怖いのは紛れもない事実だ。信じられない自らの弱さに喚くのは人間だからだ。責められることじゃないが、逃れられない呪縛のようなものだ。剥ぎたくても剥ぐことができない皮膚のようなものだ。
    この結末をなんと言ったら良いのか、言葉としてまとめられない。前半の謎の男たちに出会った人たちがそれぞれ関係を深めていく様はとても穏やかで微笑ましいのに、それを裏切っていく後半の展開は残酷だ。ただこの映画を観た後に残るもやもやとした言いようもない気持ちこそが「怒り」だと思った。吉田先生すげーや、としか言いようのないくらい、鑑賞後まざまざと突き付けられる感情だ。どうしようもない逃れられぬ不条理さに対する悲しみと、何者にもにもなれない脆弱さと性根の卑しさが留められない悔しさ。そんなことばかりが覆う現実世界に対する怒りだ。

  • 演者と演出がすばらしい。
    それぞれ演技がほんとによくて見応え満点。
    怒りの根源がさっぱりわからないが
    そこには焦点を当てずに、
    愛する人を信じられるか、
    自分を本当に信じられるかを鮮明に問いかけてくる。

    やっぱり宮崎あおいはさすがだなぁと再認識。
    森山未來は圧巻。
    すずちゃんもすごくよかった。
    全員ほんとにすばらしかった。

  • 冒頭は夫婦の惨殺事件でミステリかと思ったが、その後は事件とは関係なさそうな3つの話が並行していく。

    一つは妻夫木聡と綾野剛が一緒に住むようになる話。二人はホモでラブシーンがえぐい。

    もう一つはフーゾクでボロボロになった宮崎あおいを父親の渡辺謙が連れ帰る。宮崎あおいが天真爛漫で無防備という特異なキャラをうまく演じている。これに松山ケンイチが恋人として絡んでくる。

    最後が沖縄が舞台で広瀬すずと佐久本宝の淡い恋人関係に、離島に住んでいる森山未來がからみ、最後はレイプ事件になる。

    三者三様いずれも暗い。

    並行する話がどこで結ぶのかと思ったら、犯人のモンタージュにそっくりというつながりでした。疑心暗鬼が見る側にも起きるので、スクリーンの中で起きることはやむを得ない。そのことで傷ついていく。
    タイトルは「怒り」だけど3つの話がいずれも最後は涙で終わるので「涙」のほうがいいような内容だ。テーマは信じることの難しさでしょうか。

    ネタとしてはそう斬新なものではないが、演出、役者の表現力が素晴らしく、次第に話が深くなっていき見応えがある。役者の演技力というのはスゴイものだ。

    ただ、メインの怒りは犯人のものでしょうが、殺人の動機としてはあまり共感できるものではなくシンプルな悪でしかない。肝心の部分が拍子抜けする。

    離島ではいつも風が吹いていてその音が心を不安にする。善意で生きていても人を傷つけたり、運命を引き受けなければならない。生きるということはいつも不安を掻き立てる風の音が心の中で鳴っているものなのかもしれない。

    キネ旬2016 10位。

  • 何かに対しての「怒り」という要素は少ない。

    一度疑いだしたらどうしようもない…

    人を信じることって難しいな。

  • 信じたいけど疑ってしまうそれぞれの葛藤が見どころ。個人的には妻夫木聡の演技が好きだった。

  • 原作読了し、モノスゴク映像化を期待しておりまして。
    悪人のスタッフと、で。

    裏切らなく、更に⁉︎
    配役の妙‼︎
    『怒り』の、意味…。
    切り替わる背景、音楽。場面。

    何度観ても、いろんなとこで⁉︎ひっかかる。
    こーいう事だったのか。どー、なのか⁉︎

  • 映画館で、2度見ました。

    原作も何度か読んでで、原作もいいけど映画もいいっていうわたしにとって珍しいタイプの良い映画。(たいてい、映画化されてガッカリなことが多いので)

    公開されたばかりの時に目にした感想で、レイプシーンは必要ないのでは?と、いうのを目にしたけど、あれは必要だったと思う。この映画の広瀬すずは、すごくよかった。

    それぞれが抱える「人を信じることの難しさ」がひしひしと伝わってきて苦しかった。

  • 日本を代表する俳優が勢ぞろいなんだけど、もう全員が主人公級のすごい演技!!!
    なかでも森山未來がすごかった。
    内容はかなり暗いし、闇深いし、であまりもう一度みたいとはならないんだけど、すごすぎた。
    忘れた頃にもう一度見て、圧倒されたいです

  • 世界は群像劇でできている。
    残酷な殺人犯も、そうでない人も。



    原作は吉田修一。その逃走劇でも注目を集めた市橋達也による英国人女性殺人・死体遺棄事件から着想を得ている(なお予備知識なしに見た方がよい)。

    物語は、事件の内容や捜査、犯人の逃走を追うサスペンスではない。
    原作の吉田修一は、インタビューに
    「なんでこの人は人を殺したのか、小説としての流れはそちらではないと感じた。(作者の自分も)結局、彼が何で殺したのかわからなかった。もちろん、分かったふりをするのは簡単だが、それはやめようと思った。(動機が)分からないという事件もある」と答えている。

    千葉・東京・沖縄に現れた指名手配写真に似た素性の知れない3人の男を軸に、周囲との人間模様(心理ドラマ)が描かれる。



    人並みの幸せなんて望めない、と劣等感を抱く愛子(宮崎あおい)は、田舎の漁村へと身を隔すようにして転がり込んできた青年・田代(松山ケンイチ)と惹かれ合い、愛子の父・洋平(渡辺謙)は2人の行く末を案じている。

    大手企業に勤める優馬(妻夫木聡)は、ゲイコミュニティで知り合った直人(綾野剛)と出会い、愛する母の死をきっかけにして特別な感情を抱くようになるが、ある日街で直人が若い女と親しく話している姿を目撃する。

    親の事情で沖縄に引っ越してきた高校生・泉(広瀬すず)は、どこか島の暮らしに馴染めずにいた。ある日同級生と訪れた無人島で、田中と名乗るバックパッカー(森山未來)と知り合い、いつしか心の拠り所のように感じていた。



    私たちは日頃それほど相手のことを知らずに「同じ職場の」とか「店の常連でノリが合う」とか「旅先で親切にしてくれた」とか「セックスの相性がよい」とか、些細な事に担保を置いて相手と親しくなろうとする。
    その人は難病を患っていたり、借金取りに追われていたり、家庭に問題があったりと、人には言えない事情を抱えているのかもしれないのに(大抵人には秘密がある)。

    それはきっと、その人を信じたいからだ。

    あなたが信じようとするその人は何者ですか。
    そばにいる大切な人を、あなたは信じられますか?
    物語はそう語りかけてくる。

    私たちはその人の断片のいくつかしか知りえない。
    私はその人を信じるために、知り得るより多くの“補正”をしながら、その人を信じ、愛している。
    素性の知れない3人の男たちは、自らのことを多く語ろうとはしない。そして私たちは常に拭い去りがたい疑念を持って、彼らが必死で絞り出す言葉をあまり信じようとはしない。
    細切れに数珠繋ぎされていく素性の知れない3人の男のエピソードは、別人が演じているにもかかわらず指名手配のモンタージュ写真のように混じり合い、観る者に同一人物であるような錯覚さえ起こさせる。
    人を信じることへの希求は、裏切られることへの恐怖からなのかとも思う。その意味では、人は信じることを宿命として背負って生まれてくる。



    観る者の多くは、犯行の動機が消化不良なため、「なぜ?何に対する“怒り”なのか」と真っ先に思うはずだ。

    だがこの映画が描かんとしたものは“事件”ではなく、社会的弱者たちを巡るドラマ(ありきたりな悲劇)であり、名前のない登場人物たちの、やり場のない、声にならない心の叫びを“怒り”として、作品のスパイスにしているのだと好意的に解釈したい。
    この不安定な着地こそが狙いなのだ、と。
    その人を信じられなくなったとき、それは自分に対する怒りを孕んでいる。



    宮崎あおいの見出した一縷の希望、広瀬すずの消えることのない絶望、高畑充希の揺るぎない慈しみを決して忘れることはない。

  • いやー、すごかった。
    なかなか妻夫木聡と綾野剛のきわどいシーンもあったりするので苦手な人は苦手かもですが。

    こんだけ演技の上手な人が体当たり演技してるのに話題にならなかったんだなー。

    また手配写真が上手な!
    みんな似て見えるんだもんなー。

    森山未來はやっぱりさすがでした。
    オンオフがすごすぎて狂気を感じる…そして、案外お!と思ったのが広瀬すず。若手女優さんの中でも上手ですねー。

    それぞれの怒り。それはちょっとでてくる人ひとりひとりの怒りがあります。

  • 請求記号:17D021 (館内視聴のみ)

  • 悲しみが怒りにつながり、色々なものが見えなくなる。大切なものは減っていく。
    深いけど観るのに覚悟のいる映画。

  • 怒怒怒・・・

    八王子の一軒家で夫婦が惨殺される殺人事件が発生・・・
    現場には『怒』という血文字が残されていた・・・
    犯人として指名手配された男はどうやら整形して逃亡中・・・
    1年経ってもまだ未解決・・・
    テレビなどで指名手配の顔写真が公開された・・・

    あれ?
    似てる・・・?

    愛しい人・・・
    信じてる人・・・
    が・・・
    もしかしたら・・・
    殺人犯なのではないか?
    まさか?
    そんなわけない・・・
    でも?
    何だか似ている?
    特徴も・・・
    え?
    ウソでしょ?

    信じたい・・・
    ウソであってくれ・・・
    という思いと・・・
    でももしかしたら、という拭いきれない疑念との間で揺れ動く登場人物たち・・・
    と観ているボク・・・
    3つのプロットがあり・・・
    それぞれにワケアリ男が出てくるわけですが・・・
    その誰であって欲しくもないと登場人物たちとつい一緒に願ってしまう・・・
    ぐらいに皆様の演技がグンバツ・・・
    特に渡辺謙、宮﨑あおい・妻夫木聡・佐久本宝、広瀬すずの信じたい側ね・・・
    誰が殺人犯なのか、は二の次になるくらいに魅せてくれる・・・
    いや、もちろん松山ケンイチ・綾野剛・森山未來の疑わしい側もやる・・・
    ちゃんと3人それぞれに怪しく感じる・・・
    視覚的にも犯人のシルエットがマジで3人のメンズ誰でもいけそうに見えるのである・・・
    でもミステリ部分はあくまでメインではない・・・
    信じたいと、でももしかしたらとの狭間を行き交う擦り切れそうな葛藤っぷりと・・・
    信じ切れなかった者たちの深く激しい後悔と信じ切れなかった自分への怒りと・・・
    信じていた人からの残酷すぎる裏切りに対する止めようのない怒りと・・・
    どうにもならないものへのやり場のない怒りを・・・
    マジビンビンに感じる皆様の演技こそがメインで、それはとてもgoodでした・・・

  • 信頼とはなんなんだろうと考えさせられる話だった。愛していても、婚約していても本当の意味で相手を信用できているのか、自分の見る目を信じられるのか。

    自分を信じられない人は人のことも信用出来ないのかもしれない。

    バイの妻夫木、東京で売りをやっていて実家に呼び戻された情緒不安定の宮崎あおい。2人とも自分なんかがしあわせになれるはずないって信じることができないでいる。

    広瀬すず演じる高校生は
    対照的にしあわせになれる未来と自分を信じている。だから他人を簡単に信用できたのかなぁと思ったり。結果的に信じて、裏切られたのだけれども…

    信用して裏切られるのと
    信用せずに相手を傷つけてしまうのと
    どっちがいいことなんだろうなぁ。。。

    本当の意味で相手を信頼することは
    自分のことも信頼している事になるんだと思った

  • 素性の知れない他人を信用できなかった自分への怒り。米兵に辱めを受けたことへの怒り。それを止められなかったことへの怒り。侮辱に侮辱を重ね塗りされたことへの怒り。対象のない怒り。

  •  不条理としか思えないことなんて幾らでもあるし、誰もが何かに怒りを覚えている、社会に、他人に、そして自分に。 そして、そんな怒りをあの手この手で薄めながら忘れながら、みんなどうにか生きている。 怒りを鎮めることができない時にきっと必要なのは、他者の怒りに対する想像力なのだろう。

     豪華キャストの確かな演技、情緒的な映像、そして巧みな構成、全体的に質の高い作品であることは間違いないのだが、原作を読んでいただけに後半の脚色に勿体なさを感じてしまった。 最初と最後の電車のシーンが重なって静かな感動を呼ぶのは映像ならではでよかった。

  • 制作年:2016年
    監 督:李相日
    主 演:渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、佐久本宝、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、池脇千鶴、宮崎あおい、妻夫木聡
    時 間:142分
    音 声:日:ドルビーデジタル5.1ch/ドルビーデジタルステレオ


    八王子の閑静な住宅地で、惨たらしく殺された夫婦の遺体が見つかる。
    室内には、被害者の血で書かれたと思われる『怒』の文字が残されていた。
    犯人逮捕に結びつく有力な情報が得られないまま、事件から1年が経ってしまう。
    千葉の漁港で働く洋平は、家出していた娘・愛子を連れて帰ってくる。
    愛子は漁港で働き始めた田代という男と親密になっていき、洋平に彼と一緒に住みたいと告げる。
    しかしその直前に愛子のために田代に正社員登用を勧めて断られていた洋平の胸の内は複雑だった。
    二人のアパートの下見の際、田代が前住所を偽っていることが判明。
    さらに田代という名すら偽名だった。
    疑念を強める洋平が愛子を問いただすと、彼は借金で追われていると告げられる。
    そんな中、テレビで整形して逃亡を続ける八王子殺人事件の犯人の似顔絵が公開された。
    手配書を見つめ、警察に電話をかける愛子。時を同じくして田代は行方をくらます。
    東京にある大手広告代理店に勤める優馬は、たまたま知り合った直人と親密になり、住所不定の彼を家に招き入れる。
    直人は末期ガンを患う優馬の母・貴子や友人とも親しくなっていく。
    しかし日中の彼の行動がわからない上に、仲間内で空き巣事件が連続していること、見知らぬ女性と一緒にいたことが重なり、ニュースで報じられた事件の犯人の特徴を知った優馬の脳裏に直人の姿が浮かぶ。
    ふと、冗談めかして殺人犯かと口に出してしまう優馬。後日、直人は優馬の前から姿を消す。
    母と沖縄に引っ越してきた泉は、離島を散策中、一人でサバイバル生活をしている田中と出会う。
    泉は気兼ねなく話せる田中に心を開いていく。
    ある日、同い年の辰哉と訪れた那覇で事件に遭遇。
    彼女がショックを受け立ち直れないのも自分のせいだと自責の念にかられる辰哉は、田中に悩みを打ち明ける。
    自分は味方だとの田中の言葉に救われる辰哉だったが、彼の隠された事実を知り、やりきれない思いが胸中に広がっていく。

  • 感情移入してみたらいいんだろうけど客観的にみてしまった為、クイズ誰が犯人でしょう?にしか見えなかった。バベルみたいに異なるストーリーがある時、一つに繋がるアハ感はあるものの、少しあざと過ぎて白々しく見えてしまう。
    ただ、一人一人の俳優さん、女優さんの演技はうまい。特に高畑充希の演技力は最高。鳥肌が立った。

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