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- / ISBN・EAN: 4959241766229
感想・レビュー・書評
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「いつものジブリアニメ」だと思って親にせがんで観に行った子どもは、目がテンになったであろう。
スタジオジブリが製作に携わっているものの、これはオランダ出身のアニメ作家マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットの作品であり、一般的なジブリアニメとは大きく異なるからだ。
セリフは一切なし。映像詩に近い作品であり、子どもには退屈だろう。
ジブリアニメの映像の情報量に慣れた目からすると、すごく情報量が少ない。
ただ、そのことがイメージの貧弱さにはなっていない。余白が多く、静かなシーンが多いものの、その余白と静謐さの中に豊饒な時間が流れているのだ。
これは映画館で観るべきだったなァ。
大スクリーンで観たら、舞台となる無人島に身を置くような感覚が味わえたことだろう。
物語は神話的というか、まるで日本の昔話のよう。〝物語の原型〟を純粋抽出したようなアニメだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言葉がなくてもわかる映画。
人生について思いを馳せる。 -
フランス昔話『亀女房』
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海亀と人間の恋。
とにかく静かな映画。打ち寄せる波のリズムとともに時間が流れていく。何匹も何匹も死んだだろうに、長い年月が流れてもそこには数匹の白い蟹がいる。そしてその蟹たちはいつもちょっとユーモラスだ。
難破した男の視点で始まった映画は、海亀の視点で幕を閉じる。男の死後も、世界はずっと続いていくのだ。だからこそ、島に閉じ込められた男の人生は、決して不幸ではない。むしろ死後も世界はある。個人の幸福というケチくさいスケールではない。死後も世界は続いていくからこそ、幸福が存在するのかもしれない。