最後にして最初のアイドル【短篇版】 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 現在のSF小説って、質が違うように感じた。初めのうちは、高校生的なノリでの話の運び方が、いつの間にか、宇宙と生命の学術論文のようになって、展開して宇宙史から、アイドル論を展開する。
    そのスケールと時間軸の長さに驚く。こういう話についていく知力が本当にあるのかな。
    私には、全く未知の分野であり、よく理解できなかったが、面白かった。
    生後6か月でアイドルオタクになった古月みか。泣いてばかりいたみかは、アイドル番組を見たときに、表情筋が活動し、あどけない笑いに至った。親は、静かにさせるために、アイドル番組を見せ続けたのである。いつの間にか、みかは自分がアイドルになるのが使命のように感じた。高校のアイドル部で出会った背が高く、目つきがきつい、気軽に友達にもなれそうにない新園眞織と仲良くなる。古月みかは誰にでも好かれることを目標にした。そして、お金持ちの娘であるマオリはミカにアイドルとしてプロデュースする。ミカは芸能事務所と契約をするが、裏切られて、人間不信に陥る。そして、みかはベランダから投身自殺をする。ここから、アイドルとして始まった。マオリはその時医学生であり、父親の病院で、脳を摘出して、脳を保存する。その脳を生かし続ける。マオリはみかを蘇らせるという使命で生き抜くのだった。
    数年後、謎の巨大太陽フレアが発生。地球人類は滅亡の危機に陥る。マオリは医者になっていて、みかを再生する。そして、みかはマオリとともに宇宙一のアイドルになることを目指す。
    太陽フレアーは、プラズマとなり、モノポールスーパーフレアというものとなる。
    宇宙工学と遺伝子工学を組み合わせて、放射線と紫外線に耐え、それをエネルギー源とする遺伝子工学で生み出された共生細菌。その遺伝子を組み合わせたノヴム・オルガヌムであり、それに共生する。蜘蛛とクラゲが生き延びていく。ミカも生き残るが、結果としてファンもなくなる。
    アイドルは、ファンがあって成り立つのだ。そのために、ファンづくりを何億年も続けて、宇宙のアイドルとなる。ふーむ。後半は全くよくわからない。よくこれだけ言葉を紡げると感心する。
    そして、最後にして最初のアイドルとは、あなたのことだ。あなたは古月みかに由来する意識を受け継ぐ最後の存在であり、そして最初の存在である。あなたが、アイドルなのだで終わる。
    終わり方が、おもしろい。

  • 想像の範囲を超えていて面白かった

  • この人の長いの読みたい。

  • 著者自らが「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」と名付ける、最終選考会に嵐を巻き起こしたSFコンテスト史上最大の問題作。

    ということで当時話題になってた、ラブライブ二次創作(ニコマキ)小説がコンテストで賞を取ってしまったアレがリライトして電子書籍で出たというのを聞いて。

    いやー、もっとページ数あればステープルドンみたいになったのでは。そしたら面白くなりそう。
    「紫のクオリア」みたいな狂気っぽさ。
    数億年のアイドル活動の果てにたどり着いた境地とは・・・!
    みたいなお話。
    話題性以上のものがあるかっていうとどうかなーとは思う。
    矢澤にこと西木野真姫に脳内変換しながら読むべし

  • これが実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF…

    ラブライブの二次元創作小説が元になったらしい、草野原々のSF小説。
    2016年ハヤカワSFコンテストで特別賞受賞を受賞した作品。SFマガジンの審査員コメントを読んでると、(冒頭部分が載っていた)他の受賞作よりも本作が気になって仕方なくなり、電子書籍版速攻で読みました。
    文章は粗削りな感じがするけど、なんとなく勢いは感じる(特に後半)。
    もはや<アイドル>って何?

  • 元が二次創作ということから、だいぶ荒削りな文章ではあるが、すさまじい熱量をおぼえる文章。結末に至ってはいろいろ細かいことは置いておいて感動すら覚えないこともない。

草野原々の作品

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