- Amazon.co.jp ・電子書籍 (187ページ)
感想・レビュー・書評
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面白かった!
違った角度から世界史を読みたいと思っていた時に出会った本。
「岩波ジュニア新書」とは言うものの内容はかなり深く、ジュニア世代でこれを読んでもなかなか全てを理解するのは難しいだろうな、とは思う。
自分もグーグルアースでマルティニクやハイチ、バルバドス等のカリブ海の島の位置や現在の街の様子を検索して、当時のイギリスとアフリカとカリブ海の三国貿易を想像しながら読んだ。
砂糖が発明されてから現代に至るまでの歴史的変遷を辿るこの本は、大航海時代から近代革命を中心に広く世界史を紐解いてくれる。
高級品、ステータスシンボルとして扱われた砂糖。
それを利用して世界の頂点に上り詰めたイギリス。
それを支えるために蔓延る奴隷制度。
砂糖きびのプランテーションとして利用されたカリブ海の島々の行き着く先。
砂糖から派生してカフェ文化、紅茶やお茶、チョコレートの変遷も詳しく書かれていて一層面白い。
文化とは上流階級の人たちが好んだ嗜好品や娯楽だけでなく、一般庶民の人たちのそれらも注目することでより厚みが増すことが分かった。
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中学生か高校生のときに大人からすすめられ、アラフォーに突入した時分にようやく読了しました。
言わずもがなの名著だけど、学生時代の自分がこの本を読んでその良さを理解出来たかどうかは自信がないです。 -
なかなか面白かったです。岩波ジュニア新書のシリーズは、難しいことを優しく解説してくれるので、時々読んでます。「空気を読んでも従わない」等など。
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最近ではダイエット者に敵視されることもあるが、それだけに誰もが好んで食する商品であることの証拠である「砂糖」。人類は砂糖を発見してから、どんな時代でも砂糖を求め、作り、味わい続けている。
砂糖への欲望が人類を動かして作られた人類史を、コンパクトかつ学生向けにまとめたのが本書。
一番の出来事とすれば、砂糖の大量生産のため、中世ヨーロッパ人が大西洋へ進出し、アメリカ大陸付近の島々を次々と植民地化したことだろう。そこの土地は砂糖を作ることだけに特化し、その労働力はアフリカ連れてこられた黒人奴隷。その結果、現在では、これらの島々の多くはアフリカ黒人が多くを占め、限られた農作物しか作れなくなった。
人類が砂糖によって翻弄され、現在でも続く人種差別と地域格差を作ってしまったというバッドエンドな一例。しかし、人間の欲とそれに伴う行動力の象徴という意味では、これぞ歴史のダイナミズムであり、人間だけが歴史を作ることができた理由の一つだろう。 -
読むのは3回目。やっぱりおもしろい。
世界全体を一つの社会システムととらえる「世界システム論」の提唱者のイマニエル・ウォラーステインの訳書を何冊か出している。
彼の世界観に沿って、「世界商品」となった砂糖を取り巻く歴史、文化、経済が、わかりやすく書かれている。
これ見ると、ヨーロッパ史をもう一回勉強したくなるな。ほんとに面白い -
「砂糖の世界史」。岩波ジュニア新書。川北稔さん。
衝撃的に面白かった!。
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砂糖というのは、例外はあるけれど、つまり「サトウキビ」を栽培しないと作れない。
そして、「サトウキビ」というのは、熱帯ぢゃないと育たない。
そして、その「砂糖」というものは、人類が発見してすぐに、トリコになってしまった。
だけれども、大量に安定して作るのが難しい。
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そこで、大航海時代から、アメリカ大陸発見...という、「スペイン、ポルトガルの時代」から、産業革命以降の「イギリスの時代」にかけて。
簡単に言うと、
●権力、武力、殺戮力に優れた欧州各国政府が、カリブ海あたりを「こりゃ、砂糖作れるんちゃうか」と目をつけて。
●とにかく勝手に上陸して、殺戮して、征服して。
●そこにアフリカから奴隷をばんばん運び込んで。
●もともとそこに自然植物として存在しなかったサトウキビを持ち込んで。
●殺戮とムチ、脅迫と暴力で、巨大プランテーションを作った。
●とにかく、砂糖を作ってヨーロッパに持ち込めば、うはうは状態に売れる。儲かる。
●そのため、プランテーション地域では、もう、とにかくあらゆる労働力をプランテーションに注ぎこみたい。
●そのため、サトウキビ・プランテーション以外に産業なんか要らない。
●そのため、農業工業全ては輸入に頼るようにして、住民奴隷たちはひたすらサトウキビ・プランテーションで酷使。
●サトウキビは、実は農地を徐々に荒廃させていく性質を持っている(最近は改善されているのでしょうが)。そのために、農業国家に戻れないくらい土地は荒廃していく。
●そして、何百年も強制的にそういう暮らしをさせられているから、他の産業は育たない。輸入依存になる。
●奴隷と帝国主義の時代が終わっても、経済は受け継がれていくから、そういう地域は「発展途上国」になり、貧しい国になる。
●そして、事情と歴史を知らない人たちから「国民性の問題」「民族性として怠け者」などと、ひどい中傷を言われる。もともと、そう言っている人たちの先祖が、虐殺して支配したからそうなっただけなのに。
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という、お話なんですね。
砂糖、というのは、強烈にすごい産物だったんだなあ、と思いました。
砂糖という魅力から、紅茶という話に発展したりします。
今でいうと、車やパソコン、スマホがそうですが、砂糖や木綿というのは物凄く初期段階の、「世界中どこの国でも、かならず需要があって、売れる商品」だったんですね。
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ヨーロッパから、貴金属や銃器などをアフリカに輸出する。
アフリカではその代りに、奴隷を仕入れる。それをアメリカ大陸・カリブ海に運ぶ。
アメリカ・カリブで奴隷を売って、そこで、砂糖を仕入れる。ヨーロッパに運ぶ。
ヨーロッパで砂糖が売れて、そこでまた貴金属や銃器を仕入れてアフリカへ...
という、「大陸間三角貿易」の話などは、すごく面白かったです。
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判っては居たわけですが、中世から近代にかけて、欧州民族政府がアフリカ・アジア・アメリカ大陸に対して行ってきたことっていうのは、
21世紀現在のモラルで言うと、悪魔・残虐・非道・そのほかどんな言葉を使っても表現できないほどひどいですね。
それに比べると、現在、非難されている「悪魔的国家」「悪い国」なんていうのは、かわいいものです。
(まあ、そういう歴史の物語にこそ、現在から未来にかけての不満やテロの原因があることを、せめて頭では理解したいものです)
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「面白い世界史の本を紹介します」みたいなコラムで、いつも紹介されていた本だったので、あまり期待もせずに読んでみたのですが、目からうろこのオモシロサ。
それも、「岩波ジュニア新書」だから、簡潔で、優しい語り口。
(しかし、これを読んで「ジュニア向きだなあ。こんなこと当たり前だから、もっと詳しく書いてくれないと不満だ」という人は、世界史研究者以外にいるんだろうか。)
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そして、全体的な風景として思ってしまったのは、
「日本本土と、沖縄の関係に似ているなあ」
ということでした。
日本本土の人の多くは、どれだけ日本本土の犠牲に沖縄がいたぶられて、戦後復興も産業振興も取り上げられて来たのか、ということを知らずに沖縄人が怠慢である、というようなことを言います。
(の、ような気が、僕はします)
それは一方で、15年戦争後の経済復興が、日本民族の民族性素晴らしさによってのみ達成した偉業である、という、とんでもなく傲慢で単純に事実関係として間違った解釈を信じている精神と、常に裏表になっていることが多い気がします。
この本のような、歴史の物語を読むことが。そういう恥ずかしいこと極まりない誤謬の芽を若い世代から摘んでくれることを、祈りたい気分です。 -
イギリス人って、労働者階級まで紅茶に砂糖たっぷりでいいご身分ねっ!ってずっと思ってた。
実態はぜんぜん違った。働かせるための餌(文字どおりの食料としての餌)だった。
同国人にも容赦のないエゲレス。
奴隷云々もドン引きだけど、個人的にはこの産業革命のエピソードのほうが「エェ……」ってなった。 -
世界食品の砂糖。紅茶のイギリスにおける庶民への浸透により、消費量が増加。
多くの奴隷を必要とするプランテーションが植民地に作られることになった。
それにより、奴隷がカリブ海やブラジルへ運ばれ、奴隷が廃止されると、中国や日本から移民がハワイや南米にサトウキビ畑の農夫として次々と移住した。
サピエンス全史風に表現すると、甘い蜜を持つ植物が人間を使って世界中に広がり、人間を移動させたのだ。 -
義務教育で習うような歴史とは違った角度から歴史を知れる本。
自分にとっては知らないことがたくさん書かれていて学びになった。砂糖というモノを中心に世界各地の時代時代を追っており、なんだか臨場感があっておもしろかった。 -
世界史(特に覇権絡み、近代以降)マニアとしては、「○○の世界史」「○○で読み解く歴史」の類は「○○」のレンズから世界史を一気に眺められるので、既知の知識を心地よくマッサージされている感覚になれて心地よい。